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「母さんのこごと」―詩―

母さんの小言は 秋の長雨のよう
心のガラス窓を 濡らし続けて
終わることがない

子犬の ルルのひげを
面白がって みんな 切ってしまう
いたずらをした

ボクが ずっと うつむいたままだと
「坊や ちゃんと 聞いてるの!」と
悲し気に 声を強める

ボクは とうとう大声で泣く

長いまつげが 影を落とす
母さんの目は 
悲しそうに うるんで
じっと 秋の羊雲が 
流れていくのを 見上げる

細く 痩せた背中に 抱きつけば
割烹着から 陽だまりの 匂い

大人になっても
その匂いが 恋しくて
秋日和の日は ひなたぼっこする
陽だまりには かあさんの
真珠色の 笑顔が見えるよう

その 笑顔は 
まだ おこごとを 
いいたげな にがわらい顔だ
(2022年作品のリライトです)

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