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【社会人留学】Value Creation/価値創造~学びの記録(従業員エンゲージメント)~

こんにちは~。猛暑の中にも、秋の匂いがする今日この頃です。

近況報告ですが、まず、まだ再試験の申請結果待ちです><。週のはじめに、「客観的な証明なしには承認できない」と想定外すぎる回答を受け、よろず相談窓口に再び相談。アドバイスを踏まえ、試験を監督していたITチームに連絡したところ、私が2度のPCトラブルを経験しタイムロスが発生したことを説明する文書を作成してくれました。爆速で対応してくれたうえに、私の状況を心配し、「数日後にこちらからまたフォローアップするね」とまで言ってもらいました(涙)ありがたい。
来週には新しいセメスターが始まってしまうというのに。。すでにその予習も始めているというのにTT。切実に、連絡はよ。。

チーム課題(4000words)レポートについては、一番上の成績を修めることができました・・・!先生からのフィードバックは、これ以上ないほどの賛辞ばかり。これまでグループ課題については、noteにも散々記してきたとおり、苦労が絶えませんでした。どうしても、アウトプットの質とグループのハーモニーを両立できなかった。でも今回は、ようやくうまく歯車が嚙み合いました。前回、7割でがんばるといいながら、結局最後はめちゃめちゃ仕事をしてしまいましたが(笑)、一人で頑張っている感はけしてなく、みんなで良いクオリティーで仕上げようというゴールを共有し、最後まで誰も手を抜かずに走り切ることができました。たぶん、これからの人生で何回か振り返ることになりそうな、大切な成功体験になりました。こういった経験を積めるのも大学院に通うことで得る価値(Experimental Value/情緒的価値) ですね~

ちなみに成功要因ですが、結局のところ、皆のベースの能力とその授業を受けるにあたっての目的意識の高さにあるかなと思いました・・・。来期以降も、よいメンバーに恵まれますように。あ~楽しかったぁ❤

それでは、今回も、Managing for Value Creationで学んだ内容の一部をダイジェストしたいと思います!

従業員のエンゲージメントについて

従業員エンゲージメントとは

アカデミアでは、次のように定義・説明がなされています:

  • 従業員の仕事、同僚、組織に対する肯定的または否定的な感情、愛着の程度を示す指標であり、職場で学び、業務を遂行する意欲に大きく影響する

  • 従業員エンゲージメントは、仕事に対する前向きな態度とみなされる、
    職務満足度やコミットメントとは区別される

  • エンゲージメントはコミットメントよりも一時的で不安定なものである

「Will they stay?」と問い、従業員定着率を注視する従業員コミットメントから、「Are they satisfied?」と問い、従業員満足度に着目する従業員満足の指標へと変遷し、現在では「Are they involved?」と問い、企業毎のニーズに応じて多面的なバリュー項目(Growth, Teamwork, Individual Contribution, Basic Needs)を測る従業員エンゲージメントが、会社と従業員の関係を数値化する指標として主流とされています。

満足度とエンゲージメントはどう違うのか。明快にその違いを述べている本がありましたので、以下に引用します。

It' NOT a People Issue. It's a Profitability Issue. There is a common misperception that employee engagement means employee satisfaction. This is a reason why Human Resource issue are often relegated to the end of a meeting, and Why Human Resource professionals are often viewed as "too soft".(従業員エンゲージメントは、人の課題というよりは、むしろProfitability(収益性)に資する課題である。従業員の満足度を意味するという誤解がある。これが、人事問題が会議の最後に追いやられがちな理由であり、人事担当者が「甘すぎる」と見られがちな理由である。)
Employee satisfaction is an outcome, not a goal. You may bolster engagement by offering good salaries and benefits, but ultimately the goal is high performance, not satisfied employees. The last thing that anyone wants is a staff populated with satisfied underperformers. (従業員満足は結果であり、目標ではない。給与や福利厚生を充実させることで満足度を高めることはできても、最終的な目標は高いパフォーマンスであり、従業員が満足することではない。誰も望まないのは、満足度は高いがパフォーマンスが低い従業員である。)

