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コラム(7) 心に空き地(余地)を作るために

コラム(7) 心に空き地(余地)を作るために
~がちがちの現場改善実行や、ケアの検討会だけではなく~

 白駒池居宅支援事業所物語第1話が終わってからしばらく休憩をいただいております。
 ぼちぼち第2話を始めますが、その前に、ケアの世界だけばかり見て考えていたら、心が窒息してしまいますよと言う話をします。

 カンファレンスと言うと、各個別ケースへのケアについてや、ケアそのものの確認や技術に関するものや、認知症の人の理解(見かた捉え方)など、私たちの主業務である「ケア」や「ケアマネジメント」のことが主題になると思います。
 でもたまには「ケアという主題」から、離れたことを考えてみるのも良いのではないでしょうか。
 何故ならば、ケアの現場は息が詰まりそうなくらいどっぷりと浸かりながら仕事をしているので、ある意味「考え方に柔軟性」を持ったり、「想像力や創造力」を働かす余地が心の中にないと言えます。
 そのため認知症の人の理解と言っても、自分に降りかかっている大変さを何とかしたいという意識の方が強く働くでしょうし、実践者研修で勉強したとしても、それを活かせない現場の状況があるでしょう。
 とにかく目の前の業務を何とか無難にこなすことで精一杯になり、カンファレンスで話しあう時も、心の中に余裕がないために、場当たり的な話しかできないことになってしまいます。

 そのような現状打破のために、様々なアプローチや、現場の課題解決セミナーなども多々あるでしょう。 それはそれで活用するのも良いとは思いますが、「現場改善のために!」とか、「リーダーはこうあるべき!」とか、何やら難しいことから一旦離れることも、一つの方法と言えます。
 そこで息の詰まるような仕事の話から離れてみる話し合いの場面があってもいいかもしれません。
 例えば、「ちょっとした心遣い、気遣い」を主題にして、「どのようなことが喜ばれるのだろうか」とか、「気遣い」ってどんなことだろうとか、或いは旅行に行ったときに感じたざっくばらんな話をしてみてもいいかもしれません。
 旅先のホスピタリティの良し悪しは、自分たちの仕事にも繋がっていくものです。
 要は、直接ケアの話ではない話をしてみること。
 リラックスした話の時間を持つことです。
 自分の推しの話をするのもいいでしょう。 何故その人(物)の推しになったのか。そこには自分の心を揺るがす何かがあったからでしょう。
 自分の心を揺るがすものってどのようなものなのか? などなど、ケア実践とは全く違う話を討論してみる、そんなカンファレンス? の時間があってもいいのではないでしょうか。

 ガンガンに現場改善! を唱える前に、狭~い世界だけで論議するのではなく、違う視点で話しあってみると、「これって、ケアに活かせるよね」っといったものが浮かんでくるかもしれません。
 宇宙の話をしてもいいのです。
 「宇宙? そんなんケアに関係ないやん、そもそもようわからんし。」っていう意見も出てくるでしょう。
 それでも話をしてみると、結構色々と出てくるものです。
 「なんで星って光ってるんやろ? 」
 「そりゃ、僕たちの心を癒すために光ってるんとちゃうか? 」
 みたいな非科学的な話でいいのです。
 息が詰まるほどケアのことで頭が一杯! それがいかに狭い世界で悩んでいるのかと言うことがわかるかもしれません。

 心が息苦しければ、考える余地は生まれません。
 残った息をしっかりと吐き出して、あとはゆっくりと深呼吸してみましょう。

 先日八が岳を登っているとき、樹林帯の中で寝不足と暑さも相まってか、息苦しく体が思うように動かないときがありました。
 その時、岩の上に座り、目をつぶってゆっくり深呼吸をしながら、周囲の音に耳を澄ませてみました。
 必死になって呼吸に苦しみながら登っているときには聞こえなかったものが聞こえてきました。
 せせらぎの音、様々な鳥の声、かすかに聞こえる虫の羽音、そして風の音、木々の囁き… 
 自分のしんどさばかりに考えが集中し、様々な自然の息吹の中にいることを感じなくなっていたのです。
 それらの命の息吹を感じたとき、私の心の中の疲れが取れ、再び歩き始めることができたのでした。

八ヶ岳の樹林帯


 考える余地を生み出せるかどうか、心に空き地を作れるかどうか、そのためには深呼吸をして、敢えてケアの世界から離れた話をしてみるのもいいのではないでしょうか。

 白駒池居宅支援事業所物語第2話は、「そんなものケアマネジャーの仕事ではない」という物語かもしれません。
 しかしその、「そんなもの」こそ、ケアマネジメントのやりがいに繋がるものかもしれないという物語になります。

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とまりぎセキュアベース・天の川進
色々とぎすぎすすることが多い今日この頃。少しでもほっこりできる心の安全基地になればと思っています。