Concordのようなゲームが存続するには何人のプレイヤーが必要ですか?
記事ページは英語。気になる人は、Google翻訳とかで読んでもらえれば。
新作Concordが発売直後にサービス停止
記事では、ソニーの新作「Concord」が発売後、すぐにサービスを停止することから、マルチプレイを維持するには、どのぐらいの同時接続人数や1日のアクティブユーザー数が必要かという話をしていたので、ちょっと考察してみる。
マルチプレイを維持するには何人のプレイヤーが必要か?
ゲームの予算規模ごとに維持できる数が違う
記事でも語られている通り、ゲーム製作にかかった費用や運営費を合算した損益分岐によって判断される。ゲームの規模によって数千万円から数億円、数十億円、数百億円のゲームがあるので、それぞれのゲームを維持できる指標は、ゲームごとに変わってくるので、なんとも言えないというのが実情。
最低人数はあり「何秒以内にマッチングできるか?」が重要
ビジネスなので儲けが出るかどうかで撤退するかどうかの判断はゲームの規模によって違うが、マルチプレイを維持するには最低人数が必要。
プレイヤーにとっては、対戦や協力相手がいるかどうかが重要で、それをはかる指標として、「何秒以内にマッチングできるか?」が重要になってきて、人がいてもマッチングがスムーズでなかったり、ランク差があり過ぎて継続率が下がってしまったりすると、負のスパイラルで、急激にプレイ人数が減っていってしまう。
待てる時間は1回のプレイ時間によるが60秒以内が望ましい
1回のプレイ時間が長ければ、それに比例してマッチング時間も休憩時間として長く待てるが、待つにも限界がある。
1回のプレイ時間が15分~30分ぐらいのバトロワゲームの場合は、90秒ぐらいなら待てるかもしれないが、やられたらすぐにゲームオーバーになる場合もあって、その場合、プレイヤーごとにプレイ時間に差が出てしまう。
例えば、開始5分でやられてしまった場合は、すぐに次をやりたいが、開始5分でやられた人が、その時にマッチングできるかどうかは分からないし、負けた後にランクの高い人とマッチングさせると、負け続けて継続率が下がるので、マッチングが難しくなる。
チームプレイ、人数制限、勝利得点でマッチングをそろえる
同じランク帯で、マッチングさせるために、チームプレイや人数制限、勝利得点&時間制限を設けてマッチングがなるべくそろえられるようにするとマッチングが安定する。
チームプレイによるマッチング
ソロプレイより、チームプレイのがマッチングにもメリットがある。
チームプレイでは、最初はつながりのないソロプレイヤー同士をマッチングすることになるが、次第に、ソロプレイヤーが友達を招待したり、共闘することで仲間になったりすることが見込める。
これにより、協力プレイヤーを安定的に供給できる。
常に同じ仲間とやることによって腕があげられるし、仲間同士で遊ぶことで継続率も上がり、誰か一人が課金すると、他の仲間も課金する効果もあるので売り上げがあがり、安定的に運営できるようになる。
毎回同じ仲間で協力プレイしてくれると、チームをマッチングする手間がはぶけ、マッチング人数を確保できる。
人数制限によるマッチング
100人のバトルロイヤルよりも、16人、8人の方がマッチングしやすい。
例えば、20時に同ランクの人が1000人が遊んでいた時に、100人で10試合できる。16人では約62試合、8人では125試合になる。
勝利得点と時間制限によるマッチング
途中で負けてリタイアするバトルロイヤルルールでは、リタイア時にマッチングが発生する。
得点を競うタイプのルールでは、勝負が決まるまでは何度でもリスポーンでき、参加者全員が勝敗が決まってから終了するので、マッチング時間をあわせやすい。最悪、他にマッチング相手がいなければ、同じ参加者で、再スタートが可能になる。
更に、時間制限を設けることで、同タイミングで終了させる機会を多くすることができる。
100人バトルロイヤルで負けると途中離脱の場合
仮に、同時接続1000人で100人バトルロイヤルでは10試合、平均試合時間10分で1分ごとに10人づつ負けると仮定した場合、1分ごとに10人×10試合で100人集まるので、1000人いれば、ギリギリ、1分以内にマッチング可能になる。
しかし、実際は、早く負けた場合、継続しないで負ける場合もあるので、100人そろわない場合もある。
その場合は、60人などでスタートして足りない分はボット対応するなど別コストが発生し、ボットが多すぎるとヘイトがたまって離脱することがある。
この場合、1000人同時接続ではマッチング的にギリギリになってしまう。
しかも、昼休みやゴールデンタイムは安定したマッチングができたとしても、他の時間帯で安定したマッチングをキープするには、ピーク時の1000人のマッチングではこころもとない。
しかも同ランクという条件もつくなら、マッチングのランクが3段階なら各ランクに1000人づつ必要になり、3000人以上必要になる。
