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【社会人留学2年目(交換留学中)】北欧で学ぶサステナブルな経営学 ~Week1~
こんにちは。
外に一歩出ると、一面銀世界が広がる美しい景色にうっとりしながらも、体の芯まで冷えるような寒さを感じつつ、それでも元気に楽しく過ごしています^^
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いよいよ、授業が始まりました!アアルト大学では、メルボルン大学でいうところのセメスターが3つに分かれています。
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最初のTeaching Period (Period Ⅲ)では、アカウンティング視点でパフォーマンスマネジメントを学ぶ授業を受講しています。試験まで含めてわずか8週間という短期集中型のため、初回の授業前にすでに3つのケース課題が出され、内一つは初回授業前に提出することが求められました。また、他2つのケース課題はチーム課題のため、授業が始まる前に、チームをつくりコミュニケーションを取らなければならない状況でした。チームを作るにあたって驚いたのは、ディスカッションボードに、「私はこの成績を狙っているので、同じ人は組みましょう」といった投稿がされていた点です。私もそれにならって投稿してみると、数人からコンタクトがあり、結果として、フィンランド人2人・ニュージーランドからの交換留学生(それぞれアカウンティング専攻)と4人のチームになりました^^
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メルボルン大学では、このような公の場での明示的な意思表示を見たことがありませんでした。特に入学して最初のセメスターではクラスメートのことを知る術もなく、誰と組むかはギャンブルでしかありません(笑)。時間の経過とともに、経験が蓄積され、クラスメートを知っていく中で、同じような学習意欲を持った人同士で集まっていくことになります。一方で、アアルトのある意味での契約文化は、もしフリーライダーがいない(フリーライダーは咎められる・・・)という前提があるならば、良い仕組みだと感じました!
今回受講している授業では、課題の数自体は多いものの(週2回の授業で毎回事前課題があります)、それらが全体成績に占める割合はそれほど大きくありません。期末試験が全体の66%を占めるため、事前課題の重要性は比較的低めです。事前課題は約10ページほどのケースで、内容は簡単ではないものの、グループでの分担がしやすく、リファレンスの自由度も高いため、あまりプレッシャーは感じていません^^
一方で、メルボルン大学では、12週間のセメスターごとに原則として4科目を履修します。各授業は毎週1回、3時間の構成です。その期間中には、真剣に取り組むと負荷が大きい課題(思い出すだけで貧血を起こしそうです・・・)が3つ課されます。これらの課題は個人課題とチーム課題の組み合わせで構成され、最終成績に占める割合は課題につき2割から3割となっています。一つの課題の重みが大きいため、プレッシャーは相当なもので、グループ課題ではコーディネーションコストもかなり高くつきました。正直、振り返って楽だったと思える課題は一つもありませんでした。納得のいくアウトプットを出すために、毎回多大なストレスを抱えながら、戦い抜いていたように感じます。それでも、その大きなストレスを乗り越えた分、自己理解など、学問的知識以上に得られるものはありました。
アアルトでのセメスターを終えたら、この点も含め、メルボルン大学との違いを比較してみようと思います。狙い通りでもありますが、国をまたぐ複数の教育機関で学ぶことで、異なるアプローチや学習環境を比較できるのは有意義ですね。
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ヘルシンキのカフェではフィルターのおかわりが自由で嬉しい
さて、肝心の授業ですが、心から満足しています!授業は示唆に富む発言が飛び交い、活発な議論(そしてハイクオリティなプレゼンテーションと見事な質疑のハンドリング)があり、学びの源泉となっています。そもそもサステナビリティが前提にないと生まれないような発想や意見(例えばコスト削減策として、同時に環境配慮も狙った原材料の変更など)に、ハッとさせられる場面がたびたびあります。授業でも、サステナブルな取り組みを介してどのように利益を生み出すか、という実際にあるフィンランド企業で導入されているアカウンティングフレームワークが紹介されました。同じ経営学を学んでいても、国が異なると考え方がこれほどまでに違うのだと実感しました。アアルト大学では、授業設計においてサステナビリティの視点を取り入れることが求められており、カリキュラム作成の際には、SDGsのどの観点をどのように満たすのかを明記することが必須とされているそうです。そのため、「サステナビリティ」と名がついた授業でなくても、テーマをサステイナブルな視点で捉えることが当然の流れとなっており、現在受講している会計の授業からもそれを感じ取ることができます。
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授業での学びを一部、以下にご紹介します。
リーダーシップ/マネジメントに共通する本質とは、自分が成し遂げたいことを、他の人たちの助けを借りて成し遂げることにある(フィンランド語では、リーダーとマネージャーを表す単語は同じである)
パフォーマンスマネジメントにおける重要な論点は、他者にどのように思い通りに動いてもらうか、いかに良いパフォーマンスを発揮してもらうか、そして従業員に組織のために最善を尽くしてもらうにはどうすればよいか、という点にある
アカデミアにより定義はさまざまだが、パフォーマンスマネジメントには組織全体(企業・組織レベル)の管理と個人レベルの管理の二つが存在する。会計の分野で扱うのは前者であり、人事が扱うのは後者である。例えば、販売戦略が適切でなければ、個人がどれほど高いスキルを持ち、努力を重ねても売上にはつながらない。それは個人のモチベーションやスキルの問題ではなく、組織レベルの目標設定や戦略の問題であり、これこそが会計が扱うパフォーマンスマネジメントである
(ある定義より)Performance management is the supervision and oversight of employees, departments, and organizations (…) Supervision(監督)とoversight(監視)では最善のパフォーマンスを引き出すことは不可能。モチベーションを引き出すための工夫が求められる
マネジメントの問題は、①方向性の欠如、②モチベーションの欠如、③能力の欠如/個人的な限界に集約される
チアリーディング的マネジメント(フィードバック・コーチング)とポリス的マネジメント(ルールや規範)の両方をバランスよく取り入れる
従来の年間予算には、柔軟性の欠如、時間のかかるプロセス、短期的な視点への偏り、予測が困難な環境変化に適応しにくいという問題が指摘されている
Beyond Budgeting(ビヨンド・バジェッティング)とは、従来の固定年間予算を廃止し、柔軟で動的な計画を目指す代替アプローチ。分散型の意思決定やリアルタイムの調整を可能にすることで、変化の激しい環境において高い適応力を発揮することが狙い
会計の基礎が怪しいので、EVAだとかROECが出てきたときに解説を聞いても深い納得には至らず、自分でも表面的な理解しかできていないなーと分かってしまうのが悔しい。。ただ、教授のすばらしさ(実務経験も豊富、喋りも明快でもちろん明晰、そして面白く魅力的に実利をしっかり語ってくれる)もあって、前むきな気持ちで、再度アカウンティングの基礎を学ぶ本を手に取りました。後から授業を振り返ったとき、授業中に教授が私たちに投げかけたこの質問の意図がわかったときは嬉しかったです。
If you control revenue and cost, do you ”by definition” control also profitability? (収益とコストをコントロールすれば、"定義上 "収益性もコントロールできるのか?)
最後まで読んで下さりありがとうございました。
よい一週間になりますように🌟
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サウナが井戸端会議的な役割を担っているんですね~