皆さん、こんにちは。伊達市の橘内です。
広報写真に役に立つ撮影方法などの技術や思い、心構えなどの話をお伝えする2回目となります。
1回目のお話もこんな内容のもので良かったのかなと自問自答しておりますが、気を取り直して、いや切り替えが早いB型なので笑。2回目のお話に進みたいと思います。
早速、話は脱線しますが、あんぽ柿(完全なドライフルーツではない半生の干し柿)って知っていますか?実は、伊達市はあんぽ柿の発祥の地でして、大正12年に東京へ出荷して今年で100年を迎えます。なかなか、西日本の方まで届かないかもしれませんが、全国には伊達市の技術を学んだあんぽ柿の産地もあるので、ぜひぜひ、店頭であんぽ柿を見かけたらご賞味ください。11月24日発行の広報紙でも「百年の味」と題して特集を組んでいるので良かったら読んでください。
では、今回のテーマは「表紙」。2回目にしていきなり本題のような感じですが、ほとんどの自治体広報で表紙に写真を使われているかと思いますので、表紙をテーマにしたいと思います。
表紙の目的を理解すれば、表紙の効果を活かせば、きっと読んでもらえる広報紙につながると思います。
1 なぜ表紙にこだわるの
ズバリ「読んでもらうため」です!
現在では、昔ほど本屋に行ったりしないかもしれませんが、目的の本以外にも表紙に目がいってしまう本って、思わず手に取ってみたりしませんでしたか?どなたにもそんな記憶があると思います。
広報紙でも同じです。表紙にインパクトがあったり、目を奪われるような表紙に出会ったら思わず開きたくなっちゃいます。どんなに読みやすく素晴らしい内容のものでも、開いてもらえなければ意味がありません。
表紙はその号の顔です!しかも、文章ではなく写真という視覚で表現しなければなりません。たった1枚の写真で....。
2 伊達市の場合
伊達市の場合は、表紙からその号の特集やトピックスにつながることを意識しています。被写体は、特集やトピックスに関係する人にお願いしています。そして、表紙を開いたらその特集につながるような流れがあるように心がけています。また、その月の季節感もテーマ入れるようにしています。それは、伊達市のブランドメッセージ「#幸せがじゅずつなぎになるまち伊達」に込められた想いから幸せのお裾分け、人と人がつながるまちを広めていくため、伊達市の風景や自然など、背景にも伊達らしさを入れたいからです。
まれに表紙を自然風景にすることもありますが、伊達市の魅力がいつもの表紙のイメージを凌駕する場合は、人のいない表紙にすることもあります。
私はとにかく数多く撮ればいい写真撮れるだろうとは思わないタイプで、どちらかというとあまり枚数を撮りたくない派です。表紙についても、ただ数打てば良い写真が撮れるものではありません。まれに奇跡の1枚は撮れるかもしれませんが、毎号続くことはできません。効率よく進めるためにも、基本的にモデルをお願いして場所やポーズをとって撮影するスタイルで撮っています。
皆さんは、いつもどんな表紙にしていますか。どんなテーマで誰を、撮影場所、ポーズはなどと、悩まれているのではないでしょうか。そんな場合に抑えて欲しいポイントや流れをお伝えしていきたいと思います。
3 表紙のポイントや流れ
(1)表紙写真のコンセプトを明確に
(2)伝えたいイメージを作る
(3)条件を整える
(4)向きやバランス そして・・・
(1)表紙写真のコンセプトを明確に
表紙で悩む方は、おそらく表紙写真のコンセプトを明確にされていないのではないかと思います。コンセプトを明確にすることが悩み解消の第一歩です。
人なのか、自然風景なのか、人なら年代は、自然風景ならどの場所かなど、考えれば考えるほど悩みがつきません。自分のまちの広報紙の表紙っていったらこの感じとわかるようなコンセプトを決めてみましょう。
伊達市の表紙は、次の三つの項目をコンセプトとしています。
①ブランドメッセージに込められた想いの表現
②特集やトピックスに関わる人
③特集やトピックスを表現する場所や季節感が伝わる場所
このコンセプトは、毎年見直してもいいですし、歴代こだわるものでもいいと思います。
伊達市の隣町の川俣町では、毎号子どもが表紙を飾ります。10年以上前からずっと変わらず子どもを撮り続けています。だいぶ前に聞いた時は、子どもが表紙を飾るとウケが良い、子どもならどの年代も笑顔になると話してくれました。
美坂さんの霧島市は、ずっと自然風景が表紙を飾っています。美坂さんに聞いた時、「ほとんどの市町村や団体の広報紙は人を表紙にしているから、逆に自然風景だったら目を引きませんか」と話されていました。10年近く前に聞いたことですが、その時の衝撃がすごくて、ずっと忘れられない記憶として残っています。
(2)伝えたいイメージを作る
表紙写真を撮影する前に、まずはその号で伝えたいイメージを作るようにしましょう。
