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【社会人留学2年目】経営と倫理~Week 11~

こんにちは!

今回は、授業の内容中心の投稿にしたいと思います。
12週ある内の11週目を終え、いよいよ今期もクライマックスです~!!

お友達複数人と朝からわちゃわちゃコーヒーチャット
心に残る美味しいフラホワ。アートもかわいい

特に印象的だったのは、Strategic Human Resource Managementで扱った倫理のテーマです。昨年、コンフリクト・マネジメント&ネゴシエーション、前期の組織行動学でも取り上げられました。教授によると、持続可能性を評価する指標であるESG(環境、社会、ガバナンス)の中でも特にガバナンスの重要性が高まっており、株主中心の企業経営から、ステークホルダー中心への転換が期待されています。つまり、視点が外部から内部へと変わってきているのです。従業員は重要なステークホルダーであり、適切なマネジメントを行うことは、マネジメントを学ぶ私たちにとって重要な使命です。そのため、ビジネススクールでは、一定時間以上の倫理に関するレクチャーが義務付けられているとのことです。

倫理とはアカデミアにおいて、次のように定義されています:

Basic guidelines for how one outght to live one's life 
(「人はどのように生きるべきか」という基本的な指針)

Machan & Chesher, xiii

Philosophy of human conduct with an emphasis on determining right and wrong (「正しいことと間違っていることを判断することに重点を置いた人間の行動に関する哲学」)

Ferrell & Fraedrich, 8

定義の曖昧さや主観の影響からもわかるように、倫理的なジレンマには明確な解決策がなく、一方を立てれば他方が立たないという利害の不一致が生じることが多く、不明確な点も多々あります。また、多方面からのプレッシャーも存在します。そのため、倫理的な判断は非常に難しいのです。

ちなみに、倫理(エシックス)、モラル、法は時に混同されるものの、厳密にはそれぞれ異なる意味を持ちます。倫理は意識的な選択を促す一方で、モラルは無意識的な行動規範、法は強制的な基準を意味します。

だいすきなマンゴースティッキーライスゥゥ。
マンゴーがやや酸っぱかったのが残念っ

人事における代表的な倫理的ジレンマの一つとして、業務遂行能力(Job Performance)は高いものの、評価項目には含まれないCitizenship Behavior(組織市民行動;例えば積極的に周囲をサポートする行動)が欠如していたり、Counterproductive Behavior(ハラスメントなどの問題行動)を行っている社員をどう扱うか、という問題が挙げられると思います。

組織行動学の研究では、問題行動を起こす社員は業務遂行能力が高い場合が多いという指摘もあります。これこそがジレンマですよね。人事としては(私としては)、問題行動を起こした社員は(程度によりますが)一発アウトにしたいと考えますが、ビジネスサイドから「この社員がいなくなると困る」と圧力をかけられる場面も想像できます。。

すっかり春!やっと春!

倫理的な判断の一助となる理論として、以下のようなものがあります:

1)Principles/Standard of conduct:他者の権利や利益を侵害しない限り、その行動が倫理的とされることです。つまり、権利を守ることが中心であり、それによって他者の利益も保護されるべき。黄金律、つまり自分がされたくないことは人にもしない

①どの行動がステークホルダーの権利を保護し、促進しますか?
②ステークホルダーの権利が衝突したとき、どちらの権利を優先すべきかをどう決定しますか?
③役割が逆転した場合、どの行動を自分にしてほしいと思いますか?
④あなたが問題の行動に関与する世界で生活したいと思いますか?

2)Character (Aristotle's Virtue Ethics):アリストテレスの徳倫理によれば、倫理的に正しい行動とは、良い性格や徳を示す行動とされます。
徳の具体例:
誠実さ(Honesty):真実を伝え、透明性を保つこと
公正さ(Fairness):行動や意思決定において公平さと正義を確保すること
誠実性(Integrity):道徳的な正しさを一貫して行動に示すこと
忠誠心(Loyalty):原則や組織、個人に対して忠実であること

・・・個人的な徳と組織の目標をバランスさせ、意思決定が公正、誠実、そして倫理的なものであることを確保する必要があります。しかし、評判の維持やビジネスのプレッシャーなどの外部要因があるため、常に徳に基づいた行動を取ることが難しい状況もあります。

①どの行動が、誠実さ、正直さ、公正さ、忠誠心などの美徳を示していますか?どの美徳が示されていますか?
②どの行動が、嘘、不誠実、利己心などの悪徳を示していますか?どの悪徳が示されていますか?

3)Consequences (Utilitarian Theory):功利主義は、ある行動が最も多くの人に対して最大の利益を生み、最小の害をもたらす場合、その行動は倫理的とされます。もし結果が大多数にとって有益であれば、その結果に至るまでの過程が疑わしいものであっても倫理的と見なされます。
・・・「最大多数の最大幸福」を優先して意思決定を導く一方で、その過程での公平性やプロセスの倫理性、人間的要素が軽視される可能性があるという問題があります。

①どの行動が、影響を受けるすべての人に対して、最も大きな利益をもたらし、最も少ない害をもたらしますか?
②「最大の利益」と「最小の害」をどのように決定しましたか?
③チームメンバー全員が同意しましたか?

4)Relationship (Ethics of Care)
個人のニーズや状況に応じてケアを提供することが道徳的に正しいとされ、人が従うべき道徳的義務は公平な原則に従うことではなく、むしろ特定の個人や関係に対して責任を持つことに焦点を当てています。特別な関係(家族や親しい人々との関係など)を重視しており、その関係に基づいて人々が道徳的に行動することを促します。
・・・ケアの倫理に基づくと、リーダーやマネージャーは関係性の質に基づいて異なる対応をすることが許容される可能性がありますが、これは公平性の問題を引き起こす可能性があります。

①特別な関係にある個人をケアするためには、どの行動が適切ですか?
②あなたに依存している、あるいは弱い立場にある人々を助けるには、どの行動が適切ですか?

5)Ethical Relativism
異なる社会や文化はそれぞれ異なる道徳的な信念を持っているため、ある行動が倫理的に正しいか間違っているかを合理的に判断する方法がないとされています。これは、絶対的な基準ではなく、相対的な価値観に基づいて判断が行われます。
・・・異なる文化や組織の中でどのように行動が評価されるかが異なるため、グローバルな視点での倫理的判断が複雑になります。

6)Distributive Justice Theory
①どの行動が、すべてのステークホルダーに対して利益とコストの公平な分配をもたらしますか?
②何が「公平」であるかをどう判断しますか?誰が決定しますか?
③どの行動が、すべてのステークホルダーに平等な自由と平等な機会を提供しますか?

倫理的コンプライアンスは組織にとって基本的な要件ですが、組織はそれを超えて、より強固な倫理的文化を築くことが重要であるというメッセージが心に残りました。人事としては、ポリシーの策定や実施に加え、リーダーシップによる倫理的な行動を促進すること(なぜなら文化はリーダーシップチームによって形成されるからです)で、倫理的文化の構築に貢献できると思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
よい週末をおむかえください~^^

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