マチルダの丘へ。 ユーゲントシュティールとロシア正教会 / ドイツ・ダルムシュタット(Darmstadt)①
こんにちは。
ソー・エルメスのチケットを取った後、悩んだのが飛行機。
昔々はなかった燃油サーチャージというやつの高騰と円安が重なるとねぇ。
マイルを使ったとしてもパリ直行便は高いし、燃油サーチャージがかからないカタール航空でドーハ経由で行くか〜とか色々検討した結果、フランクフルト トランジットに決定。
トランジットを決めたら楽しむ。目的地に着くまでの寄り道ってワクワクするのよね。
涙が出るほど美しかった夜明け。
眼下には雪に覆われた山々!グリーンランド?
ひとり感動していたら、クルーがキャプテンに聞いてきてくださった。「グリーンランド上空です。」
パリパリとした薄氷の上に柔らかいレースのような雲がかかり…なんて幻想的。
あっ、ここで書かなくては。「野筆」持ってきたからね。
(記事「『野筆』を携えて飛び出そう! / モンベル x 製硯師(せいけんし)青栁貴史氏の毛筆セット」)
「素晴らしいフライトをありがとう!」キャプテン&クルーにお礼を言ってドイツ入国。
フランクフルトから電車で20分程南にある街、ダルムシュタットへ。アウトバーンをぶっ飛ばすバスだと30分くらい。
次の日はマチルダの丘(Mathildenhöhe)までテクテク歩きます。街の中心 ルイーゼン広場からスタート。
朝市を見ながら、
ハーブとクリームチーズのプレツェルをいただいて、また歩く。
うーむ。映画『OPPENHEIMER』が公開されていた時期アメリカで感じたことを思い出した。
(記事「オキーフの愛したゴースト ランチで考えたこと / Abiquiu(アビキュー)・ニューメキシコ vol.2」)
着いた!
マチルダの丘は、芸術を愛したヘッセン大公国の最後の大公であったエルンスト・ルートヴィヒ(Ernst Ludwig Karl Albrecht Wilhelm)が、多くの芸術家や建築家を召集して1899年に設立した芸術家村(Künstlerkolonie)。
クリムトを中心に結成されたウィーン分離派の創設メンバーであるヨゼフ・マリア・オルブリッヒ(Joseph Maria Olbrich)などが建てたユーゲントシュティール(ドイツ版アール・ヌーボー)の建築を観ることができます。
ユーゲントシュティールもだけど、私は芸術家コロニーの中心に建つロシア正教会の存在、この違和感が気になってダルムシュタットに来たのよね。
だってソ連時代に初めて見た時から葱坊主建築(オニオン・ドーム)が好きだからね。(記事「極東ロシア ウラジオストク①」)
このロシア礼拝堂は、ルートヴィヒ公の妹アレクサンドラ(Alexandra Feodrovna)とロシア最後のツァーリ(皇帝)ニコライ2世との結婚を記念して建てられたもの。
周りとの様式が違うこのロシア正教会の独立感を緩和するため、1914年に設けられたリリエンベッケン(ユリの水盤)。
この模様と一体で観てね、ということか。
イコノスタシス(聖障)の装飾群、
壁面を埋めるユーゲントシュティールの美しい文様。
「白鳥宮(Schwanentempel)」と呼ばれるパビリオンは、アルビン・ミュラー(Albin Müller)設計。
白鳥たちがぐるりと草花文様で覆われたドーム天井を支えています。
階段を降りると、右に緑のラインが特有なペーター・ベーレンス(Peter Behrens)設計の「ハウス・ベーレンス(Haus Behrens)」。
途中左を見ると、巨大な男女の像が異様な「エルンスト・ルートヴィヒ・ハウス(Ernst Ludwig-Haus)」
振り返ると礼拝堂。
オルブリッヒ設計の「グローセス・ハウス・グリュッケルト(Großes Haus Glückert)」。
こだま。
オルブリッヒの邸宅「Haus Olbrich」を横目に
ゲラン…
コロニーのスタジオハウスとして建てられた「エルンスト・ルートヴィヒ・ハウス」へ。
まあ巨人はいた、と思うし
オルブリッヒの設計の「結婚式の塔(Hochzeitsturm)」へ戻る。
1908年完成のこの塔は、エルンスト・ルートヴィヒの再婚を記念し、ダルムシュタット市が贈ったもの。
「展覧会棟(Ausstellungsgebäude)」の美しいモザイク
太陽と十二支のモザイクが施されているフリードリヒ・ヴィルヘルム・クロイケンスの日時計を見ながら。
「5本指の塔」とも呼ばれる手のような塔は、結婚式の宣誓の手をイメージしているそう。
金ピカな入り口から入ると、
日時計のクロイケンスによるモザイク「キス(Der Kuss)」。
まだもう少し歩きまーす。
続く。
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