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御影の名を持つ石:1億年前に誕生し、1800年前の地名に名づけられたその真価

今回は、考古学者の雲です。

前回の記事で書いたのですが、山登りの師匠であり、人生の大先輩と六甲山に登りました。

六甲山の石切道という山道を通って下りました。
そこには、大きな岩がゴロゴロしてます。
大先輩曰く、これがあの有名な御影石(みかげいし)である
ここから、住宅、庭園や墓石で使う御影石を切り出して出荷されていた。

六甲山の石切道の階段は御影石だそうです

御影という地名を名に持つ石。
昔から御影て響きがよく神々しい地名と思っていました。
あちこちに石が転がっているので、デッサンの練習に1個だけ持って帰りたいと思いました。
私は普通の石と御影石の違いはわかりませんでした。
大先輩がどれが御影石なのか教えてくれました。
ポケットに入る適当な大きさの御影石を選らんで持って帰りました。

先週の六甲山登山の記事と動画をアップするときに、御影石を持って帰ったエピソードを山ガールMIZUHOさんに話をしました。

MIZUHO「ホンマに御影石か?
     タダの石ころではないの?」
雲「言われてみると、磨いてないとはいえ全く気品を感じない石だね」

写真を見せる

MIZUHO「怪しい😎。含有量が少ないとか調べたほうがいい」
(MIZUHOさんは日頃から人生の先輩には敬意を表せと言ってる本人です)

持ち帰った御影石です

という訳で調べてみました。

六甲山に転がっていた石は御影石かという疑問を解き明かすには、まず御影石とは何かを調べるところからスタートです。

花崗岩(かこうがん)と御影石は全く同じものです。 単に花崗岩は岩石としての名前で、御影石は石材としての名前です。
御影石という名前が有名なため、花崗岩全般を御影石と呼ぶようになったそうです。

花崗岩とはマグマが冷えて出来きる岩石です。

六甲山は火山とは聞いたことは無かったです。
近くに有馬温泉があるので、昔は火山だったのかなと調べました。
結果、六甲山は火山ではありませんでした。

一億年ほど前に、地中深いマグマの層が隆起して六甲山になったそうです。
それで花崗岩を含む山となったのです。

御影というのは気品に満ちた名称に感じて好きなのですが、六甲山で採れる石だのに六甲石と呼ばないのかと思いました。

まず神戸には大昔から御影という地名は存在します。

青い円は石切道、赤い円は現在の御影町

石切道の近くに採石場はあると思います。

御影石は六甲山で採石されるが、御影町で採掘されるわけではない。

六甲山麓で採石された花崗岩が御影の浜から諸国へ運ばれたことから御影石と呼ばれましたそうです。
当時は御影は浜で、この南の方は埋め立てたのですね。

この「御影」の地名の由来は西暦169年~269年頃、日本の第14代天皇・仲哀天皇の皇后である神功皇后が大きく関わっています。
中国では三国志で有名な諸葛亮が生きた時代ですね。

神功皇后が遠征の帰りに、現在の御影付近の泉(今も残る「沢の井」)を鏡代わりに姿を映したという逸話から御影とついたそうです。

神功皇后と言っても知らない人がほとんどだと思います。
女性で鎧甲冑を着けて戦地へ赴いたそうです。
現代でいうと、映画ターミネーター(2019年映画が最新)で戦闘服を着てターミネーターと互角に戦えるサラ・コナーのような女性だったと思います😆
最新のガンダムSEED映画でいうと、司令官ラクス・クラインという感じですかね。

六甲山は石材産地として発展していきますが、1956年に六甲山一帯は瀬戸内海国立公園に編入されて採掘が禁止されました。

採掘できないので六甲産出の御影石は売られていません。
これは希少ですね経済的価値が高そうです。
大先輩が御影石の話してくれたのもわかります。
こんな凄い石を持って帰っても良かったかと、不安になってきました。

