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【注文住宅】家相の「欠け」が「かけがえないもの」になる

こんにちは。
毎日推し建築家の設計した住まいを紹介している、一級建築士のこじこじです。


建物の「欠け」は「欠陥」?


先日Twitterを眺めていたら、こんな主旨のポストが流れてきました。

「家相の『欠け』を気にしていると設計士に伝えたのに、L字型の間取りが出てきて失望した」

ふむふむ。なるほど。これは設計士がちゃんと話を聞いていないのが良くないな(あるいはL字にすることで家相を気にする以上のメリットがあることをちゃんと伝えきれていないな)と思いながら眺めていました。

そもそも家相の欠けや張りをご存じの無い方向けに説明すると、建物の一部がデコボコしていると風水的に良くないから、できるだけシンプルな四角形にするのが理想、という考え方があるのです。このデコボコのことを「張り」や「欠け」といいます。
(参考までに以下のサイトが明るいです。)


私は家相はあまり重要視しないタイプなのですが、お客さんが要望する場合はプランに(しぶしぶ)取り入れます。なんでこんなに必死に暮らしやすいプランを考えているのに風水なんぞに邪魔されなきゃならんのだ、と思いながら間取りとにらめっこしています。

とはいえ大して家相のことを知りもしないくせに文句を言うのも違うかなと思ったので、これを期にちゃんと学んでみようと思いました。

家相の本は星の数ほど存在するのですが、今回参考にした著書は、建築家・清家清さんが書かれた「家相の科学」。

清家清さんは私が解説するまでもなく有名な建築家の先生なのですが、以前宮脇檀さん(こちらも有名な建築家さん)の著書の中で清家さんが割と肯定的な家相の本を出していることに言及されているのを思い出して、チョイスしてみました。タイトルのとおり、家相を科学的に理屈で読み解き、分類してひとつひとつの由来を丁寧に解説している本です。なのでとても分かりやすい。興味のある方はぜひ読んでいただきたいです。

家相は3つに分類できる


同著によると、家相は以下の3つに分類されるようです。
①建築計画学的、工学的あるいは住居学的
②社会的なタブーを表すもの
③科学的にまったく説明しようがないもの

実は私、この本を読むまでは家相って③みたいなものばっかりなんだと思っていました。でも実は違う。①や②のような、実際に理にかなっているような家相もあるんですね。例えば①の例として「南西に台所はNG」。これは冷蔵庫がなかった時代、台所を日当たりの良すぎる南西に置くと食べ物が腐ってしまうから。②の例としては、「子どもの家を親の敷地内に建てるのはNG」。昔は長男が家を継ぐもので、敷地内に別棟で建てるとしたら次男、三男の家ということになるのですが、明らかに身分の差がある者が同じ敷地の中で顔を合わせるのは不仲のもと、という理由から。

こうやって由来から科学的に紐解いていくと、ちゃんと家相にも理由があるだなぁと理解できました(当然、科学では説明できない③みたいなのもいっぱいありますが)。

で、冒頭の「欠け」はどうなのかというと、①と③がミックスされたような感じでした。①としては、建物の形はデコボコが少なくシンプルなほうが安上がりだから。③としては、陰陽五行説に基づき、悪いことが起こるから。
このことを標題の設計士さんがちゃんと理解していれば、住まい手であるポスト主を納得させられたんじゃないでしょうか。「建物をL字型にして敷地に余白を取れば、日照や通風が確保できて気持ちのいいリビングになりますよ。コストは若干上がりますが、それだけのメリットが絶対にあります!」ってな具合で。

この余白を「欠け」と考えるのか、プランの拠り所となる「余白」と考えるのかはあなた次第。
「欠けが得ないもの」=「かけがえないもの」がそこにはあるかも・・・?

今日は狭小地でも拠り所となる余白をうまく確保することで光と風が満ち溢れる素敵な作例を紹介したいと思います。

私の推し建築家さんが設計した「余白」が美しい住まい


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