【詩】曉日[あかつき]
果ての無い闇の向こう側から、空が艶を変え始める。
淵の方から紅く、蒼く、そして何処迄も冥い、其の艶が。
其れ等は全て、東の空から次第に型を変え、
今迄全てを埋め尽くして居た黒い空を塗り換え、
目に視える物何も彼もを、青褪めた艶にする。
其れ等はまるで玻璃で出来た空間の様に私を誘い、
現実とは正反対の立場から、此世を観る暇を与える。
やがて蒼の艶は血の紅と混じり合い、
紫の夜明けの中から、焔の様な曉日が昇る。
其の、激しさと静けさの狭間で、
何も無く、何者も無い路と路とが交わる場所で、
私は私の、自分自身を叫ぶ。
止まる事も知ら無い咆哮の中、
両の足で大地を踏み締め、
己自身の存在を確かめながら。
<了>