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この本に出会える今の学生たちが羨ましい【経済評論家の父から息子への手紙】山崎元


おはよう・こんにちは・こんばんわ


「かき氷」 というアカ名で投稿している者です。
この投稿含めた「読んだ本の感想」を投稿しています。
今のところ毎週後半の投稿をこころがけておりますが、仕事などの都合で前後する場合もございます。



今回紹介するのは


山崎元 著

経済評論家の父から息子への手紙
お金と人生と幸せについて


この本は、著者の息子が大学生になった時に書かれた父親として教えたい「世の中のしくみ」「お金」「人間関係」「キャリア」「幸福」などが多く詰めこまれた1冊です

著者の山崎元さんは経済評論家をされていた方でメディア出演や執筆、講演会など様々な分野で活躍されていました。
闘病のすえ、2024年1月1日に永眠されました。
(本書巻末を参考)


闘病生活のなかで、著者が「息子や娘」さらには「同じ年齢の人たち」に向けて遺してくださった書籍となりますが、本というより『子供に向けた手紙』そのものでした。

本書でおおく書かれていたメッセージとして印象的だった文章が

ただ、お金の稼ぎ方、増やし方で、「不利な側」には回ってほしくない。世間に流されてぼんやりと働いていると、一方的に「利益を提供する側」に回って損をする。

まえがき 3ページ

このまえがきは更に『就活生が同じようなスーツ姿で会社説明会にいき、春には就職に成功した学生が入社式に挑む映像を見ると「悲惨だな」と思う』という感想まで残されていました。
(『』内は3~4ページを参考に縮めて書かせていただきました。)

わたしの解釈も込みで説明するなら " 世の学生たちは「社会の仕組み」を知らないまま「不利な立場」に向かってしまっている " という警告にも聞こえます。

投稿主は30代目前というのもあって、内容みた時は「少し手遅れかもしれない」と感じていましたが開けてみると「何歳でも知っておくべきメッセージ」だと思いましたし後世に語り継がれるべき1冊だと断言できます

本書の構成は

第一章 働き方・稼ぎ方
第二章 お金の増やし方と資本主義経済の仕組み
第三章 もう少し話しておきたいこと
終章    小さな幸福論
付記    息子への手紙


という順番となります。

ボリューム満点なので、著者がとくに伝えたかったであろう点・特に心に響いた点を厳選して紹介させていただきます。

それでは解説に移ります。




◆効率性と自由を求めることこそ「新しい働き方」



本書は「昭和生まれの働き方常識」という項目からスタートします。

かつては「安定した職を得て、出世して、労働を高くかつ長く売る」という価値観がほとんどで、大手企業や国家公務員、医師や弁護士などの「食いっぱぐれのない職業」を目指すような生き方こそが目指すべきゴールという印象です。

人事評価という出世レースを勝ち抜いて、なるべく偉いポジションに行くことがお金持ちになる条件とも捉えることができます。

昭和の働き方がここまで評価されてきた背景には「経済成長」もありますが、会社側が用意した働き方で会社から見て「代わり」がたくさんいるという面が雇う側の強さに繋がるのだそうです。


この背景を踏まえたうえで「新しい働き方」について触れていきましょう。

「新しい働き方」は、第一に、稼ぎに「時間の切り売り」では達成できない効率性を求めて、なるべく若い時点で効率良く財産を作ることを目指す。
第二に、働き方の「自由」の範囲をかつてよりも、もっと大きく拡げたい。

18~19ページ

わかりやすく言うならば「リスクを避けて確実に稼ぐ」という働き方から「失敗しても致命的でない程のリスクを取って対価をうけとる」働き方こそが現代の稼げる地位になりやすい人という解釈となります。

