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「みかんの香りのバレンタイン」―山根あきらさん 青ブラ文学部#一衣帯水の地のバレンタイン企画参加
冬の海風は 容赦なく
マフラーの隙間からも 入り込み
冷たい手のひらで 触れてくる
海が見下ろせる
丘の上の みかん畑の近くに
バアバは 眠っている
みかん畑では 昔と変わらない
収穫風景が 続き
バアバが フィと
顔を 見せそうだ
海は 限りなく蒼く
水平線の 白い雲は
海から生まれた 泡たちが
遊ぶ 遊園地のように
プカリプカリと 流れる
バアバは いつもボクの側に
居てくれる
手をのばせば
皺だらけの手が 握り返してくれそう
この世と あの世の隔たりは
ボクとバアバの間では
わずか 薄絹 一枚の隔たりしかない
バアバが 大好物だった
豆大福を一箱 墓前に 供えて
手を合わせ バアバに呼びかける
「バアバ ご無沙汰ばかりで ごめんな
今日は 大事な人にプレゼントを贈る
特別な日なんよ。バアバは しらんかったろうなぁ
じゃから ボクからの プレゼントじゃ。
バアバ ボクは 都(みやこ)で しゃんと しょーるけー
せわーねーよ(心配ないよ)
ハッピー バレンタインじゃ!!」
線香の煙が 身をくねらしながら
ボクの言葉を 抱えて 昇って行く
ボクの 一衣帯水の地のバレンタインの日は
抜けるような 碧空の下で
みかんの 匂いに包まれて
しんみりと 過ぎていく
山根あきら様」の 青ブラ文学部企画
#一衣帯水の地のバレンタインに参加
させていただきました。山根様どうぞ
宜しくお願いいたします
#一衣帯水の地のバレンタイン #青ブラ文学部 #詩 #Poetry #lyric #抒情詩 #愛 #バアバ #立山 剣 #自由詩 #詩のようなもの
#ふるさとを語ろう
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