Bob Kelleher. “Louder Than Words: Ten Practical Employee Engagement Steps That DriveResults” BLKB Publishing; 1 edition (July 15, 2010)

エンゲージメント研究をリードする米国ギャラップ社による
従業員エンゲージメントヒエラルキー

悲しいかな、たびたび日本人の従業員エンゲージメントが低い!と話題になりますよね。国民性が数値の低さに影響を及ぼしているという指摘もありますので、読み解きには注意が必要なものの、「貴社の従業員はエンゲージメントが高くないわりには、退職する意思が低い人が多すぎる。要は、ぶらさがり社員が多いということです(!)」とコンサルタントから指摘された日系企業の話を聞いたこともあるので、国民性だけでは説明しきれない構造的な問題がありそうです・・・

なぜ、従業員エンゲージメントが重要か

今まで、従業員エンゲージメントの重要性を語ろうとすると、なんとなーくふわっとしてしまい、自分的には、説得力を持って説明しきれないもどかしさがあったのですが、講義や文献を通して、その戦略的意図がクリアになりました。

「エンゲージメントの高い従業員は、高いパフォーマンスを発揮し、それが顧客満足を導き、企業の財務パフォーマンスを含め成功に繋がる」
「エンゲージメントの高い社員がイノベーションを生む」
「エンゲージメントの高い社員は離職しない(イコール、退職に係るコストを削減できる)」
・・・という説明がなされる場合が多いですが、それらを理論的に説明する視点を得ることができたのです。

ハーバードビジネススクールのフェリックス氏は、「持続的に高いパフォーマンスをあげている企業は、顧客、従業員、あるいはサプライヤーに対して確固たる価値を創造している」と述べ、価値創造のプロセスを、WTP(Willingness to pay:支払意志額)を上げるかWTS(Willingness to sell:売却意志額)を下げるか、というコンセプトを使い説明しています。

対顧客へは、いかにWTPを高めるかという視点を使いますが、対従業員へはいかにWTSを低めるか、という視点を使います。

企業が従業員を雇用し続けるために必要な最低限の報酬しか支払っていなければ、報酬はWTPと一致します。企業は、報酬を増やすか、仕事をより魅力的にすることで、より良い結果(※財務パフォーマンス)を得ることができます。給料の引き上げと職場環境の改善は、どちらも同じく、従業員満足度の向上をもたらすように見えるかもしれませんが、2つの戦略は重要な違いがあります。(下記図)報酬の増加は企業のマージンを低下させます。価値の創造はなく、再分配が行われるだけです。これに対して、より魅力的な職場環境は、その仕事に対して喜んで受け入れたいと思う最低限の報酬であるWTSを引き下げることで、「より多くの価値」を生み出します。

「価値」こそがすべて フェリックス・オーバーフォルツァー・ジー (著)
「価値」こそがすべて フェリックス・オーバーフォルツァー・ジー (著)

報酬重視の戦略は、企業のマージン低下に加えて、すでに報酬が高い従業員にとっては報酬アップは魅力的な差別化にはならないといった限界もあります。したがって、WTSを下げる方法を見つけて、それを促進する活動に投資することにより、魅力的な職場環境を作ること、即ち従業員のエンゲージメントの向上に寄与することは、優秀な人材の獲得、維持のために合理的なアプローチといえます。

