【感想未満】伊藤潤二『うずまき』、伊藤潤二展
まともに更新するのすごい久しぶりな気がする。
この数ヶ月、仕事ではなく余暇の活動において文章を書き、書き、書きまくって疲れてしまった。このnoteで好き勝手書くのとは勝手が違って、いかに情報を的確に伝えるかが重要なことを期日までに期日までに書かなければいけなかったのでプレッシャーもかなり強かった。そして、これはしょっちゅうあることなのだが、何か一生懸命にやっていると何かをやり忘れたような、不安感が出てくる。これがわたしの妄念なのか、本当のことなのか、振り返って確かめる余裕もないほど切羽詰まって、あっけなく終わった。
いやあー、疲れた。頑張った!よーし休んで遊ぶぞ!!
……と思ってたらコロナになってしまった。無念。疲れもあっただろうが、持病のせいでけっこう症状が重く出てしまい、かなり苦しかった。とはいえ今はコロナが5類扱いということもあって入院にはならず、自宅静養。
7年前くらいにインフルにかかった時は高熱でもジュラシックパークシリーズを観る元気があったのに、コロナでは一切そんな余裕がなく、熱が下がって数日経ってからようやく映画を観たり漫画を読む元気が戻ってきた。熱が出てるときに動けなかったのは年のせいか、コロナのせいか。とにかく元気が出てきたことは喜ばしいこと。
今回読んだのは『死人の恋わずらい』が入ったこちらの短編集。会期始まってわりとすぐに行った伊藤潤二展で見た原画がよかったので読んでみたら面白かったー。
原画展は緻密な絵のタッチを生で見れたのもよかったけど、下書きも一部飾られててプロセスを追えたのがよかった。『死人の恋わずらい』はけっこうスペース割かれてて、ゾンビ化した鈴江ちゃんの絵をどういうふうに作り込んだのかとか細部まで見れた。
先日佐伯日菜子さんがデビュー30周年を迎えたという記事をnoteに載っけているのを見て、わたしは映画と漫画『うずまき』を思い出したのだった。
わたしが初めて読んだ伊藤潤二の漫画は『よん&むー』なのだが、ホラー作品でいえば初めて伊藤潤二を浴びたのが『うずまき』である。
で、この作品は漫画も面白いし、映画も面白い。映画から観てもいいし原作を先に読んでもいいと思うレベル。なんなら正直後半になると原作は迷走ぎみなんだけど、映画はキッチュに仕上げることで面白く終わっている。
主演の初音映莉子とフェーフェンの演技にとやかく言うひとがいるみたいだけど、わたしはこの感じが好き。わたしに言わせれば、この作品はある意味オムニバス形式であるため、狂言回しとなる主役はほんわりとそこにいるのが大事なのであり、上手な演技が試されるのは脇役である。映画版『うずまき』でそこに貢献してるのが阿部サダヲ、大杉漣、諏訪太朗、手塚とおる、そして佐伯日菜子である。
佐伯日菜子のエピソードは原作通りじゃなくてよかったと思う。漫画から抜け出してきたみたい。特に手塚とおると大杉漣はすごい。伊藤潤二ワールドに染まった快演を見せてくれている。
「うずまき」って要するに欲望への惹かれを表しているのかなあ、と思ったのは、秀一の父親が母親に囁きかける「お前の中で渦になって眠りたい…」という言葉がきっかけ。映画でも大杉漣のセリフがすごく印象的なとこ。
原作を読んだらヒトカタツムリになる男子生徒の話がダイレクトに性的な惹かれに関する話だったので、やっぱなるほどそうなのねえ…と納得した。ここは原作が良かったな。
ホラーって性的な惹かれのメタファーと結びつきやすいけれど、伊藤潤二の作品での欲望はメタファーでなく直接的に追いかけてくることが多くて淫靡さとは結びつきにくいのかなーという印象が今のところある。(わたしはカラッとした作風が読みやすくて好きだけど!)
そういう印象だから、いじめっ子がヒトマイマイにトランスフォームしていじめていた生徒と交尾するエピソードは伊藤潤二の作品の中でも異色で、『うずまき』における一つの到達点のように思う。
『うずまき』、好きですねー。
伊藤潤二展、東京ではあともうちょっと。興味ある人はぜひ。
『うずまき』の原画もあったし、双一シリーズとか海外向けのアートワークなんかも飾られてて見応えありました。
伊藤潤二展とは直接関係ないけど、今月25日までの国立美術館の内藤コレクションに行こうと思ってたらコロナにかかってついに行けなくなってしまった😭
行きたかったなー。気になってる美術館や博物館には迷わず行った方がいいね。。
それでは今日はこの辺で。
ごきげんよう!