そのため、いつでもマッチングできるように、大規模なゲームでは、時差が少ない国同士、アジアやヨーロッパやアメリカ大陸などの国同士でマッチングする物も多い。昼休みやゴールデンタイム以外の時間を時差が違う国のプレイヤーでカバーする。
3人×4チーム=12人で得点を競うチーム戦のタイプの場合
得点を競うチーム戦のタイプの場合、1000人で3人チームが333チームできる。333チーム中、4チームで1試合をマッチングする場合は、83試合できる。
1試合平均10分で終わった場合、同時に開始している場合は、同時に終了した他のチームとのマッチングはたやすく、もし、他のチームとマッチングできなくても、今、終了したチームやプレイヤーと再びマッチングさせることも可能。
現実的に、終了時間が1分づつズレた場合でも、83試合並行してやっているので、1分以内に他のチームとマッチングする確率をあげるように設計できる。
単純に違うチームとマッチングさせるためには、3人が固定したチームの場合は、試合が終了するごとに他に3チームを用意すれば良い。
乱暴な計算になるが、10分で終わった時に、別の3チームを用意して1時間プレイする場合、1時間で6試合として1チームごとに6×3チームで18チーム(48人)の対戦相手が必要。
これが1分ごとにズレて終了した場合に、1分以内にマッチングさせるとするなら、48人×60分で2880人+自分のチームメンバー3人の2883人が、同ランク、同ルールに必要になる。
実際には、同じチームと連戦を許可したり、マッチング時間を3分にするなどでやりくりしていると思うが、3ランクで3ルールで1分以内に全然違うチームとマッチングさせるとなると、3000人×3ランク×3ルールで、1時間に18000人ぐらい必要になる。
Concordの場合
マッチング
Concordの場合は、5対5のチーム戦でルールが3つで、ロンチ時にランクはないと考えると、1試合10分とした場合、5人×6試合で30人、1分以内にマッチングさせるとして、30人×60分で1800人、3ルールで4800人が1時間に必要な人数になる。
最悪、同じチーム同士でも良かったり3分以内とマッチング条件を緩めて行けば、条件はぐんと下がる。
Concordの発売数は、数日間にSteamtoPlaystationで2万5000枚、Steam版の同時接続のピークは687人で3ルールあるとしたら、1ルール230人なので、マッチング自体はできたと思う。
ただ、マッチングはできたとしても、どんどん同時接続数が減っていったのでビジネスを続けることができないと判断するしかない。
運営費を黒字化できないし、一度過疎ってしまうと参加人数が減っていく悪循環におちいってしまったのだと思う。
マッチングがなりたつかよりビジネスが成り立つか?
Concordは5000円でソフトを販売して対戦させるタイプのゲーム。
2万5000枚販売したとしたら、単純計算で1.25億円。
手数料や税金を引かれると1億ぐらい。これでは開発費は払えない。
運営費も月数百万~数千万円になる。
これで開発費が全額払えなくても、人数がいれば、運営していくなかでアイテム課金や月額課金などで将来的な黒字化が見込めるかもしれないが、その数字も下がっていく中では撤退せざる負えない。
ソニーという大きな会社のパブリッシングで株価にも影響する。
これがインディだったら、違うかといえば、運営する人たちやサーバーのコストを維持できる額の最低ラインがある。
なので、アーチャー伝説のように、ソロではじめて協力を入れるなどもある。協力プレイだけなら、対戦のマッチングより集める人数が少なくてすむので、協力してから対戦をイベントとして追加するなどの方法もある。
ソロ、協力、対戦と、小さく初めて大きく育てることも長いスパンで見れば可能だ。
小さく初めて大きく育てるか、初動を大きくして減らさないように維持していくかという話になるが、ほとんどの成功例は、初動を大きくして減らさないように維持していく形になるので、最初の成績が悪いと撤退判断も早くなる。
ゲームビジネスは博打
ゲームビジネスは、博打なので、なかなか投資しにくいとは思う。
だが、成功の確率をあげることは可能。
今回もDestinyという成功したゲームの開発者が作ることで成功確率を上げたんだと思う。それでも、結果は悪かった。
SNSでは悪い評判の方が拡散されてしまうので、そこから逆転するのは至難の業だ。サイバーパンクやノーマンズスカイなど、悪評から逆転するのに大きなコストを支払ったゲームはあるが、悪評を覆すのは、ほぼ、難しい。
この事件で、また、ゲームのリスクはあがってしまったし、逆に、パルワールドやモンスト、パズドラのように大成功もありうる。
どっちにしろ、プレイヤーにも市場にも会社にも、リリース時の初動で判断されてしまうことを肝に銘じておこう。
ゲームを博打にしないための方法についても、考えていきたい。
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