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noteの街のセラピー犬。【司書編】シミのある本を修理します。(2013文字)
染みのある本
心友が、小学校の図書室へ本の寄贈をしてくれました。
10年前に新刊で購入したそうですが、
「汚れててごめん。」と、謝罪がありました。
とんでもありません。
蔵書率が市内で一番低い学校ですから、
絵本雑誌でも欲しい。
私は「汚れは司書が落とします。大丈夫だよ。」と、
有難く頂戴しました!
さあ、きれいにしましょうね。
シミの状態
早速ですが、問題です。
問題
下の写真で塩素系漂白剤できれいになった本は、どれでしょうか?
4冊が平積になっています。
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この白なら、思わず手に取ってみますね。
さらに、読んでみようかなと、
なりそうですよ」
答え
一番上の本です。
正解、おめでとうございます!
題名は『下町ロケット』です。
染み抜き前の写真を撮り忘れました。
すみません。
上の4冊は➀購入時期②保管場所③染みの状態がほぼ同じでした。
最上段から2冊目〜4冊目は、染み抜きをしていない状態です。
やってみた1
図書室には、専用の修理道具が揃っています。
しかし、今回は自宅でシミ抜きです。
私にとっては、誰もが簡単に出来るシミ抜きが理想です。
ポイント
思い立った時に、さっとできるところ
用意したもの
綿棒と塩素系漂白剤
所要時間(短時間で!)
1〜5分
こうして、シミ抜きしたのが『下町ロケット』です。
失敗なく出来ました。
よかった、良かった。
やってみた2
シミ抜き1冊目がクリアしたところで、ふと、司書は思いました。
疑問に思ったこと:
図書室で本のシミ抜きをする時は、先ほどのように、塩素系漂白剤を使用します。※1(さらに、水を加えて調整します)
本の上部、側面、下部はやすりで削ります。※2
さて、今回は、上部、側面、下部のシミ抜きを酸素系漂白剤を使うとどうなるか?
予想:
紙は、木材、古紙を原料としています。
衣類は、綿の場合、植物繊維になります。
どちらも自然の恵を受けて、私たちの暮らしを豊かにしてくれています。
以上のことから、自然に優しい酸素系漂白剤を使っても染み抜きが可能ではないかと、考えました。
注意点:
漂白剤の裏面の通り、ゴム手袋、ゴーグル、マスク、換気が必要です。
手順:
1.これは本の側面です。染みの箇所を確認します。
全体的に薄茶色。向かって、左側に濃い茶色の点々染みがあります。
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2.必要なものは、綿棒、酸素系漂白剤、本です。それをタオルの上におきます。タオルは、液がこぼれたり等、事故防止のため敷きました。
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3.綿棒に酸素系漂白剤を浸して、端から端へ一気に滑らせます。
側面全体にひと塗りします。
汚れが目立つ箇所に、ピンポイントで漂白剤を落とします。
リズムよくポンポンです。
※たっぷり浸して、じわっとゆっくり塗ると、紙がすれるので気を付けます。
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4.換気のため、5分退出してから戻りました。
さあ、結果はどうでしょうか?
結果
酸素系漂白剤を塗った後は、揮発するので、水で濡れたように長くしっとりしていません。そのため、側面が波々になりません。全体的に薄茶色がなくなりました。しかし、濃い茶色の点々は、まだ、ありますね。
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まとめ
【一般的向け】
・塩素系漂白剤は、白いものにしか使えません。酸素系漂白剤は色柄物にも使えます。
・殺菌や漂白力は、強力なものから順に、塩素系→酸素系(粉末タイプ)→酸素系(液体タイプ)の順です。
・液体酸素系漂白剤を台所で使用しても、効果が弱すぎて、あんまり役に立たないです。逆に、台所用の漂白剤を洗濯物に使うと、白い物はいいですが、色柄物が脱色・変色してしまいます。
【本のシミ抜き】
・酸素系漂白剤は、軽いシミなら落とすことができました。塩素系が苦手な方は、こちらが便利ですね。
・シミは、経過年度や着いた箇所によって、濃かったり、広がっていたりと様々です。初めてで緊張する方がシミ抜きをする場合は、液体酸素系が安心です。リサイクル本で練習してから、シミ抜きされてもよいかもしれませんね。
感想
図書館の本は、保存する意味もあり、丁寧に修理します。失敗したら?は、ありえません、笑。
今回の本のシミ抜きは、「個人の所有する愛蔵本を復活させたい方」向けに、試してみました。緊急事態にお役に立てれば幸いです。
あとがき
※1
・シミ抜きは、塩素系漂白剤1:水3の割合でシミ抜き剤を作っています。
今回は、簡単スピーディーというポイントで原液を使っていることにご注意下さい。
・原液を使って、漂白し過ぎてはいけない紙もあります。
・水を加えると、なかなか汚れが落ちずに、何回もつけて紙が擦れた経験があります。そのため、原液で触れる心地で撫でつけると上手く出来上がる確率が高いです。
※2
私は、ヤスリが苦手なので、漂白剤を使っています。
おまけ
ルナ姫は、
おとうさんが出かける様子を
見守っています。
イスがひっくり返ったまま、
どうなるのでしょう?
おとうさんは、
いそがしいんです。
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さんぽか…。」
本日も記事を読んで頂き誠にありがとうございました。