①−2【対談企画】運営の継続と収入源
こんばんは。『クローズアップNPO法人 〜現場の声から〜』の時間です。
初めてコモンビートを知る人が団体に対して持つイメージで最も多いのは、「なんか楽しそう」という言葉。
でも、ただ楽しいだけじゃないんです。
企画の現場にいつだってある“楽しんで学んでもらうための仕掛け“は、NPO法人として「社会貢献活動」を実現させる一つの手段でもあります。
では一体、その仕掛けは誰がどう作っているのか、企画がどう社会貢献に繋がっていくのか。
コモンビートを運営するメンバーの皆さんに伺います。
今回のシリーズからは、理事長である安達亮(以下、りょうさん)さんと現在国際交流チームの短期インターンメンバーである髙橋真二郎さん(以下、しんじろー)の対談が始まります。
取材担当:広報インターン ジュン
⒈組織を運営させていくには
1−1 社会が必要とすることは続いていく
ーーNPO法人を10年以上経営されてきたと思うのですが、なぜそれほど続けることができるのでしょうか。
経営を継続させるための方法の話でも、持続的な経営に対するりょうさん個人のマインドでも構わないので、お願いします。
【りょう】会社も含めて法人が5年以上維持されるっていうのは結構すごいことらしくて。10年を超えると「いろいろ頑張ってるね!」って感じになるし、NPOは会社とまた違うので、NPOで10年一応やってるみたいな話になるとすごいって言われる。
それが再来年で20周年になるのは「そんなになったか」って今思いながらやってたりしますが、何か継続し続けることについて言うと、継続しようとしてたかと言われるとあんまり意識していなくて。続いちゃってる、って表現が一つ正しいのかなって思ったり。
始めた頃はNPOとか社会的な意義とかあんまり理解しないままだったし、ミュージカルのプロジェクトをしっかりやっていれば、いろんな人が参加してくれて、そんなみんなが一緒に繋がっていけば、なんか自然と続いているということになってたから、そんなに重くというかしっかり捉えたことはなかったよね。
それでも当時から社会が必要としている活動は基本続いていくはずだよねっていうことをその当時の理事のメンバーが言ってたりして。
僕もそれは確かになっていうふうに思っていて、コモンビートはもう社会に必要ありませんとか、社会が「いらないです」と言うのであれば、コモンビートのプログラムに参加者は集まらないし、どんなに努力してもいらないってなると思う。だけど、実際に参加者がいて、コモンビートを続けたいとか、続けた方がいいと思う人たちとかが19年間ずっとい続けてくれていて。それはもちろんね、誘ってきてもらうっていうのもあるけれども、ファンのように一緒に歩んでくれてる人たちがいるっていうことは、コモンビートは(社会に)ずっと必要なんだよっていうふうに言ってくれてることと近しいのかなというふうに思っています。
1−2 ミュージカルを応援してくれる人たちの支え
【りょう】なので、コロナでミュージカルが止まって「やばい」って状態になったときに、じゃあこれ続けるの続けないのみたいなことで言うと、「いやいや続けるべきでしょう」って言ってくれる会員の人は多かったり、コモンビートを応援してくれる人もたくさんいたので、2020年の暮れにクラウドファンディングやってるんだけど、それも1000万円以上集まっていて、800人近い人から支援をいただいて、いろんな声をいただいて。それってやっぱりあってほしいという願いだし、続けていくべきだよって社会が言ってるっていうことだと思っている。そういう意味で、必要とされてるから続いているっていうことが自分のコントロールの外でも何か働いてるんじゃないかなっていうふうには思ってますね。
あとはミュージカルの力はやっぱり大きいなっていうふうには思っているので、うちは一つのミュージカル作品しかやってないじゃない。だから、2004年の3月に入ったときの人から、今初めて参加している人まで同じ作品が共通言語として存在するので、そういうところでの繋がりが深くなったりとか、共通体験がたくさん生み出されて、彼らにとっての日本全国の繋がりが作り上がっていって、そういうところもみんながやっぱりコモンビート重宝してくれているところだったりとか、コミュニティを大事にしてくれる力になっているのかなと思う。
なので自分が継続してきたかと言われると、僕はそんなにやってません。
逆に言うと、みんなが継続しようとしているから、自分もそれを運営的に支えていいくことができるんじゃないかな。
潰れる時は潰れると思うし、それは社会が必要ないかなって言ってるってことだと思う。
⒉NPO法人の集金方法
