【小説】生かされているということVol.4
妻は一命をとりとめた。
AEDがないとこの世にはいなかっただろう。
妻は先月31歳になったばかり。
持病も特になかったのに、どうして心肺停止したのか。
……
妻ちはるとは、私が大学生の時にスポーツジムで出会った。
スポーツジムの会員になって2日目に、インストラクターをしていたちはるが、マシーン説明をしてくれたのがきっかけだった。
ハキハキと説明するちはるに惹かれた。一目惚れだった。
大学で野球をしていた私は、夏休みだったこともあり、ほぼ毎日通った。
毎日、話しかけた。プールで話をしすぎて気がついたら1時間たってていたこともあった。
付き合うまでは時間はかからなかった。
それから7年して結婚。娘も授かった。
妻は娘を出産後、仕事に復帰し、レッスンも担当していた。
なにもかも順風満帆だった。生きているということは当たり前だった。
……
そんな日常が突如なくなった。
昨日までの笑顔はもうみられないのか?
病院の待合室で娘を抱っこしながら、泣いた。
とにかく妻を助けてほしいと懇願していた。
ただただ祈った。
治療室の様子はわからない。
おそらく挿管され、カテテールを入れられ検査されているのだろうが、妻の声は聞こえない。
反応がないのか?
反応がないということは!?
不安しかなかった。
時刻は6時半を過ぎていた。
発見からすでに1時間半はすぎていた。
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