本当に大事なものは目に見えない。 「鈴木敏夫とジブリ展」
2022.07.14
こんにちは。三鷹のジブリ美術館から帰ってから気持ちはジブリで。寺田倉庫で開催されている「鈴木敏夫とジブリ展」に行ってきました。
(記事「ゆたかであたたかい美術館〜三鷹の森ジブリ美術館」)
PIGMENT(ピグモン)
その前に、寺田倉庫が運営する「PIGMENT(ピグモン)」に寄る。(記事「圧巻!4500色の顔料 / 伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」)
ここのディスプレイの美しさは秀逸。来る度に新たな発見があり、創作意欲が刺激される。美しいって嬉しい。
鈴木敏夫とジブリ展
スタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫さん。あの名作の題字を書いている方、”「となりのトトロ」を作ろう”と発案された方。
泣き出しそうな空には鶴丸。滑走路を4本持つ羽田では、最短45秒間隔で離着陸が行われています。
入口を入ると、わー!あの題字。
伝統芸能 ”石見神楽" の公演『魂(みたま)神楽』へ寄せた言葉。
石見といえば石見銀山を思い出す。スサノオにアマテラス、八岐大蛇…。
(記事「4千年前の地底の森へ。 三瓶小豆原埋没林 / 島根②」)
ここから、鈴木プロデューサーが少年時代を過ごした四畳半の部屋が再現されていたり、スタジオジブリでの足跡を辿る展示が始まります。ですが、撮影禁止。
ジブリ美術館と同じように、撮ることに捉われず、自分の目で見て感じることの大切さを思い出させてくれます。
私の本棚にもWild Thingsたちいるわー
8,800冊の本棚
鈴木さんのこれまでを形作った8,800冊の本棚。鈴木プロデューサーの隠れ家・れんが屋をモチーフにしたそうです。
この展覧会のスポンサーである au/KDDIのブランドスローガン「おもしろいほうの未来へ」と書かれた本を読んでるカオナシ。
うんうん、どんな時も自分が惹かれる「おもしろい」を選択したいね。
あっ、竹宮惠子さんの『地球(テラ)へ…』!夢中になって読んだなー
コンピューターにより徹底的に管理された社会。何の疑問もなく「従う」ことに慣れきった人々。自分とは、私とは、進化とは。
今、この状況下でもう一度読みたくなる作品。
チェブ!(記事「チェブラーシカを連れて首脳会談が行われたレスナーヤ・ザイムカへ / ウラジオストク④」)
「我々はどこから来たのか ー歴史学・民俗学・人類学に学ぶー」
ジブリの作品をみて感じること。それは神話や伝承が至る所に散りばめられていること。
神話や昔話、伝承には真実が散りばめられていると思ってて。真実は物語や子ども向けの童話などにもひっそりと隠されているって感じてる。
特に好きな2作品、『千と千尋の神隠し』と『もののけ姫』にそれを感じる。
真の名前を口にすることはその人の霊的人格を支配することになる、という習俗や、
多くの神話に登場する黄泉戸喫(よもつへぐい)などなど。
黄泉戸喫は、黄泉の国(あの世)の食べ物を口にするとこの世に戻れなくなるというもの。イザナミですなー
ハクが「ニギハヤミコハクヌシ」という本当の名前を思い出した瞬間、白龍であったハクは元の姿に戻ります。
ニギハヤヒ(邇芸速日命 にぎはやひのみこと)を彷彿とさせますねー。
ニギハヤヒはアマテラスから十種神宝(とくさのかんだから)を授り、天磐船(あまのいわふね)で高天原から河内国(今の大阪府交野市)に降臨した神。交野市にある磐船神社には舟形の巨岩が御神体として祀られています。
そしてこのニギハヤヒに従ったのが長髄彦(ながすねひこ)。どうしてもアシタカヒコ、という名と重なってしまいます。
ヤマトとの戦いで長髄彦は、朝廷側に寝返ったニギハヤヒに殺されてしまいます。蝦夷の祖とされる長髄彦、北の大地からきたアシタカ、そしてニギハヤヒ。
とても深いメッセージが込められているようです。
油屋別館
本棚を抜けると
湯婆婆の部屋の前にある、あのシノワズリな陶器!
木製でしたー
そして湯屋「油屋」(あぶらや)をモチーフにした大型空間、<油屋別館>が広がっていました。
湯婆婆と銭婆が対になってるおみくじ屋さん。
口の中にある紐を引っ張って、出てきた数字の引き出しを開けておみくじを取り出します。
神様たちに逢えるかと思ってボタンを押したけど…
あのシーンも再現できるの。
オオトリ様と一緒に!冷やし足湯 “せんとうちひろ”。
手ぬぐいを受け取って
ひえ〜冷たい!そうだ、冷やし足湯だった…冷房が効いた館内だとちょっと寒い。となりの人、足つってるし〜ひやっひゃっ。
イモリの黒焼きは完売。残念。
店番してたカオナシが愛らしすぎた。一緒に帰る?
で、水辺でご飯食べながら
購入した「カオナシ醤油差し」を出して嬉しがる。
記事を書くのに、2010年のBRUTUSを引っ張り出してきた。
「本当に大事なものは目に見えない」
今回の展示で残った言葉。ジブリの作品には何やら根源的なものが宿っている。深いところに刻まれた遠い記憶のスイッチが押されるような。言葉にする前の何かとてつもなく大切なもの。
品川駅でウルトラマンが飛んでた。
ヒュッと横の改札を抜け、新幹線に乗って遠くへ行きたい衝動にかられた。「蓋が開いたまま」でいいのかもね。
「鈴木敏夫とジブリ展」
会期:2022年7月1日(金)〜9月7日(水)
開館時間:10:00~20:00 ※最終入場は19:30まで
会場:東京・天王洲 寺田倉庫B&C HALL/E HALL
〒140-0002 東京都品川区東品川2-1-3