2−1 「事業型」と「寄付型」
ーー特定非営利活動団体は非営利とあるからといってお金を出さない団体のことではない、というのは第一回目のはなさんから聞きました。
平たく言うと、余剰に出た利益は個人に分配せず、次の事業にその利益を使います。
昨今はクラウドファンディングなどでお金を集める方法も目立ちますが、基本的にはどのように事業のために使うお金を集めているのでしょうか。
【りょう】コモビは昔から事業型のNPOというふうに言われていて、事業でお金を生み出して、利益を作って運営している団体。他の例で言えば、寄付型のNPOとか。寄付を集めて、その寄付で得たお金から経費を引いて運用するみたいな。
なので、収入源がどこなのかっていう違いだけなので、9割が事業として収入を得ているっていうのがコモンビートのやり方。だから事業で得たお金は事業で使うためのものだし、クラウドファンディングに関しては、その事業ができなくなっちゃったから、事業で集められないので、クラウドファンディングっていう仕組みを使って皆さんから寄付をいただいたって言う感じです。
ーーなるほど。こういうお金の仕組みについて、しんじろーはNPOを学んでいる中で勉強することありますか。
【しんじろー】触れることには触れるんですけど、なかなかわかりにくいっていうのが正直なところで。NPOって一言で言ってもいろんな形、いろんなお金の集め方がありまして。そうすると、「結局何なの?」みたいなのを初学者だと思っちゃうんです。でも一つの具体的な例として、コモンビートが事業で稼いでるっていうのはなるほどなって思いました。
2−2 寄付型の課題
【しんじろー】あと、寄付っていう話も結構聞いたりするんですけど、そういうのはクラウドファンディングとかぐらいなんですかね。他にも寄付っていうのは、選択肢としてあるんですか。
【りょう】そうですね。寄付はいくらでも嬉しいですっていうのがどこのNPOもそうだと思うんですけど。例えば、しんじろーがお金を出したいと思う時に何のためにお金を出すのかが出すときの決め手になると思うけれども、(NPOがする社会貢献の形が)創造型なのか、課題解決型なのかみたいなところで言うと、課題解決型の方だと、例えば「いただいたお金が子供たちの何かに変わります」みたいなのがあると寄付をしてもらいやすいストーリーがあるけど、コモンビートの場合は価値創造型なので、寄付金が何に変わるのかっていったら、誰かの成長みたいなものだったりするから結構測りづらい。
なので、なかなか寄付が増えないみたいなところは、かなりジレンマとして抱えているところがある。コモビジョンを作ったりとかして、そういう部分をはっきりさせることができれば、寄付が増えていくっていうこともあり得るけれども、コモンビートが寄付型のNPOのようになるかと言われるとなかなかそうはならない思うから、事業型のNPOとしてこれからもやっていこうと思ってます。
2−3 コモンビートの今までとこれからの経営
【りょう】他には助成金を獲得してきて運営しているNPOとかもあったり。
コモンビートは助成金もそんなに取ってなくて、本当に事業だけでやってきた団体なんだけど、それが故に事業が止まるといろいろと打撃が大きくて、今後はそういうふうに事業の収入と寄付の収入と助成金とか、行政からの委託事業とかでの収入でバランス良くしていかないとだから、そのあたりを考えてこれから経営していこうかなと思ってます。
【しんじろー】なるほど。ありがとうございます。その話を伺って、2020年21年とミュージカルができなかったのは本当に大変な時期だったなっていうのを改めて実感します。
【りょう】元々コロナの前は年間6プログラムぐらい公演が回ってて、売り上げの規模でいうと1億ちょっとぐらいの規模感で団体運営してたけど、コロナになってから4分の1ぐらいになってて、2500万の規模に落ちています。その状況の中で、活動をいかに維持しながら戻すかみたいなところを、オンラインの事業やクラファンでお金をいただいたりしながらマネジメントしてるって感じかな。自然と続いてきたとはいうものの、コロナにおいてはいろんな財務のコントロールとか、そういったものをしながら気をつけてやってはきたかな。
関西公演情報
【ミュージカル「A COMMON BEAT」再開記念シリーズ 関西公演】
▼日程
2022年10月2日(日)
初公演:開場 12:30 開演13:00
千秋楽:開場 17:00 開演17:30 ★オンライン配信あり
▼会場
吹田メイシアター 大ホール
▼詳細
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