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【散文詩】半自動筆記に因る夜想曲(6)-1:『メリュジーヌ』-1

 荘重に、しかも喜劇で在る様にしか見えない、戦乱の歌劇オペラが、今始まろうとして居た。この歌曲は、予めロリヰタの乙女達に用意されて居た事を暗示する迄も無く。
 愚かしくも、全ての人々、王も貴族も学僧も、商人も工人も人夫達も、詩人もごろつきも物乞いさえもが、
 この農民国家では、皆何も彼も全てが同じで無ければ気が済まないのだ。
『死に至る病とは、絶望の事である』或る悩める魂は、そう言って苦悶の内に一生を終えた。彼に想いを致せば、地獄とは、|現世《うつしよ》の二つ名で有る事が、良く解るだろう。
 故に、我々は其れ等全てを、朱に染め上げる事に拠って、応える事としよう。
 譬え、其の先に如何なる惨劇が待って居ようとも。

<続>

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