もう少し具体的に触れていきましょう。



◆この社会は「リスクを取りたくない人」が損をする



先ほどの話をわかりやすく具体的にふれていきたい所ですが、前説が思ったより長くなるので割愛箇所あることをお許しください。

本書のキモとなる部分こそがここで触れる項目です。

会社とは「人がお互いを利用するために作るもの」

80ページ

というのが著者にとっての定義です。

会社というものの多くは形あるものやサービスなど提供するのはイメージしやすいでしょう。
いわゆる「生産」というやつです。

この生産には「資本」「労働力」のふたつを使うのですが。
「資本」はビジネスで手元にある原材料やお金などの総称で、労働は言うまでもなく労働者などの力を指します。

というザックリな説明になりましたが、上記が会社の構造となることを理解してもらった上で進めていきましょう。

他書の内容を少しはさみますが、私が社会の構造を知ったキッカケの本の内容を交えて解説します。

資本主義とは、ありていにいえば「お金がすべて」の世界です。(省略)つまり資本主義の世界では、お金持ちはどんどんお金持ちになり、貧乏人はどんどん貧乏になる。これが自然な流れだというのです。

金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン
3ページ


上記の内容と通ずるものがあったので参考にあげました。
つまり、起業家や投資家といった人はどんどんお金持ちになり、会社員などの雇われる側は給料という形でお金持ちになれない構造になっているのです。

恐ろしいことにこの社会構造を知らないまま学生を終えサラリーマンとして社会に順応していく若者たちが完成していくというわけです。

冒頭で触れた " 内定を取り、入社式にでる若者たちを「不利な側」" と書いていた理由こそがこの点に繋がるというわけですし、おそらく著者が1番伝えたいメッセージでもあります。

もちろん経営者もスタートは「お金が出ていく」「借金がある」などリスク発生が大いにありえる生き方です。
同時に多額の財産をえる可能性もたかいのでハイリスク・ハイリターンな生き方でもあります。

経営者とサラリーマンどっちがいいのか?という話になってしまいそうですが、これに関しては個人の感じ方によって異なるでしょう。


サラリーマンは「労働基準法という後ろ盾」「会社の看板で信用が得られる」「毎月給料がでる」などの数々の恩恵がある反面、自分の判断でお金持ちになりにくい生き方とも捉えられるのです。


個人事業主や起業家・投資家も「つぎ込んだ額が回収できないリスク」「初めは出ていくお金ばかりで労働の対価が釣り合わない」「届出、営業、確定申告などを初めは1人でこなす」など数多のデメリットございますが。
「自分の報酬を自由に選べる」「仕事相手を選びやすい」「従業員などの力をつかって大きな利益を得られる」といったメリットを同時に持ち合わせているというわけです。

サラリーマンか資本家、どちらがいいかは各々の価値観や考え方で変わるでしょう。

なれるか否かは別にして、社会構造を知ったうえで自分はどのポジションで生きるのか?を意識して人生を考えていけ!

というのが学生や社会人なりたての若者へ向けた著者からのメッセージだと本書全体を読んだうえで私はそう受け取りました。

社会構造に関してはまだまだ触れたい点ばかりですが、さらに長くなるのでここで割愛します。



◆キャリアプランを意識せよ



本書の大まかな重要点にふれましたが、もうひとつ覚えておいた方がいいと思ったところも紹介しましょう。

それが自分のキャリアを考えておけという点です。

本書には

・28歳までに、自分の「職」を決めよ
・35歳までに、自分の人材価値を確立せよ
・45歳から、セカンドキャリアについて準備せよ

131ページ


順に説明しましょう。


『28歳』は「職」選びのタイムリミット

本書ではビジネスパーソンの全盛期は30代の前半だと書かれております。

体力もあり、まだフレッシュな感覚が残っている点でも貴重な歳というわけです。

投稿主はこの歳を少し前に過ぎましたが「あの時は今より少し行動力あったよなぁ泣」と度々おもいますね。。。

著者の考えとしては新しい仕事を覚えるには「集中的な努力で2年」と書かれており、30歳から逆算しての計算ということで28歳と定義しております。

本書を読んだ私が受けた考えとしては「職選びに迷ってもいいが、おおよその進路だけは考えておけ」ということでしょう。



『35歳』で人材価値が決まる

人の実績、実力におおきく個人差がつくと言われているのが30代です。

なにかで聞いた事ある話で。
20代で華々しい活躍をみせていた人が30代でパッとしなくなったり、20代でパッとしなかった又は活躍できなかった人が30代で大活躍したりと『人生の答えが大半決まる歳』という論もある程です。