どのようにエンゲージメントを高めるか

ボブケラー氏は、エンゲージメント向上に資するポイントを次の10のステップで紹介しています。

1. Link your engagement efforts to high performance – not employee
satisfaction(エンゲージメントの取り組みを、従業員の満足度ではなく、高い業績に結びつける)
2. Engage first line leaders(フロントラインのリーダーを巻き込む)
3. Focus on communication(コミュニケーションを重視する)
4. Individualize your engagement(エンゲージメントを個別化する)
5. Create a motivational culture(モチベーションを高める文化をつくる)
6. Create feedback mechanisms(フィードバックの仕組みを作る)
7. Reinforce and reward the right behaviors(正しい行動を強化し、報酬を与える)
8. Track and communicate progress(進捗を追跡し、伝える)
9. Hire and promote the right behaviors and
traits for your culture(企業文化に適した行動と特性を持つ人材を採用し、登用する)
10. Engagement starts at the top(エンゲージメントはトップから始まる)

Bob Kelleher. “Louder Than Words: Ten Practical Employee Engagement Steps That Drive
Results” BLKB Publishing; 1 edition (July 15, 2010)

特に印象的だったのは、4. Individualize your engagement(エンゲージメントを個別化する)& 10. Engagement starts at the top(エンゲージメントはトップから始まる)です。

4について。従業員エンゲージメントを向上させるためのアプローチに、One-size-fits-all(画一的な)答えはありません。特に多様な人材を抱える会社においては、様々な切り口で、従業員理解に努めることが大切です。本著では、ジェネレーション間の特徴・違いについての詳述があります。たとえば、Z世代やミレニアル世代の若手を中心に、Quiet Quitting(静かな退職;退職はせず、必要な最低限の仕事のみをこなす働き方)や社会・環境課題への強い関心についてよく聞くようになりました。とはいえ、全ての世代に共通する、公平性に対するニーズや達成に向けたモチベーションもあるはずです。ふたつの視点を持って、エンゲージメント施策を検討することが大切でしょう。

10について。すべてのシニアリーダーがエンゲージメントについて語ること、そしてそれを目に見える形で実践すること、言行一致していることの重要性について記されています。ハッとした文章がありましたので、ご紹介します。

Because most CEOs are more comfortable working their left brain (analytical, sequential, objective) than their right brain (random, creative, subjective), they may be prone to relegate the primary responsibility for engagement to the HR or communication department rather than championing the cause themselves. Don't let that happen. If engagement is solely driven by HR, it will likely be perceived by employees as just another flavor of the mouth program. Senior leaders must support engagement to minimize the risk that it is viewed as a touchy-feely, lip-service only, employee-satisfaction initiative. If the CEO lacks the time or talent to champion engagement, someone else at the senior level most be identified- someone senior enough to give engagement credibility, and, preferably, someone who is perceived as having the ear and support of the leader. (ほとんどのCEOは、右脳(ランダム、創造的、主観的)よりも左脳(分析的、逐次的、客観的)を働かせる方が得意であるため、エンゲージメントの主な責任を、自分自身で唱えるのではなく、人事部門やコミュニケーション部門に委ねてしまいがちである。そうならないようにしよう。もしエンゲージメントが人事部によってのみ推進されるのであれば、それは従業員にとって単なる口先だけのプログラムであると認識されてしまうだろう。シニアリーダーは、エンゲージメントが口先だけの、従業員満足のための取り組みとみなされるリスクを最小限に抑えるために、エンゲージメントをサポートしなければならない。CEOにエンゲージメントを支持する時間や才能がない場合は、他のシニアレベルの誰か、つまりエンゲージメントに信頼性を与えるのに十分なシニアレベルの誰か、そしてできれば、リーダーから一目置かれ、支持されていると思われる誰かを特定する必要がある。)

Bob Kelleher. “Louder Than Words: Ten Practical Employee Engagement Steps That DriveResults” BLKB Publishing; 1 edition (July 15, 2010)

アウトプットしながら感じたのは、エンゲージメントは経営リーダーを巻き込みながら、社内の文化を作る人事全体で追求していくテーマであり、けしてエンゲージメントと名がつく部署だけで推進されるものではないのだろうな、ということです。

長編になりましたが、今回も読んでくださり、本当にありがとうございました~^^

オバマ元大統領も訪問したという、有名なワインバーが最高でした❤


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