今村昌平『果しなき欲望』など初期三部作【勝手に西村晃映画祭③】
先日は川島雄三が監督した『幕末太陽傳』について書いた。
今回は、『幕末太陽傳』(1957)で助監督をつとめた弟子の今村昌平の話。翌年1958年に監督し劇場公開された3作品『「テント劇場」より 盗まれた欲情』『西銀座駅前』『果しなき欲望』の共通点にふれ、なかでも好きな『果しなき欲望』について書こうと思う。西村晃はこの全作品に出演しているのだ。
今回はあれもこれも…じゃあもうこれも書いちゃえ!と半ばヤケで思いっきり盛り込んだらその分まとめるのに時間がかかり、結果そこそこの文章量になったので目次を立てた。また、今回の記事は例外的に作品情報から始める。こういった作品に関する記事はインフォメーションが末尾にあるのが定石だけど、ご理解いただければ幸いです。
1:作品情報
2:今村昌平、デビュー年に3作公開
日活の作品紹介ページによると、監督デビュー作である『盗まれた欲情』の公開が1958年5月20日、『西銀座駅前』の公開が同年7月29日、『果しなき欲望』の公開が同年11月18日。『西銀座駅前』は中編とはいえ、かなりハイペースでの製作・公開である。
撮影監督や照明、録音、編集は3作品それぞれ担当者が違うのだが、助監督の浦山桐郎、美術監督の中村公彦は3作品すべてに関わっている。
そのほか、『にあんちゃん』など以降の作品にも関わるキャメラマンの姫田真左久や録音技師の橋本文雄らとの仕事の始まりがこの1958年の3作品だったことは注目に値する。
『西銀座駅前』はタイアップものだからノーカウント、ということにすれば、その後も今村昌平をタッグを組み続ける黛敏郎も全作品担当したと言える。こじつけ感は否めないが…。
また、主要なキャストでいうと西村晃と小沢昭一、柳沢真一が初期3作品すべてに出演している。
さて、『果しなき欲望』について書く前に、少し余談を挟みたい。
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