話は逸れましたが、その人が組織・業界で「この人はできる」「大物か小物か」などの個人の人材価値が定まるのが35歳だと本書には書かれています。

転職やキャリアでよく聞く35歳ラインは間違っていないのかもしれませんね。

ただ、あくまで指標としての考えなので35歳が絶対的ボーダーラインという決めつけではないかもしれません。

ただ、人間いつだって若いのは今ですし、こうしてる間にも限られた人生時間はなくなっていくので人材価値および自分らしく生きられるルートの確保はなるべく早めに越したことはないというのがあくまで私が様々な関連をみたうえで思うことです。

とりあえずですが

人生は35歳でほとんど決まる可能性が高い

これだけでも頭の片隅にのこしていただければと思います。



『45歳』でキャリアを見直す

人生100年時代といわれる昨今、それに反比例するように言われる「過去のサラリーマンが信仰してきた安定の崩壊」などの会社は永遠に存在しないという現実。

今はそんな気の遠くなるような話がワンサカ転がっています。

会社の役員などでも「定年」というリミットは存在します。先ほどの100年で仮定しても60.65歳だと35~40年続く計算です。

45歳くらいから、高齢期の働き方を見据えた「セカンドキャリア」の準備が必要だ。準備が遅れると、できることの範囲やスケールが小さくなる。

134ページ

ここは短く書かれていたので自分なりにまとめますとまだまだ続く人生の中で、どういったキャリアを歩んでいくかを考えておけということでしょう。

45歳までに必要とされているキャリアとして

・仕事に必要な「能力」
・自分の仕事を買ってくれる「顧客」


と書かれております。

28歳、35歳で触れられた項目はこう繋がっていくというわけです。


最後ザックリになってしまいましたが、20代、30代、40代と仮決めでもいいので「自分のキャリアをどうしていくか」について都度考えておくことが人生歩むうえで超超超大事になるわけです。

と書くわたしも30手前で迷える子羊状態に近いので本書からうけた鼓舞を胸に模索してやろうと痛感させらましたね汗

私、この投稿呼んでくださってるアナタも納得のいくキャリアを歩めるようお互い頑張っていきましょうね!



