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銃声三発、そして逃げた鹿:斜面で繰り広げられた攻防
今回はハンター雲です。
前日に京都で朝から晩まで遊んでいたので、だるいのですが行かねばならぬです。
猪を専門に狙うグループに所属しています。
何十年も名の通った伝統のあるグループです。
高齢化もあり、歴代のレギュラーメンバーはほぼ引退しました。
今日も、黄金期のメンバーは一名しかいません。
ベテラン猟師さんは、猟犬をどこに放せば、獲物がどこを通って逃げるのかを推測して、配置と獲物の出てくる向きなど知ってます。
銃の腕前もよいので、あまり外しません。
サンデーハンターの私とはレベルが違います。
なんで普通会社員兼ユーチューバーがそんなグループに所属しておるねんと思いますよね。
私がITの専門家で猟犬GPSやら無線など機械にも強いからです。
猟犬GPSを改造できるのが噂になったことがありました。
射撃場で練習していたら、怖い顔した猟師さんに声を掛けられて、あまりの怖さに断れず問答無用で加入させれた感じです。
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空気の重い中、獲物を待ち伏せする場所まで登っていきます。
狩猟同期であり、クレー射撃での永遠のライバル、コバ君と2人でこの方面を待ちぶせすることになりました。
コバ君は、自宅の近くで罠猟をしていて、罠に獲物が掛かっていると近隣から電話があり到着が一時間ほど遅れます。
狩猟グループとしては、一人メンバーが減った状態で始まるので微妙な空気感です。
しかも、前回、前々会と猪は獲れてません。
チームとして、ピリピリムードです。
今日こそ絶対に獲ると言ってるのに人が揃わない。
これは、獲物を逃すと怒られそう。
結構なプレッシャー掛かります。
コバ君が来るまで、この方面を一人で受け持ちます。
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コバ君に守ってほしいポイントの位置情報を送ります。
早くきてほしいなぁ
外して怒られるぐらいなから、獲物が来ないほうがいいです!
獲物よ、私の前に来るな!
無線が入ります。
猟犬を操る人を勢子(せこ)と言います。
勢子:「犬が走った。何か出た」
猟犬にGPSの付いた首輪がついてます。
端末を確認すると、私のほうに猟犬が向かってきます。
臨戦態勢です。
人生とはこうゆうものです。
来いと思えば来ない、来るなと思えば来ます。
この猟期、私は一度も発砲してません。
戦闘が開始されたので、戦士としての高揚感はあります。
気分はモビルスーツのパイロットです。
来るか!
もう心臓がバクバクします。
1発目:動き出した物語
足音が聞こえます。
落ち葉がガサガサと音がします。
猟犬の鳴き声がします。
端末では猟犬との距離は300m。
猪は通常100m以内。
銃のセーフティーロック解除、いつでも発砲できる状態です。
鹿が2頭見えました。
猪を追っている時は、鹿を見逃せと言われてます。
この後に猪が犬に追われて来た場合は、鹿を見逃さなければなりません。
判断迷います。
鹿はこっちには気づいていません。
木の後ろで止まりました。
お尻だけが見えてます。
このパターンは、動くのを待っていると、死角に入って逃げれます。
鹿は尻とかに当たっても絶命しません。
もう猪は来ないと判断、もうここで見逃すわけにはいけません。
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深呼吸の後、引き金を引くと弾丸が放たれ、鹿の左後ろ足に命中。
鹿が後方へ吹っ飛びます。
命中したものの致命傷ではないようで立ち上がって逃げます。
スピードは遅いです。
もう一頭の鹿が猛スピードで森の奥へと消えていきます。
2発目:木々の影に潜む難しさ
負傷した鹿は立ち上がり、再び逃げようともがいては走るを繰り返します。
左後ろ足を負傷しているので、真っ直ぐに走れずに曲がります
私は二度目の射撃を試みたが、木々に隠れて狙いが定まらない。
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3発目:崖の上で
急な斜面を逃げる鹿。ついにバランスを崩し、崖へと転げ落ちる寸前だった。私は首元を狙い、三度目の射撃を行った。
命中して崖を落ちていきます。
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崖の中腹で止まりました。
動きません。
無線で、猪ではないです。鹿が出たので命中して止まったと報告したのですが、猪でないので、すいませんと言っていましまいした。
猪を追いかけるように訓練された猟犬なので、仕留めた鹿に噛ませててはいけないと無線が入ります。
この崖の中腹までおりて、鹿の所に猟犬が来たら追い払わないといけません。
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怖い!、超怖い、重たい銃をもって早く行かないと。
鹿がどこに落ちたかわかりません。
藪の中で鹿の角が動いてます
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わずかに生きてる。
トメ刺ししないと。
前に、猪を追っているときに、トメ刺しのため発砲して怒られたので、ナイフで刺そうと思って、崖の斜面を近寄ります。
結構、時間を要します。
なんと、鹿は立ち上がって、全力で走り去りました。
マジか。
やらかした感ハンパないです。
しかたない、不本意ですが無線で報告します。
「鹿が生き返って逃げました!」
こんな言い方をするので、ツッコミは矢のように飛んできます
血痕は残っていましたが、追えるほどの血痕ではありません。
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結局,何もとれない一日でした
この猟期、始めて私の前に獲物が出ました。ある意味、来た甲斐がありましたが。
みんなと合流すると、アレコレ言われます。
まあ、私がキャラを作って、鹿が生き返ったとか冗談ぽくいうので、きつく言われます。
もう猟やめようと思う瞬間です。
まあ、いう人達の気持ちもわかります。
まあ、私が獲ればみんなニコニコできるので、次回に活かしましょう。
それにしても、鹿でも、もったいない。
今期、初発砲がこんな形になるとは。
今回の教訓は、鹿が崖に中腹で頭が動いた時点で、すぐに発砲すべきだった。
生き物は生き延びるための、想像以上の力があります。
命との向き合い方
今回は鹿なので逃げたで済みましたが、もし猪だったら。
手負いの猪は襲ってきます。襲ってきたら大怪我です。
残酷なのですが、自然界で戦うというのは相手の絶命を確認するまで戦闘は終わりません。ひん死に見えても撃てということです。
甘さは命取りです。
正直、ひん死の生き物を撃つのは躊躇します。
崖の攻防も滑落の危険もありますし命懸けです。
誰かの言葉ですが、討っていいのは、討たれる覚悟のあるヤツだけだと。
鹿が逃げる姿を見て、狩猟とは単なる「収穫」ではなく、命と命の真剣勝負であることを改めて痛感しました。
動物の生命力に敬意を抱きながら、次回はもっと慎重に、そして確実な狩猟を目指したいです。
終わりに
人はいくつも人格があります。
私は、元々虫も殺すのに抵抗はあります。
ヘビやカエルを踏めと言われたら絶対に嫌です。
なりゆきでハンターやり始めたのですが、役割である以上発砲します。
絶命した獲物の内蔵を取り出して、身体を川につけて冷やします。
撃った者の責任として、放置しておくわけにはいきません。
解体して食肉にして仲間と分けるか、鹿の買取場に持って行くかです。
谷底で運べないときは埋めます。
この非現実世界の狩猟で得た経験は、私自身の成長につながるものと思ってます。
長文最後まで読んで頂きありがとうございました。