そもそも百条委員会を開かなければよかった

竹内元県議の自殺は驚きでしたが,そうなるかもなとは薄々思っていました.百条委員会遺族メール偽造疑惑について,立花孝志が参戦する前から,兵庫県警が捜査に動いていた話が複数の独立系ジャーナリストから指摘されていましたからね.だいたい政治家の自殺というのは一般人と異なって誹謗中傷だけが原因になることは少なくて,疑惑で警察や検察が動いたりするときに多いのは過去の事例を見ても明らかだと思います.

4月からの色々な動きを大局的に見てみれば,県民局長の怪文書をいつも通り怪文書として扱っていれば誰も死んだり,個人情報を暴露されたりすることはなかったにも関わらず,百条委員会を開いたばっかりに複数の自殺者(県民局長,竹内元県議)が出て,知事選に巨額の公費が使用され,オールドメディアは信用が失墜し,山村の奥谷委員長宅には野次馬が集まり,S川T子氏は個人情報を世界中に晒され,選挙戦を手伝った会社社長は公選法違反の嫌疑をかけられ,県議たちは場外乱闘戦に巻き込まれた.

振り返ってみてみれば

百条委員会というのは誰にとっても何も良いことがなく

単に政局争いを過激化させ,分断を加速し,県政の混乱を深めただけと言えると思います.強いて言うならば,信用失墜前のオールドメディアがワイドショーの視聴率でカネを稼いだという点だけが,彼らにとって良かった点でしょうか(そのオールドメディアが動画収益目的のSNS選挙を批判しているのが,おまえもなーですが).

やはり法律違反に対しては落ち着いた環境で行う内部調査や司法が適しているのであって,政治は適していないということなのでしょう.ネットが浸透し,真偽不明の情報が光のように早く出回り,組織に頼らない政治が前景化する時代において,他国の事例を見ていても議会による権力の相互監視が最善であるという理念に疑念を持って考え直す時期が来ているのかもしれません.

似たような点で言えば,もっと前提を疑わないといけないこともあって

「カネのかからない選挙は正義ですか?」

というのも最近思うところです.昔は組織力のある人しか集金できずに選挙戦を戦えなかったという事情もあって,カネがかかりすぎると少数意見が反映できないという論理があったのですが,最近はクラウドファンディングや推し活などで良い人脈をもち,良い主張をすればカネが集まる時代になってきています.情報発信ツールも変化する中で,いたずらに広告規制をかけたり,事前運動を禁止する正当性は消えつつあると思います.今までのやり方でやってきた人(政治家・法律家・活動家)にとっては,こういった規制はある意味で既得権益であり,時代の流れに合わせて既得権は剥がしていかなければなりません.選挙で本当に選ぶべきは「民意を政策に反映して実行できる首長」であって,「選挙戦にカネがかからない人」ではありません.

いずれにしても兵庫県を巡る疑惑にまた一つ大きな転機が訪れたのは事実です.百条委員会はストップして兵庫県議会は特例法に基づいて一旦解散したほうが,誰にとってもまだ生産的で有意義な議論が行えると思いますが,それを選ぶかどうかは県議たち次第ということになるでしょう.それすらできないのなら,

兵庫県議とはその程度の集団だった

ということになります.


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