ゆたかすぎる想像力は、社会的人間には不自由か。
「書籍代だけはケチるな」と、両親にそう言われて育った。
図書カードは自由にいくらでも貰えたし、今でも欲しい本があれば言えば買って貰える。本当に、なんて素晴らしい親を持ったのだろうと思う。
おかげで育った想像力は、私の脳のキャパシティーをひどくひどく拡大させた。今やルフィーのお腹のように無限大まで伸びる。
例えば、私は目を瞑ると出会える。
未だすれ違ってもいない、冬なのにトレンチコートを着て凍えながら六本木交差点を歩く男性の鞄の傷みとか、見たこともない、東神奈川の駅ででっ