美大体験記 芸術の秋に絵を描いてみる
空を流れる雲が高くなり風が涼しくなってきました。
秋がきました!
大好きな季節。
ちょうど昨年の今頃、ある人に教えてもらって
美大に通い始めたのでありました。
一般の人が通える講座があり、絵(デッサン)を習いに行ったのです。
必要なもの、
濃さの違う黒鉛筆。練り消しゴム。ポートフォリオ。
と書いてある。
そんな濃さの違う鉛筆があるの?
練り消しゴムってなんだろう?
色々調べて、
ドイツ製の6Bから始まる12の色の濃さの鉛筆、練り消しゴム、ポートフォリオという、絵を折らないでしまえる大きなケースをアマゾンで購入し、早くも気分は美大生。笑
ワクワクと少し緊張の気持ちで、大学へ向かう。
キャンパスは自然豊かな田舎にあり、
バスで揺られて到着。
木の匂い、草の匂い、空が広くて、歩くペースも自然とゆったりとしてくる。
彫刻をしている学生さんたちのかなずちの音が鳴り響く。
イーゼルが美大内の道に立てかけられていて
外で油絵を描いている人たちも。
休日のキャンパスは、静かな空気が漂っていて気持ちよい。
教室には多くの大人たちと、そこに紛れて数人の若い人たちが集まり、総勢20人ほど、絵を習うのは初めての人たちばかりが集まりました。
つたないですが、そこで一生懸命描いた
作品たちをご紹介。
ひたすら鉛筆をしゃっしゃっと動かす時間が、
なんだか普段と違う頭の部分を動かしているようで、
静かに集中しているというか、ゾーンにはいっているというか、心地よい時間なのです。
日常から離れて
自然に溢れたキャンパスの中で
ひたすらオブジェを見て、それを鉛筆で写し続ける数時間。
とても豊かな時間がゆったりと流れていく。
ゆっくり、ゆっくり鉛筆を動かしてください。
焦らないで。
手を動かしながら考えましょう。
慌てて線を決めないで、
(椅子の脚はこの位置!などと最初から決めつけない)
こうかな、ああかな?と書き足しながら
ちがったら消しゴムで薄めながら、また少し線を重ねながら、考えていきましょう。
そんな、普段なかなかかけられないことばを先生にかけてもらいながら、ひたすら手を、鉛筆を動かしていく。普段のくせですぐに焦りそうになるけれど、無心になって1本1本の線を重ね、色の陰影を出してゆく。
確かに、そうして陰影を重ねるうちに
ぴたっとピントが合うような感覚と共に
紙の上に目の前に置かれたモノがはっきり現れてくる瞬間があるのだ。
描いたから何、ということもないのだけど
なんともいえない、とても静かでしあわせな時間だったな。
夕暮れの中、数時間かけて描いた絵をポートフォリオに入れ、大事に抱えて帰る。
秋の肌寒い風と共に、コンビニで買ったホットコーヒーを片手に、バスを待ちながら
ひたすら描いた時間、きょうも楽しかったなと振り返る、そんな時間がじんわり嬉しくて。
またそんな時間をゆったりと味わいたいなとふと思う、
そんな今日の秋の風なのでした。