これは気合い入れて、この石が本当の御影石か確かめます。
会社に優秀な後輩がいるので聞きました。

雲「六甲山で拾ったこの石を御影石て言ってる人がいる。本物かどうかわかるか?」
後輩「私を変なことに巻き込まないでください!」

いつも探偵ナイトスクープのようノリですが、後輩は文句いいながら、検索を始めます

後輩「御影石にも、黒系、白系、赤系など種類がありますね
   黒系は黒御影石と言って最も高価らしいです。この石は赤系と思われます」

ネットの見事な御影石の写真を見せられる
磨いた御影石は気品がある。観る者を魅了する

雲「この石は本物の御影石ぽいね。ただ、この石を見てもトキメキを感じないのは価値の低い安い御影石だから?」
後輩「巻き込まないでください!!!」

ここで、分かったことを整理します
・御影石にもたくさんの種類がある
・御影石は色や固さで価値が決まる

今にして思えば、登山のときに巨大な御影石が放置されていました。
この日本では電線泥棒までいるのに、高価な御影石を無造作に置いているわけはない。
つまり、六甲山には盗賊がなんらか理由で狙わない御影石あると言うことです。

御影石と思われる石が置いてあります

私にとって、山登りの師匠であり、人生の大先輩でもある方が選らんでくれた思い出の石です。

経済的価値など、どうでもよいのです。
一緒に、汗かいて六甲山に登った仲です。
その思い出そのものが、人生のかけがえないの価値であり、値段のつけられない思い出の石です

とはいえ、一応、この石の経済的価値も調べておきましょうか

とりあえず、御影石の価値を調べるのに、ここのホームページが見やすかったです。

ここから図を抜粋させていただきました。

左の石ほど安いです、下にいくほど使用率が低いです
拾った御影石を拡大しました
G655
G623

六甲山の御影石は販売されていませんので、正確なことはわかりませんが。
色味で価格の違いがあります。
私が拾った御影石の表面を削れば白ぽくなると思いますが、表の左のほうの石が色味が近いです。
G655は中国産ですが、色味は655に近いです。
この表でいうと、安くて使用用途が少ないということなります

ネット通販で販売価格を確認します
【サイズ】90x180x90mm
【重量】1個約4kg
【素材】天然錆御影石
【仕上げ】6面割肌仕上げ

販売価格4キロでたったの160円!!!!

私の御影石は200グラムです

私の石は、200グラムなので単純計算で売値8円!!!!!!!
山道に転がっていて1億年ほど風雨にさらされて、この数百年間踏まれてこの大きさなったはずです、何の加工もしていないのでそれ以下の価値です。

放置してても盗難されないのは理由を考えます。
4キロ160円はあくまでも販売価格、とりあえず利益率10%とします。
加工費や販売管理費などが足してあるので、とりあえず御影石の仕入れは値は80円ぐらいとします。
1000倍の4トンの御影石だと買取価格は8万円程度と想定します
4トントラックと石を持ち上げる重機などレンタルして300キロほど離れた逃走先で売ると人件費を無料としてもレンタル代は9万円とします。
つまり、控えめに見ても盗賊に掛かる収益はマイナス1万円になります
放置しても誰も盗りませんね。

盗賊が持っていかないのは理由があります

結論
1.御影石にもピンからキリまである
2.六甲山以外で採れる御影石は海外含めていっぱいある
3.私の御影石はピンキリのキリであり価値は高く見積もっても8円
4.経済的価値がほぼゼロの石を1個拾って帰った私が「返せ」と怒られる心配はない

もう結論を書いている最中に笑いが止まりません。

登山の師匠であり、人生の大先輩から教えて頂いた御影石を調べて、改めて幸福とはお金が全てではないと感じました。

登山から帰ってきても、私を笑顔にしてくれて良い気分にしてくれます。

今後の人生で六甲山と聞くと価値8円の御影石を1個持って帰ったと思い出すに違いありません。
大先輩でもありますが人生の友でもあります。一生忘れない思い出が作れたことがお金で買えない価値ではないでしょうか

というわけで、長文を最後まで読んで頂きありがとうございました。

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