【詩】漆黒の太陽
私の脳髄で劇しく太陽は旋回している。
切れ切れの意識の彼方、
それは明るく観えて、暗い。暗く観えて、明るい。
悲しくなる程に大きく果てし無い空の中で舞っている、
炎より滴り落ちる血は、
何よりも熱く、紅く、
私の魂魄を焼き焦がし、来るべき世界を観せる。
それは何処までも、今と変わらぬ苦悶と絶望の続く、煉獄の幻像。
この世は、この世こそは地獄に違い無い。
何故なら、ヒトは生まれながらにして、
罪業を背負い、その罰として生きて逝く事を運命とされた、罪人共。
それは修羅の道に生まれた私とて同じ事であり、
例え騒乱と闘争を逃れる為に此世を去っても、
何時までも、それは追いかけて来る、
久遠の苦痛と恐怖。
此岸とも彼岸ともつかぬ、冥く黒い水の胎、
浮かぶ私を廻る太陽が照らす。
差し伸べた手の中に光は無い。
有るのは只、暗闇と同じ色をして輝く、
漆黒の太陽。
<了>