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孤独を感じるにも他者を必要とする~「嫌われる勇気」より

アドラー心理学を解説した、「嫌われる勇気」という本をやっと読みました。
2013年発行ということで、10年以上前に出された本なのに、今でもベストセラーにランクインしている、超有名な本です。
あまりにも有名なので、どんな内容の本なのかは、ググれば山ほどレビューや要約サイトが出てきます。

すごーーーーく乱暴にまとめるなら、人の目なんか気にせずに、やりたいことやんなさいよってことでしょうか。

この本の特徴は、「青年」と「哲人」の会話形式で、物語のように話が進んでいくところです。
この「青年」というのが、学歴にも容姿にも性格にも自信のない、人生悩みしかない超ネガティブ人間。
「哲人」に「人生は驚くほどシンプルで、あなたは今日からでも幸せになれますよ」と言われて、「そんなわけあるかー!」と「哲人」のいうことに、いちいちいちゃもんをつけるんです。

人の目なんか気にせずに、やりたいことやっちゃいなって言われて、そりゃまあそうなんだけど、実際は難しいですよね。
そこんとこをこの超ネガティブ「青年」が、そんなこと簡単にできたら苦労しねーよ!って感じで、「哲人」に詰め寄ってくれるんですねー。
まさにこちらが言いたいことを言って切り込んでくれるし、または、なんとなく「哲人」の言葉をわかったつもりになりそうなときにも、いやいや、ちょっと待て、じゃあこんな場合はどうなんだよ、と突っ込んでくれて、こちらの理解が深まっていく感じがします。

どうでもいいことですが、この「青年」、学歴も大したことないとか言ってますが、難しい言葉もよく使うし、勉強はできる方だと思いますね。

とはいえ、アドラー心理学、なかなか難しいです。
1回読んだくらいではわかりません。
というか、わかったようなわからないような感覚。
この本にも書かれてましたが、アドラー心理学を本当に理解して、実践できるようになるには、今まで生きてきた年数の半分を要するらしいです。
20歳でアドラー心理学を学び始めたなら30歳、30歳なら45歳。

じゃあ60歳の私は、90歳になっちゃうじゃん!

全部を理解して、ここで説明することはできませんが、私がこの本で、一番印象に残っているのが、「孤独を感じるにも他者を必要とする」という言葉です。

「孤独」というのは、他者から疎外されているという感覚があるから感じるものである。
自分以外誰もいない所、宇宙の真ん中にでも行けば、疎外する他者もいないんだから、もはや「孤独」という概念すらなくなるはずだと。

夫を亡くしたばかりのころ、私はとても孤独でした。
まさに宇宙の真ん中に放り出されたような、そんな感覚でした。
この世の中に自分一人だけ取り残された、ちっぽけなゴミみたいな存在。
こんな状態で生きてる意味なんてあるのか。

でも、実際はそうじゃなかった。

この世の中には、自分一人だけでなく、周りにたくさんの人がいる。
だからこそ、孤独を感じることができた。
孤独を「感じさせられている」のではなく、自ら「感じる」ことができるわけです。
まさに「生きてる」証拠。
自分が見てなかっただけで、私の周りにはたくさんの人がいたわけです。

私は、一人じゃない。

こういうの、アドラー心理学では「共同体感覚」というらしいです。
「共同体」というのは、家庭や学校、職場だけでなく、もっと大きく「国」とか「世界」とか、果ては「宇宙」までも意味します。
つまり、人は皆「宇宙」の一員、仲間であるという感覚。

そして、「より大きな共同体の声を聴け」という言葉も私には刺さりました。

夫が亡くなって、一人ぼっちになって、孤独で孤独でどうしようもなかった私は、外に出ることが怖くなっていました。
とにかく感情が動くことが怖かったのです。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、声を発することさえ、それをやると何か自分の中の均衡が崩れるような気がして、怖かった。
今思うと、自ら孤独を選んでいたんですね。

「自宅」という共同体(一人なので”共同体”って言わないかもだけど)の中で息詰まりを感じるなら、「より大きな共同体の声を聴く」必要があったんですね。
たとえば親だったり、友人だったり。

そういえば友人ですら交流を絶ってしまったので、昔の友人はみんな去ってしまいました。

だからと言って、後悔はありません。
あの時間もきっと私には必要だったのでしょう。

私は、一人ではない」ということに気付けた今、とても勇気をもらえた気がします。

いつも手元に置いて、何度も読み返したい、そんな本です。



ところでこの本には、続編で「幸せになる勇気」というのもあります。
説明欄を読みますと、

”3年ぶりに哲人を訪ねた青年が語る衝撃の告白。それは「アドラーを捨てるべきか否か」という苦悩だった。”


何があった、青年!
最後はあんなに意気揚々と哲人の家を出たのに!
もうすっかり「青年」のとりことなってる私なので、こちらもぜひ読んでみたいと思います。

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