源泉100%を求めて〜奥飛騨・福地温泉「元湯孫九郎」 / 岐阜 16/47
2022.8.2
こんにちは。
暑さと湿度に疲れた身体を癒しに温泉へ行ってきました。「大鷹の湯」で、源泉掛け流しの威力に感激して以来、疲れたら源泉100%。
(記事「真の源泉掛け流し 「大鷹の湯」 / 栃木②」)
向かったのは、岐阜県と長野県の県境、奥飛騨温泉郷にある福地温泉(ふくじおんせん)。標高1000mほどの山間に位置する秘湯。
元湯 孫九郎
源泉100%の「本物の温泉」を提供してくれる旅館 孫九郎へ。
活火山・焼岳の恩恵を受け、昭和43年に創業。昭和49年に自家源泉の掘削に成功し、奥飛騨でも有数の湯量を誇る源泉の宿として知られる「元湯 孫九郎」。
『究極の源泉宿 73』によれば、本物の源泉宿とは
①源泉掛け流し(循環させていないこと)
②加水しないこと(湯量不足による加水、温度が高すぎるための加水をしない)
③消毒しないこと
④清潔が保たれていること(こまめな清掃)
高温の源泉に一滴の水も加えず、熱交換で適温にしている孫九郎。勿論、循環や塩素系薬剤の投入などは一切ありません。
貸し切り露天風呂
外風呂「蒼の湯」、内風呂「大湯」、2つの貸切風呂があり、まずは明るいうちに露天風呂へ。暖簾をくぐって左が
貸し切り露天風呂。予約不要なので空いてる時にサッと入れて便利。
露天風呂「蒼の湯」
通路を右へ歩いて行くと
外庭「杜の十石」
途中に「杜の十石」への扉が。
奥飛騨の自然が感じられる気持ちの良い外庭が広がっていました。
先代があえて離れた場所に作ったという山里の自然あふれる露天風呂「蒼の湯」。
愛らしい鳥の扉を開けた瞬間、「わー!美しい!」。
とにかく美しかった。作り込み過ぎない緑、お湯の水色、木の茶色。
この美しい瑠璃色の湯は、異なる源泉をブレンドして温度調整をしているため。源泉の硫黄分と鉄分が反応することで、この色が生まれるそうです。
素晴らしかったのが空間構成。脱衣所の右手に「なか風呂」があるのですが、そこから見る外の景色が絵画のようでした。
ヒノキ材や珪藻土、土壁など天然素材にこだわって作られていた「なか風呂」。
ここでも石たちとの色合いの美しさに感嘆。館主の美意識が隅々まで行き渡っていました。この美しさと清潔さを維持するのは並々ならぬこと。
外へのアプローチも魅力的。
濃厚でフレッシュな源泉に浸かると疲労回復、肌もツルツル。
内風呂「大湯」
内湯「大湯」の源泉は、美肌効果の高いナトリウム炭酸水素塩泉。
飲泉は、皮膚からのミネラル吸収の18倍にもなるという。加水、循環、消毒されていない源泉の威力が濃縮されている。
源泉100%ならではの酸化還元作用。
活性酸素で疲れる、老化する=「酸化」を、疲れが取れて体調を整える=「還元」する温泉の一番重要な還元力。
髪を洗える湯も用意されていました。これは嬉しい。
夜を歩いてみました。
不思議な温泉郷でした。
お土産屋さんが立ち並び、寂れた感漂う、よくある温泉地の風情は一切なく、ゆったりと曲がる坂道にぽつんぽつんと旅館が点在しているだけ。
静かにそこにあって、来てくれる人を歓待する感じ。自然で心地良い。
星空を見上げながらの夜の露天風呂も最高でした。もっと満天の星を体感したくて真っ暗な庭に出てみたら、流れ星にも出会えた。わーい。
お食事処は、養蚕農家を営んでいた館主の住まい(築160年)をそのまま使用しているそう。これは雪深い冬に訪れたい雰囲気。
音泉リビングParagon
温泉の後に音泉浴。
音って思っている以上に身体に働きかける。人それぞれ固有の周波数を持つように、臓器もそれぞれの周波数を持っていて。乱れた周波数を元に戻す効果があるのが、ソルフェジオ周波数に代表されるヒーリング音。
いい音楽を聴きながら〜本棚を眺めていたら、おっ、ルーク・オザワの「ANA747 FINAL THANKS JUMBO 1979-2014」が!
2014年3月31日、ANAのフリートから退役したボーイング747。
ジャンボの消えた空は寂しかったわ。
(記事「世界最大のボーイング社エバレット工場 とエアフォースワンが見られる航空博物館/ シアトル①」)
「真工藝」の木版手染めぬいぐるみ
飛騨高山に工房を構える「真工藝」の木版手染めぬいぐるみ。
龍と目が合って連れて帰ろうと思ったら、隣にいた双頭の赤ちゃん白蛇を発見。もうだめだ、ビルマの竪琴だわ「一緒に(日本に)帰ろう」。十二支みんな連れて帰る。
木版手染は「真工藝」が独自に研究開発した手法の染付け。素朴な生木綿に飛騨の伝統ある木版で染付け、高温で色止めし、もみ殻を詰め縫い合わせた始終手作りのぬいぐるみ。あたたかくて懐かしい。
午(うま)は、左甚五郎!の若き作品「稲食馬」をモチーフにしたそう。
左甚五郎といえば、上野東照宮を思い出す。
(記事「上野東照宮でユニコに会う」)
女将に木版手染や飛騨染の素晴らしさを教えていただいたので、次回はゆっくりファブリック巡りをしてみよう。
「露天風呂のデザイナーはどなたですか?」と伺ったら、なんと館主でした。スゴイ!
繊細さと大胆さのバランスが秀逸な空間でした。
流入口における分析
何気なく見ている温泉の成分分析表。注目するのは流入口における分析。
普通の分析表は源泉で採取したもの。源泉から施設までの距離や加水、加温、循環などにより浴槽では泉質が変化しているケースが多々あるようで。
孫九郎では浴槽湯口で採取したお湯を分析・掲示していました。
源泉を守り、高い美意識を巡らし、細部にまで意識が行き届いた素晴らしいお宿でした。
また来ます!雪の季節に。
元湯 孫九郎
〒506-1434
岐阜県高山市 奥飛騨温泉郷福地1005