1例として2022年9月号のお話をします。特集の中で、市内にある2つの公立高校を取り上げ、特集にしました。2023年3月で伝統ある保原高校と梁川高校が閉校を迎え、4月から統合された新生伊達高校に生まれ変わるという発表されてからのことです。その最後の夏を伝えたい、市民には多くの卒業生がいます。みんなで地元の公立高校を応援しようという意識を持ってもらおうと企画した特集です。
皆さんだったら、その広報紙の表紙はどのようなイメージで作りますか?青春だったり、爽やかだったり、未来だったり高校生らしいイメージがすぐに湧くと思います。そのイメージと広報紙の中で伝える「これからも市にある公立の高校として市民で応援していこう」というメッセージを掛け合わせます。私は、「アイドルのような爽やかな笑顔の高校生と卒業生だったら懐かしい校舎や教室」という伝えたいイメージを作りました。
その広報紙で何を取り上げ、何を伝えたいのかを整理することで、表紙の伝えたいイメージを作ることができます。
(3)条件を整える
伝えたいイメージを作ったら、それを表現するための条件を整えてみましょう。
2022年9月号の条件を考えてみると、アイドルのような爽やかな笑顔の高校生と卒業生なら懐かしい校舎が表現できる条件は、①笑顔が素敵な高校生、②校舎や教室や廊下など、③高校生らしさ(若さやパワー)を表現する明るさや光、④高校生はまちのアイドルだからそのポーズ、⑤高校生は男女とも必要、⑥純粋に高校生の良さを出したいから小道具はいらないなど、必要な条件を整えることでより撮影のイメージがより明確になって撮影しやすいと思います。
ちなみに①笑顔の素敵な高校生ってどう探すの?と疑問に思われた方もいるかと思います。そもそもモデルを探すのは大変です。私の場合は、関係する部署や広報で知り合った方々をフルに使って、ニコって笑顔になってくれる人を探してもらっています。コンセプトやイメージ、条件を決めておけば、お願いしやすいし、頼まれた方も探しやすいと思います。高校生だったら高校に直接お願いしたり、農家さんだったら農政課にお願いしたりしています。実際に撮影する時に、笑顔を作るのはあなたの腕です(笑)。そこに突っ込むと話がどんどん長くなるので、次の機会に。今後、取り上げてみたいと思います。
(4)向きやバランス そして・・・
コンセプトからイメージ、条件と進んできて残すは撮影です。ここは皆さんの腕の見せどころ(笑)。でも、ここまでそろえてくると撮影が楽になってくるかと思います。
細かなカメラの設定や撮影方法、レタッチなど話したらキリがないので、この話も次回以降の投稿で、お伝えして行けたらいいな〜と思います。ここではすぐに実践できるコツとしてお伝えしたいのが向きやバランスです。
例えば、右とじで左に向かっていく広報紙の場合は、右向き以外の写真にしてください。理由は単純です。ページが左に進むから。バランスとして左を向く写真を使うなら、左側の余白を少し多めにとる。正面を向いている写真であれば被写体の中心線と紙面の中心線を合わせるようにします。あとは広報紙のタイトルとのバランスを見て被写体の大きさを合わせてください。例外として2人ないし4人など複数の場合は右向きの人がいても、左向きの人を作ればバランスが取れるのでOKです。
4 まとめ
お伝えした4つのポイントや流れを踏まえて自分なりのアレンジを加えて撮影してみてください。ただ、私がお伝えした内容が正解でもないし、方法は何通りもあります。方法が1つではないから写真って面白い。
方法はいろいろあると思いますが、広報担当者の思う表紙、行き着くところはどこでも同じ。目的は読んでもらうための表紙かもしれないけど、本音は「市民を笑顔にしたい、癒したり元気を与えたい」とそう思って表紙を作っているのではないでしょうか。
それと、毎月のイベントの中で撮った写真の中から、いい写真というやり方もあるかと思います。その場合、月によって良いものと、ちょっといまいちという波が必ず出ます。だから、私としてはお勧めしません。例外的として、まち最大のお祭りや伝統行事、運動会など、この号は絶対にこのイベントの写真と決めている時だけ、最大の勢力を注いで、前回の投稿のようによく観察して準備を進めてから撮影してください。
では、皆さんの来月号の表紙が最高の1枚になることを願っています。
5 次回
最後に次回の予告です。ちょっと広報紙と離れるかもしれませんが、ポートレートを取り上げてみようと思います。自分がやりたくて、職場の後輩に頼んで一人撮影会を開いてきました。光の当て方や、背景のぬけ感、表情やポージング、焦点距離の違いなど、その辺りを2回くらいに分けて説明できたらと思います。
おしゃれな雑誌風を意識して本気で撮ってきましたので乞うご期待!(ハードルを上げてどうする笑)広報紙でそのまま使えるかというと・・・ですが、撮影の幅が広がると思います。
次回まで首を長〜くして待っててください。以上、伊達市の橘内でした〜。またね〜。
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