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スト2と天下一武道会システム

天下一武道会というジャンプが発明したシステム。
もともとは、スポコンのライバル対決から発生したものをヒーロー同士の戦いに取り入れていきドラゴンボールの天下一武道会で洗練化され、ドラゴンボールの世界進出により標準化されたと思う。

動画でも解説されている件について頭の中で夢想遊びしてみる。


天下一武道会システム要件

動画で語られている天下一武道会要件は以下の通り
・見たいのはバトル
・バックストーリーは回想で
・スポーツ観戦要素
・観客が解説者
・明確な結果
それぞれについて、自分なりの解釈をしてみる。

・見たいのはバトル

結局、ヒーロー物において読者が見たいのはバトル。
空想の中で誰と誰が戦ってどっちが強いかという夢の対決は、同時期にブームになったプロレスファンの少年少女にとって、バトルを頭の中で想像して、ごっこ遊びで戦ってみたいなのと相性が良かったと思う。

・バックストーリーは回想で

読者が見たいのはバトルなので、バトルが中心になる。
いきなり深い人物紹介なしにバトルが始まっていくが、新しく登場したキャラのことを知ってもらうために、バトル中の回想シーンで戦士のバックストーリーが語られるようになる。
これは「巨人の星」という古典の野球マンガの中で、星飛雄馬という主人公の投手が一球投げるまでに、対峙した打者の人生や負けられない理由、主人公との因縁を回想した手法が取り入れられていった。
これによって、バトル中心でも、キャラ付けができるようになった。

・スポーツ観戦&観客が解説者

キャラを説明する中で、バトル中のキャラの回想以外に、そのキャラのことを解説してくれる第三者がいてくれるだけで、圧倒的に展開が楽になる。
戦っている人たちだけの回想シーンではなく、多面的なキャラ付けができる。
何より戦っていない人たちのストーリーも語れる。応援する家族や恋人、師弟、ファン、専門家などの目線から、多角的にキャラを作り上げられる。
誰も見ていない空き地で戦うよりも膨らませやすい感じ。

・明確な結果

トーナメントのバトルにすることで、絶対に勝者と敗者が出る。
引き分けや不完全決着が許されないという意味で、読者にとって、すっきり終わらせられるが、逆にキャラの消耗は激しくなる。

このシステムは、かなり優良で、ドラゴンボールで世界標準になる前にも、色んな所で使われていた。

天下一武道会のルーツは格闘&スポコンマンガ

天下一武道会のルーツは、格闘漫画やスポコンマンガだと思う。
バトルマンガとしては、「鉄腕アトム」とか「のらくろ」とか、もっといえば戦記ものの小説とか里見八犬伝とか演劇や歌舞伎とかにルーツはあるんだろう。世界的にもエジプト文明やギリシャ、中国や色んな所で壁画や巻物、書物、絵画で残っている。
マンガに戻ると、「あしたのジョー」や「タイガーマスク」などの古典の大ヒット作品を経て、「リングにかけろ」や「ドカベン」でトーナメントが確立していった。

トーナメントシステムの元祖はりんぐにかけろ?

「リングにかけろ」はスポコンのボクシングマンガなので、「スポーツ観戦要素」や「回想シーン」などの天下一武道会のシステム要件は全て入っていた。
その後、「キン肉マン」の超人オリンピック、「ドラゴンボール」の天下一武道会、「男塾」や「聖闘士星矢」、「幽遊白書」、「遊戯王」、「ワンピース」「ハンターハンター」「ナルト」「ヒロアカ」などに通じていく。

あだち充のスポコンへのアンチテーゼで出た相対距離と深み

タッチで、あだち充が野球のバトルも描きながら、野球以外の青春をメインにして、バトル&スポコンのアンチテーゼとして相対的距離を生み出し、この青春やバトル時以外の心理描写の思想が、ナルトやヒロアカなどにも、少なからず影響を与えていく。

キャプテン翼でスポーツマンガへ逆輸入

ルーツとなるスポーツマンガにもバトルマンガが逆輸入される。
天下一武道会システムと必殺技を入れたキャプテン翼が誕生し、全世界にシステムが普及する。

ジョジョやハンターハンター、遊戯王の頭脳戦による革新

スポコンから、普通の人間同士の戦いが能力を持った超人同士の超能力バトルになり、能力に劣る者が、神にも等しい能力あるものを打ち負かす展開として、キン肉マンでは「火事場の糞力」や「友情パワー」の精神力の戦いになったが、ジョジョやハンターハンター、遊戯王で、敵の弱点攻略や頭脳戦、相性などの要素が出てきて、能力の劣る主人公たちが巨大な敵をいかに倒すかの戦いになって、より戦いが高次元に進化した。