◆幸せとは「その時に感じるもの」


触れたい項目だらけですが、キリがないので今あげているもので最後にしましょう。

悩んだ結果、本書の題名にはいっていた「幸せ」にフォーカスして紹介します。

思うに、幸福は、人生の全体を評価・採点して通算成績に対して感じるようなものではなくて、日常の折々に感じるものだ。

164ページ

よく良く考えれば理解できる項目なのですが「幸せ」って長続きしないんですよね

「今日はいい事しかなかった!」と幸福に満たされたとしても明日には「仕事で失敗しまくりで最悪」と日によって情緒って不安定なんですよね。

ここまで来ると書くまでもないかもしれませんが

幸福感は「その時に感じるもの」だ。
そして、自分にとって、どのようなことが嬉しくて幸福に感じるのかに気づくといい。できたら、それを言語化しておこう。

164~165ページ

まとめるなら

・「幸せ」は「今」から感じ取るもの
・自分がどうしたら幸せか?を明確にする

ということです。

「明日リセットされるなら、せめて今日感じ取れる幸せを大事にする」というマインドこそ幸せを受け入れられる人なのかもしれません。


「自分がどうしたら幸せか?」もメンタルが凹みやすい人類だからこそ明確にして立ち直る原動力を知っておけということです。

著者の場合は『新しい「いい事」を思いつき、それを人に伝えて感謝される時』に自分が嬉しいと気づいたそうです。

自分が嬉しい・幸福と感じる対象は人によって様々でしょう。

・寝てる時がなにより幸福
・人の悩みを聞いてあげる時間が幸福
・ノープランでカフェ巡りをするひと時が幸福
・推しを拝めることがなにより至福

など人によって様々でしょう。

自分の機嫌を制御できるもの、これだけは何よりの生き甲斐!などの「幸せを感じ取れる引き金的なヒト・コト」を明確化することが実は幸せの第一歩なのかもしれません。

こう書くわたしも推したちに日々癒されてますし、この投稿書いてる日も推しからパワーいただいて幸福ルンルンで指を進めております。

自分に幸福をもたらしてくれる物や行動に、もしかすると「幸せ」さらには「自分の人生を輝かせてくれるヒント」が転がっているのかもしれませんね。






といった所で終わりにしましょう。



本書は他にも

・「株式で稼ぐ」という働き方
・単純な借金は危険
・集中投資よりも分散投資
・保険とは「損な賭け」
・転職を「常に」意識する
・転職していい3つの理由
・価値観の99%は他人が作った概念
・モテる事が幸せに繋がる理由
・父が息子におくった手紙

などここだけじゃ収まりきらないくらい人生で大切なことが詰まりまくった1冊です。

・就活してるけど漠然とした不安がある
・就活している我が子になにか助言を送りたい
・社会に出るとはどういった事か気になる
・今ふつうに働いているけど今現状に不満がある
・働き方の固定概念をぶっ壊したい
・株式というものが気になる
・幸せについてさらに深堀したい

など抱かれている方々にオススメです。

1ページあたりの文字も大きくスラスラ読めて、1つのセクションが短く理解しやすかったので「読書が苦手」「読む時間あてるの抵抗ある」人にも自信もって推薦したい一冊です。






他にも読書感想の投稿をしておりますので気に入ってくださった方は是非マガジンから他の記事も見てくだされば私とっても喜びます。
今のところは週の後半を目安に投稿しておりますが、投稿時点の今だと忙しくなってきたため遅くなる場合もございます。
可能な限り更新していきますのでよろしくお願いいたします。



【余談】読書とは "時間を超えた対話"


ここまで著者が残してくださった本書をオススメしつつ、お恥ずかしいことに山崎元さんを知ったのはこの本がキッカケでした。

つまり知った時点で著者は逝去されていたということです。

亡くなった著者の考えを知れたキッカケは言うまでもなく本書の存在でした。

もし著者がこの世を去る前に、この文章を残さなければおそらく私はこの本および考えに出会えていません。

つまり何が言いたいかですよね。

題名に書いた "時間を超えた対話" について触れますと、読書は『著者との対話』とよく表現されることが多いのですが、本は著者の考えそのものなので「自分と著者」とのコミュニケーションと捉えられるわけです。

その本の著者が既にこの世にいなくとも一緒なのです。

つまり読書とは『この世を去った人の考えを「今」になって知ることができる手段』とも言えるのです。

私の尊敬する人のひとり、太陽の塔などで有名な岡本太郎先生も、わたしが物心つかない時期にお亡くなりになりました。
が、彼の考え・志を知れて今でも尊敬できているのも残してくださった本や作品に触れる機会があったことがキッカケなのです。

この世にいない人、存命だけど著名すぎて会えない人とも対話できる手段の1つが読書だと今回紹介した本書で改めて気付かされました。

やはり読書っておもしろく素晴らしく無限の可能性がつまってて辞められませんね。


いまを生きる学生、若者のために魂をこめて書いてくださった有り難いアドバイスに触れることができて、もうすぐ20代終わりという焦りの私としても一つ一つの項目が心強かったです。

山崎元さん、我々の心を救ってくださる有り難い助言を残してくださりありがとうございます。
私としても勇気をいただけた1冊に間違いございません。

最後に心よりご冥福をお祈りします。

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