日記1/25 寒波する「悪童日記」
電車を待つ
大寒前日の風は
飾らずに言えば「くそ寒い」
気を紛らわすべく
スマホで適当な読み物を探す。
そういえば、今日
「『〜だ 』と彼は言った」
という文体がクセになる
アゴタ・クリストフの「悪童日記」を
午前と午後
関係ない場所で2回見かけた。
2回ともスマホの中でだが。
一つ目は、Twitterで。
「バーナード嬢曰く。」
のコマを引用した投稿が流れてきた。
悪童日記を題材に、
綺麗に終わった作品の
続編を読みたくない気持ちの話をしていた。
二つ目は、古い文献を探す中で。
保険福祉の協会による
文学にみられる障害者像というコラム。
作中に次々と登場する人物が抱えるのは
肉体、精神障害のほか
不眠、性病、経済、依存症…
貧困と戦争の中
最も立場の弱い彼らの人生が
幸福に傾く場合も
不幸に傾く場合も描いている。
そのことをより彼らに近い目線で書いていた。
私もこうして短い時間でも
こうしてスマホにしがみついているから
スマホ中毒という病の中
偏った思想へ転じていくのかもしれない。
そう
自嘲に酔おうとしたものだが
轟音と共に
プラットフォームへやってきた電車は
特大の寒波を私に浴びせてきた。
冷や水よりも目が覚める
大寒の一撃
私は小さく縮こまりながら
大人しくスマホを懐にしまう。
「明日はもっと寒いのだ。
厚い手袋を用意しておこう。
スマホに触れても反応しないくらいの」
と、私は日記に綴った。