はじめの一歩によるリアル路線への回帰

天下一武道会システムを使いながら、超人思想は廃してリアルな人間同士の戦いや人物像に焦点を当てたリアル路線への回帰が行われた。
この戦いの中では、相手のことを分析し対策し弱点をつく戦いと現実的な範疇での得意技を交えて頭脳戦もする。
戦いの中で起こる葛藤や対策や弱点攻略に対する敵の対策なども、説得力が出てくる。どんな脇役も丁寧に語られてキャラ付けされるので感情移入したくなる。
それにしてもリアルなボクシングの世界でも必殺技が多くなったのは、元々あったとはいえ、相撲や柔道、空手、プロレスなど含め、バトルマンガが洗練化し普及されたのもありそうだ。
デンプシーロールとかガゼルパンチとかスマッシュとか、もう絶対、必殺技名だもんな。

刃牙や修羅の門のリアルファンタジー格闘トーナメント

総合格闘技ブームによって、現実にいる格闘家をモデルにしたバトルマンガが登場した。絶対に実現しない過去の戦士たちや異種格闘技の最強戦士たちが誰が一番強いかファンタジーの戦いをするのだ。
これも、天下一武道会システムの発展形といえるだろう。

ゲームの世界へ

対戦格闘ゲームというジャンルが存在する。

元祖は、「空手道(データイースト)」というゲーム。それが「イーアルカンフー(コナミ)」や「ストリートファイター(カプコン)」につながれ、「ストリートファイター2」で「対戦格闘ゲーム」と言うジャンルが作られた。
スト2以前のゲームは主人公が1人か2人で、CPUとの対戦だった。

スト2とバトルマンガ

スト2は、バトルマンガの影響を如実に受けている。

・8人全キャラが主人公としてプレイ可能
 ・格闘スタイルのベースがキャラクターデザインと直結
 ・エンディングで語られれるストーリー
・俺より強いやつを探しに行くというコンセプト
 ・世界で一番強い格闘技は何か?の総合格闘技思想がベースにある
・必殺技と必殺技を叫ぶ
・ゲームセンターという観客がいる場所
 ・プレイヤー自身が主人公になれる

各キャラクターを主人公にしてストーリーを入れ、それぞれのベースとする格闘技(空手、相撲、プロレス、カンフーなど)がありつつも超人的な必殺技があり、ゲームセンターという観戦者がいる場所で、プレイヤー自身のストーリーを知り語ってくれる人がいるのだ。
それ以外にも、攻撃が当たった時に止まる表現や、その時の顔や体のダメージリアクションなども、あしたのジョーや巨人の星のコマ割りに影響を受けている。他にも色々あるが、それはまた別の機会に。

スト2と天下一武道会システム

スーパーの時に、トーナメント筐体が導入された。
ゲームセンター内で、一番強いプレイヤーを決められるシステムを作ったのだ。
更にリアルイベントも行って、その後、電話回線でのネットワーク対戦を経て、オンライン対戦の土壌を地道に作り、今のEsportsにつながっている。

モータルコンバットのリアル路線

俳優の写真を取り込んで対戦格闘のキャラにした異色のゲーム。
海外ではスーパーヒットしている。
血しぶきが噴き出すスプラッターな残虐行為が特徴で、フェイタリティというフィニッシュ演出が特徴で、スト2の曙画面などのフィニッシュ演出にも影響を与えている。大好き。

バトル漫画が対戦格闘ゲーム化

https://www.capcom-games.com/marvel-vs-capcom-fc/ja-jp/title/xmen-coa/

キン肉マンやドラゴンボール、ジョジョなどなど、対戦格闘ゲームとしてやってきた。
更に、X-menやマーベルなどになり、今のマーベルユニバース作品が、日本でも受ける下地になったと思う。

キングオブファイターズとカプコンVSシリーズによるチーム戦

3vs3のチーム対戦によるドリームマッチへと発展。
「リングにかけろ」や「キン肉マン」「ジョジョ」や「ハンターハンター」などのチーム戦も取り込む。

バーチャファイター、鉄拳による3D革命

ハードの進化により、3Dの時代へ。
2Dのスト2はオワコンと言われ、復活まで結構な年数を必要とした。

スマブラやスト6でEsports化

任天堂オールスターズではじまったスマブラが、スト2やキングオブファイターズも取り込み、対戦格闘ジャンルを広めていった。
ストリートファイターシリーズもEsportsジャンルを地道に開拓し完全復活して隆盛を極めている。

バトルマンガとSNSで国民が解説者へ?

SNSによって望めば誰もが主人公にもなれるし、何かのトピックに対する評論家や解説者になれるようになった。
特に、日本でXが流行っているのは、バトルマンガによって「観戦者から解説者」教育されたからかもしれない。知らんけど。。。


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