ゼルダの伝説BotWのゲームデザインに感動した話
ゼルダの続編がいよいよ5月にリリースということで、改めて神作「ゼルダの伝説 Breath of the Wild」を噛み締めていたところ、流石は任天堂・・としか言えないとんでもないゲームデザインの作り込みに気づけたので共有します。
まずやっぱり目に見えるデザインが素晴らしい
一番がやっぱりこれです。流石にデザインが良すぎる。
ニューゲームでゲームが始まるところから順を追って紹介します。
コントラストがすごい!!!
ゲームが始まると、薄暗い密室で主人公リンクが目を覚まします。
人工的に整備されてるのにリアル感が全くない素朴な内装。
その端で一つだけ光っている石板があります。
これがこのゲームの鍵になる「シーカーストーン」というアイテムで、これを回収しないと次に進めないのですが、
迷わずプレイヤーの目に留まるデザインがもう凄い。
そしてゲームデザインの話ですが、この時点で世界観を全く崩すことなくチュートリアルが始まってます。
視点移動・歩く・走る・アイテムを取る・壁を登る・アイテムを使う・衣服を装備するところまでが無意識のうちに開始1分で刷り込まれます。
無理やり覚えさせるのではなく、チュートリアルの動作をプレイヤー自らがが行いたくなるような仕掛けが凄い。
常に「プレイヤーが自分で考えて動く」が最優先されてる感じ。
そして、1分弱の密室内でのアクションを終えたら外の光が見えます。
興味のままに光の方向に進んでいくと、ここで初めてオープニング!
天才的なタイミングだと思います。
密室にいるプレイヤーからすると「早く外の世界を見たい!」という気持ち。長い眠りから覚めたリンクとさりげなく気持ちが同期され、
そしてそのニーズに応えるオープニングがめちゃめちゃ綺麗です。
どこまで行けるんだろうと考えさせる、画面いっぱいに映りきらないくらいの大きな世界を見せつけられて、ここでめーちゃくちゃ期待値が上がりました。
薄暗い密室からこのオープニングに映ることでコントラストがすごくて開放感と期待値が倍増するやばい仕掛け。鳥肌立つ。
序盤でパンクするくらいの情報量を一瞬だけ見せるのって、期待値を上げる方法としてすごくいいのかも。
ゲームシステムの作り込みがすごい
目標の設定が的確
次ですが、オープニング終了後は早速プレイヤーが自由に歩き回れるようになっています。フィールド探索に必要な操作はもう全て刷り込まれているので、ストレスなくゲームに移ることができます。凄い。
そしてこの後のストーリーが綺麗です。
・シーカーストーンからここに行けと場所を差される。
・そこに向かうと突然の地響き。足元は実は塔の頂上で、その塔がせりあがってリンクは高所に。
・オープニングでは映らなかった様々な地方の塔を見せられる。
↑これもさらに期待値が上がる気がする
・リンクの目に映るのは、メインのフィールドと現在地を隔てる断崖絶壁
・プレイヤーは下の大地に降りようとするも落ちると死んでしまう。
↑誘導もないのに多分みんなが自然と一回は経験するはず。凄い。
・そこにいたおっさんがいかにも下に降りられそうなパラシュート的なアイテム「パラセール」をチラつかせる。
・おっさん「パラセールが欲しければ試練をクリアしてこい。」
といった流れでリンクは試練に向かうことになります。
大地に降りたい!
から、パラセールを手に入れたい!
だから試練に行くぞ!というプレイヤーの行動一つ一つがプレイヤー主観の目標で成り上がっていて、全ての行動がストーリー上の観点から説明できるようになっていると思えました。
「言われたからやる」ではなく「やりたいからやる」。とプレイヤーのやりたいままに遊んでいるにも関わらず、自然とストーリーが進められていくその誘導も綺麗。
そして開発側の思惑通り、プレイヤーはチュートリアルを進めていきます。
4つの試練では特殊なスキルの扱い方。ただし説明は一切出ません。なのにプレイヤーはその試練を通じて使い方を理解でき、試練完了後には完全に理解した顔で出てきます。
やがて台地に用意された4つの試練を終える頃には、操作も不自由なく行えるようになっています。
そして、このタイミングでパラセールを取得。地上に降りられるようになります。綺麗すぎる。(さらにここでおっさんからメインストーリーについて説明が入る)
とここまでがチュートリアルのような一節です。
初見プレイ時にはチュートリアルとも気づけないくらいにただただゲームを遊んでいる感覚でした。
キャラデザイン
あとは個人的にいいなと思った、敵キャラのデザイン。
特に分かりやすいのが、主要敵キャラの「ボコブリン」ですが、このように同じ敵キャラの色違いが複数存在します。
このデザインの凄いところが、本能的に強さを判断できること。
なんとなーく右の黒や白よりも左の赤の方が「雑魚そう」に見えませんか?
実際にゲーム内では左から順に、右に行くほど強敵になるように敵キャラの強さが色によって判断できるようになっています。
そしてこの説明は、チュートリアルでは登場しません。ですが、全プレイヤーが確実にこの仕様を理解できているはずです。
これ以外の敵キャラもほぼ全てが同じ基準で配色されていて、初めて見る相手でも戦えるかどうかが判断できます。
オープンワールドならではの「戦わない」という選択肢が選びやすくなっていて、これもゲーム性を際立たせている要素の一つだと思いました。
ボス戦
ネタバレになるので控えめですが、ボス戦では普段の雑魚戦と違って少し頭を使わないとまともに戦えないようなゲームバランスが設定されています。
そしてこのシステムがめっちゃいいです。
一つだけ例を挙げるとするなら、この水のカースガノン戦。
序盤はわりと殴りが中心になるボス戦ですが、中盤からボスの攻撃に変化が起こります。
この水のカースガノンの場合は、喰らうとかなり痛い、変わった見た目の氷を投げてきます。
しかし、この変わった見た目の氷に対してプレイヤーは既視感を覚えるでしょう。
実はこの攻撃のデザインは、序盤の試練で登場した「アイスメーカー」というスキルで繰り出すことができる氷にそっくりです。
なのでプレイヤーはこの氷に対して知識があります。
アイスメーカーを使ってできることは二つ、「氷を作ること」と、
「氷を壊すこと」。
もしかして・・と敵の氷にアイスメーカーをかざすと、その予想通り氷が粉々になるようになっています。
めっちゃいいシステムじゃないですか?
このように、戦いの場面では今までの経験から頭を使うことで有利に進められる展開が数多く用意されていて、普段の戦いとはまた違う雰囲気を味わうことができます。
全体的に
この作品では「プレイヤー主観のゲームデザイン」がすごく綺麗だと個人的に思いました。
やりたいことをやらせてくれるゲームが一番面白いはずです。
この「やりたいこと」を誘導してくれることで意識せずともストーリーをなぞれるようになっていて、かつ制限されるストレスが無くなり世界観に飲み込まれてしまう、そんなようにゲームデザインが綺麗に作り込まれていると感じました。
以上、すごーく個人的な考えでした。5/12が待ち遠しい。