8年後、ふと思い出す「からんこえ」に。
学び支援事業の「つながりができる環境づくり」の一環として、児童養護施設内における居場所カフェ「からんこえ」を6月より始めた。Kacotamを中心に札幌市内で子ども・若者支援をしている3団体が協働で行い、児童養護施設にいる子どもたちとアナログゲームを通して関わる。
活動背景
社会的養護に関わる児童福祉施設にはいくつかあり、その一つに児童養護施設がある。以前は孤児院と呼ばれ、両親がいない子どもが多かった。今は主に虐待によって、入所しているケースが多い。多くの子どもが高校卒業とともに施設を退所することになるが、退所後に家庭に戻れる子どもは多くはない。そのため、一人暮らしをしながら、新しい環境で働いたり、学校生活を送ったりしている。
北海道の調査によると、児童養護施設にいる子どもの大学等(大学・短大・専門学校)への進学率は27.9%となり、北海道の高校生67.2%の半分以下となっている。進学率は少しずつ高まっているが、まだまだ格差を大きく、就職する子どもの方が多いの現状だ。
また、退所後に就職した先を継続して働いているかどうかを表したものでは、3年目には最初に就職したところで継続して働いているのは、約38%にしか過ぎなく、約60%が児童養護施設を退所して最初に就職したところを辞めてしまっている。
北海道の調査には、直接的な理由は特に記載されていないが、東京都でも同じような傾向にあり、東京都の調査では①仕事内容・給与条件、②人間関係、③心身のストレスで悩むことが挙げられている。また、困ったときに相談先として施設職員が43%と圧倒的に多い。次に親(保護者)22%となっている。親との関係性が良くない場合もあるし、近い関係だからこそ、施設職員には相談できないということもある。そういった若者にとって、相談できる相手はかなり限られている。
北海道では特にアフターケアが十分に行われていない。数年前から外部団体に北海道・札幌市が委託して行っているが、1団体が行えることは限られている。若者は施設を退所して、就職先・進学先の地域で暮らしていくことになる。だから、その地域に若者を支える土台があるかどうか、困ったときに困ったと言える存在がいるかどうかが鍵となる。そういう存在は簡単にできることではない。だからもし、親や施設職員以外の第三者が関係を構築するには、少しずつ時間をかけて施設に入所している間につながりをつくる必要があると考えている。
からんこえという活動
そこで始めたのが「からんこえ」という活動。月に1回児童養護施設を訪問し、アナログゲームを通して、小学5年生から高校3年生の子どもと関わる。長い子どもで8年は少なくとも関わることになる。また、関係性を構築しながら、新たな学びの機会を提供する。必要に応じてすでに行っている学ボラやお仕事カコタム、子どもの「やりたい」をカタチにするプロジェクトなどにつないでいく。
なぜ、アナログゲームかというと、ゆるきちの連続企画でアナログゲームを行っていたメンバーから、「子どもの表情が見えて、参加者の性格が出やすく、お互いのことの知るツールとして良いですよ」という話があったので、これ今度活用してみようと密かに思っていた。
実際にやってみて、その通りだった。今回初めて行ったので、緊張していたが、後半になったら、メンバーとの会話も生まれ、表情が見え、楽しそうに時間を過ごしているようだった。
からんこえという名前の由来
「からんこえ」という名前は、あるKacotamメンバーの発案だ。そこには、下記2つの意味がある。
①花言葉に「小さなたくさんの想い出」
②小さな花がたくさん集まっているところから、子どもたちが集まる場を連想させる
施設にいる間にこの活動を通して、小さなたくさんの思い出ができて、困ったとき、誰かに相談したいときにふっとその思い出とともに、カコタムを思い出す。そうなったら良いなあと思っている。
この活動を通して、施設退所後の子どもたちの現状を少しでも変えられるようなきっかけとしていきたい。
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