スカートについて、いつもよりほんの少し余計に考えてみた

 先日、スカートを買った。
 白いフェイクレザーのタイトなスカート。
 長さはすねの辺りまで。

 お会計しながら、ふと考えた。
 スカートって、変なの。
 皆さんもそう思いませんか?

 まず、めちゃくちゃ作りが単純。
 四角い布を半分に折って縫い合わせ、上の方をちょっと折り返してゴムを通せば、とりあえずそれらしきものが完成する。  
 なんたって、よく見たらただの筒だもの。
 小さい頃、着せ替え人形の服のパターンを増やしたくて自分で作ろうとしたときも、上着やズボンは見事にひしゃげてしまったが、スカートだけはなんとか形になった。

 そして、その単純さゆえか、めちゃくちゃ歴史が長いし、世界中で着られている。 
 平安時代のお姫様が付けていた「裳」は、和風番スカートにほかならない。
 世界各地に、木綿やや麻や毛織や、あらゆる素材のスカートが存在する。
 スコットランドでは、男性もキルトと呼ばれるスカートを履くので有名だ。  

 そんな風に世界中で着られているにもかかわらず、スカートはあまり実用的な服ではないと思うのだ。
 まずもって、動きにくい。
 幅が狭いと足がちゃんと開かないし、裾が長ければ踏んでしまう。
 ドアの角にひっかかったりもする。

 しかも、防御力が低い。  形や素材にもよるが、基本的に冬は足がすうすうして寒いし、転んだら怪我をする。
 中に履いているパンツが透けるなんていう心配もあったりする。

 これらスカートの弱点を補うべく編み出されたものこそ、古くはブルマーやペチコート、最近ではタイツやレギンスなんだろう。
 この頃では、一見スカートのように見えるふんわりしたズボンなんてのも人気だ。

 しかし、そうまでしてなぜ人はスカートを履くのか。
 とっくの昔に淘汰されていても不思議じゃないのに。
 たとえ実用には向かなくても、それでも身に付けたくなる何かが、あの布の筒にはあるんだろうか?
 360度に広がったあの形を見ると気持までふわっと膨らむ何かが、人類の遺伝子に組み込まれているとでもいうのだろうか?

 かく言うわたしも、スカートは好きだ。  
 ズボンの日が続くと、無性にスカートが履きたくなる。
 だがいったい世の中はいつの間にロングスカートブームに突入したのか?
 どこの駅でも、ショッピングモールでも、店頭を埋めるのは足首まで届くロングスカートばかり。
 もちろんかわいいよ。かわいい。
 でもちょっと前までは普通に履いていた膝上スカートやミニスカートは、どうしろというのか。
 もう履けないのだろうか?
 いや、そんなはずはない。
 流行は時が経つと1週回って元に戻るというから、いつか再び短いスカートブームが訪れるときまで、大事にとっておけばいい。

 …と思い定めたところへ、姉の一言が飛んできた。
 「30歳超えたら膝出すのはおかしいよ」
 な、なんだって?!いつ生まれたんだそんな常識は?それじゃ今度短いスカートブームが到来しても、わたしは年齢的にもう履けない可能性があるってことか?
 …

 流行も、年齢制限も、全部世の中が決めたこと。わたしはわたしで、自分の履きたいものを履きたいときに履けばいい。
 そう頭ではわかっていても、なかなか実行する勇気のないわたしは、クローゼットにしまったままの短いスカートたちのことを、今日もちょっぴり後ろめたく思い出す。

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