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SONG OF EARTH・・・

 9月の誕生日に、久しぶりにひとりで映画をみようと思った。
 ヴィム・ヴェンダースの名前が製作総指揮にあったこともあり、SONG OF EARTHに決めた。
 自然の美しさに期待した。
 フィヨルド、という見たことのない場所。
 四季を巡り、美しい北欧の風景もある。
 しかし、私が思っていたよりも厳しい自然がそこにあり、避けられない山崩れの跡。
 川が氾濫した後の能登の、木が堆積した様子と重なり胸が苦しくなった。
 亡くなった人たちの名前が読まれる。
 生まれた場所を味わい尽くし、ここで生きていくという覚悟がそこにある。
 氷河が溶けて流れる音と、明るくない空の色。
 音だけが流れる場面が多い。
 そして、その場所に慎ましく育つ家族の愛。

 大きな自然の中での人間の小さな歩み。

 私は頭の中で、以前訪れたナイアガラの滝の上流とこの景色を対比させていた。
 その時に聞いた激しく力強く流れる川音と、あちこちで岩にぶつかる音。
 幅広く、止めどなく流れ続ける水の音。
 白い飛沫を上げて、下流へ向かう水の勢いを思い出した。

 あの時に感じた胸の高鳴りとは違う、少し怖さも感じるような、研ぎ澄まされた美しい自然が映画の中にあった。
 フィヨルド。
 ノルウェイ。

 グレイの空と氷の世界と、白い氷河。
 緑の湖。
 日本にはない色の世界でもあった。

 誕生日にどうだったか?と問われれば、来年は底抜けに明るい映画にしてみようと思う。
 昔から、映画は一人でみるのが好きだ。

 しかし、来年の自分へのプレゼントは、ひとり映画ではないかも知れない。







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LUNA.N.
書くこと、描くことを続けていきたいと思います。

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