![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173034506/rectangle_large_type_2_cdc448bda4a995ddf0c9d1e814822bd4.jpeg?width=1200)
映画『ファーストキス 1ST KISS』裏話!塚原監督×山田Pティーチインレポ
2月7日の公開に先駆け、1月31日に試写会が都内で行われ、上映後に塚原あゆ子監督と山田兼司プロデューサーが登壇されました。
撮影の裏話が沢山聞ける貴重な機会だったので、みなさんにも知ってほしくレポします。
観賞前に読んでいただいても問題ないかと思いますが、なるべく前情報なしで観ていただきたいので、ストーリーに多く触れる部分にはタイトルに「(★ネタバレ注意)」をつけています。
また、ティーチインに「ここだけの話してほしい」と仰っていたエピソードは省いています。
※録音はしておらず、私の走り書きのメモ+記憶の掘り起こしのため、全てをレポできているわけではないのと、細かい表現に相違があったら申し訳ありません!
日本映画では一番音にこだわった作品
塚原監督はとても丁寧に音作りをされる方、と山田P。
塚原監督によると、人が亡くなった時の「寂しさの正体」、ぽっかり感を上手く表現するために、その緩急を意識したそうで、日常の音が心に入ってくるつくりになっています。
靴の音やドアの開閉の音など、環境音もこだわっているので注目です。
坂元裕二脚本×塚原あゆ子監督というゴールデンタッグの実現秘話と制作の裏話
『怪物』の製作チームで次回作を、という話になった時、真っ先に松たか子さん主演で、夫婦の物語にしよう、と決まり、
女性の物語として描く際、坂元さんと山田Pでは男性目線が強くなりすぎてしまうため、女性の視点を入れたく、今一番勢いのある塚原監督にお願いしようと思ったそう。
実際、坂元さんと山田Pにはない感覚で省いたセリフがあったりと良い影響が多かった、と話されていました。
塚原監督は最初坂元さんの脚本を、バイブルのようなものだと緊張して受け取ったそうですが、実際坂元さんとコミュニケーションを取ると、柔軟な方だったので、話し合いながら修正を加えていったそうです。
描くテーマについては、タイムトラベルがテーマの作品が世界に多くあり、生涯の一本、と思い浮かべるお気に入りの作品がある方も多い中で、坂元裕二脚本でタイムトラベルものを描いて、歴史に残る作品を作りたかった、と山田P。
実際に観賞し、ファンタジーすぎない絶妙なバランスの脚本が、さすが坂元裕二、、、!と思いました。
ダサイTシャツデザインは大島依提亜
作中で印象的な松さん演じるカンナ着用のかき氷のTシャツは、ダサすぎないラインを意識したそうで、山田Pが大島依提亜さんにオファー。
映画のポスターや、特にA24のデザインで有名な方ですが、ダサいTシャツのデザインはとても苦労したそうです。
グッズとして販売もされるらしいので、気になる方はぜひ。
実際ティーチインでも塚原監督、山田Pともに着用されていて、とても可愛らしかったです。
タイムトラベルを描く上でこだわったロケ地選び
何度もタイムスリップするので、過去と現在の差をつくることを意識した、と塚原監督。
過去にいるんだ、と分かりやすいモチーフにするために、過去シーンの撮影を自然の多い土地とし、季節も夏に設定。
同じシーンの撮影も多いので、飽きさせないように・タイムトラベルするごとの変化がわかるよう撮り方も意識しているそうです。
シーンごとに松さん演じるカンナや松村さん演じる駈の心境がわかるような撮り方になっているそうで、それを踏まえてもう一度観賞してほしい、と山田P。
「粗が見つかるだけかも、、、」とつぶやいた塚原監督が可愛らしかったです!
松たか子演じるカンナの心境を衣装でも表現
衣装部には麻生久美子の旦那さん、伊賀大介さんがいらっしゃるそう。
塚原監督は、年下の男性にアピールする、という心境を表現できるよう衣装部にお願いしたそうで、実際タイムトラベルを重ねるごとに綺麗になっていくカンナの外見の変化も印象的です。
最初から張り切らず、相手(駈)もまんざらではないと思ってからウキウキするような服を着てもらえるように、とディレクション。
メイクは松さん主導で、化粧っけのないところから、どんどん張り切ってメイクをしていくように変化させていったそうです。
最初のダサいTシャツ×ナチュラルメイクの松さんも魅力的ですが、背中の空いた服や凝ったデザインのブラウスを着てお洒落したカンナはとっても魅力的でした。
心に残っているのは12ページの長回しのシーン(★ネタバレ注意)
終盤ホテルのロビーでの長いシーンのエピソードを沢山語ってくれた塚原監督。
撮影時は松さん・松村さんともに緊張していたそうです。
松松コンビの会話が段々こなれていき、心の扉があいていく感じを上手く表現してくれた、と塚原監督がお二人を称賛されており、本当に夫婦だったらこんな会話をしていたのだろう、と想像できる演技になっているのでさすがです。
このシーンの環境音もかなりこだわり、周りの声が聞こえる状態から無音になり、ひぐらしの鳴き声に、と変化していくそうで、2人の心境・関係性の変化と重なっていると感じました。
また、撮影時の2人の距離感は、塚原監督主導ではなく、松松コンビが話し合って決めていったそう。
関係性が変わっていくと距離感も変わっていくよう、2人が工夫して立ち位置・座り位置が決まったそうです。
振舞いもどんどんくだけていくので、心情の変化がよくわかり、脚本にお二人が丁寧に向き合っていたのだろうと想像できます。
(坂元さんには2人の距離を近づけてほしいと言われたが、おじさんの感覚なので却下した、と山田Pが笑いながら語られていました笑)
ラストシーンのこだわり(★ネタバレ注意)
どうしてこのラストになったのか、という質問に対してのお二人の返答が印象的でした。
タイムトラベルものだけど、タイムトラベルでなくても成立するストーリーを描きたかった。
現実に生きる視聴者側が、観た後日常に落とし込める、実在感のある、地に足をつけた人間ドラマにしたかった。と語られていて、
その絶妙なバランスが実現したからこそ、登場人物に共感でき、自分の大切な人を思い浮かべられる作品になっているのだと感じました。
制作の裏話やお二人の気持ちが伺えた贅沢すぎるティーチイン
30分程度のティーチインはあっという間に終了。
お話を聞いた上で、もう一度観たくなる裏話が沢山聞けて大満足の時間でした。
まだ観ていない方が本作に興味を持ったり、観賞済みの方がもう一度観たくなったりするきっかけになれば幸いです。