千と千尋の神隠し
千と千尋の神隠しを久しぶりに観た。
ハクを観て、
自分が育った場所の川の神様や土地の氏神様が、
ずっと自分を見守ってくれているとしたら、
すごく温かい気持ちになるし、安心できるな、
と思った。
千と千尋の神隠しって、
皆が最初から味方っていう訳じゃないんですよね。
臭く汚いクサレ神が、
実は偉大な河の神様だったりするし、
(一番好きなシーン!)
カオナシも途中で暴れ出したり、
従業員を飲み込んだり、
結構ヒドイことしてるけど、
千尋は、臆することなく立ち向かう。
坊や湯バードも、最初は湯婆婆の手下(?)だったけど、最後は千尋と一緒に旅をして、
千尋の味方になる。
そして、善でも悪でもない「中道」という場所で、
銭婆婆と一緒に、
カオナシも坊も湯バードも皆で、
千尋を守る髪留めを作る。
人間も良い行いばかりではなく、
過ちを犯す生き物だ。
最初から最後まで、
ずっと良い人なんていない。
魔法でネズミと虫に変えられた坊と湯バードの正体を見破ることが出来なかった湯婆婆とは対照的に、
最後、並べられた豚の中に両親はいない、ということを見破った千尋。
そして、最後には皆が千尋の味方になっていた。
最初は、人間だと毛嫌いされていたのに。
見かけに騙されることなく、
相手の本質を見極め、
自分のスタイルや信念も崩さない。
そういう人としてのあるべき姿を
小学生の女の子に投影したものが千尋なのだろう。
ひ弱だった女の子が、
助けを得ながらも自分の力で仕事を得て、
立派に働くまでになる。
途中で「帰りたい」とか「辞めたい」と言ったら
子豚にすると、湯婆婆に言われたり、
手を出すなら最後までやれ、と釜爺に言われたり、
宮崎駿監督の仕事に対する信念も感じる。
出だしから、欲望のままに神様の食べ物を勝手に食べて豚に変えられてしまう両親には、社会風刺を感じる。
それにしても、ハクはカッコいい。
ジブリアニメのヒロインやヒーローは、
皆芯があって凛としている気がする。
そして、建物や背景に対する、
細部までこだわりを感じるデザインと書き込みには惚れ惚れする。
キャラクターの動きや表情にも、
細部までリアルさや機微が表現されていて、
「神は細部に宿る」とはこういうことか、
と思わされる。
ちょっとした遊び心のある演出も、
作品の雰囲気を全く崩すことなく、
より味わい深さを出している。
(ネズミになった坊がエンガチョするシーンや、
銭婆の家で、おしとやかにケーキを食べるカオナシとか)
ジブリ作品は、大好きだけど、
この千と千尋の神隠しと、
魔女の宅急便は特に好きな作品です。
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