「戻りたいよぉ！！」詩―シロクマ文芸部企画「懐かしい」参加

稲は　秋風と　手を取り合って
サカサカと　身を揺らす
オレンジ色に　染まっていく空
朝日に　そっと手を合わせるバアバ
暖かな光が　手のひらに包まれる
老犬は　小屋の前で
ゆるゆると　大あくびする

懐かしい　故郷の田舎言葉
「坊や　おいでんせぇ～
まあ　あがりんせ～～」
バアバの手作り　おはぎが
丸い　ちゃぶ台の上で
甘い　匂いを　ふりまいて
出迎えてくれる

裏の池で　ジイジとザリガニ釣り
ジイジは　節くれだった指で
チョンチョン釣り上げる
ボクは　ちょっと固まって
バケツをもって　側で見てる

果てない　稲田の上を　
数えきれない　赤とんぼが
羽音が　ひびかせて　飛び交う
指を立てると　ツンと
止まってくる

バアバに　手を引かれ
みかん山に　昇っていく
登れば　みえてくる
エメラルドグリーンに輝く　海
バアバの　静かな息遣いは　波音のよう

夜空は　星だらけ
ジイジとバアバが　鎮守の森の
秋まつりに　連れてってくれる
幻想的な　神楽のおどり
まるで　不思議の国の住人みたいな
お面たちがにらむ　屋台
大好きな　金魚すくいを
2回させてもらい
お家へと　帰る

三人の　影法師は　凸凹で
道の真ん中で　大きく伸びしてる
青白い顔の　お月さまは
いつまでも　ついて来てくれる

あの　金銀の粉粒のような
胸が　熱くなった時代に
どうしたら　もどれるのか・・・
都会の空の　月にきいてみるが
まだ　返事が返ってこない。。。

小牧幸助さんの＃シロクマ文芸部 題「懐かしい」
企画に参加させていただきました
小牧様　いつもおせわになります

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