【一千文字評】ザ・ロスト・シティ - 私たちがチャニング・テイタムを好きなのはこういう訳です
私はチャニング・テイタムが大好きです。
よって、この映画が好きです。
煮詰まりきったロマンス小説家(サンドラ・ブロック)とそ本の表紙を飾るイケメンモデル(チャニング・テイタム)が古代文明のお宝を狙って冒険を繰り広げる、というコメディ映画。軽くて笑えるけど、特筆すべき傑作とかそういうわけではない。良くも悪くもポップコーン・ムービーな出来です。
でも何が良いって、やっぱしチャニング・テイタム。テイタム好きはなにもそのハンサムな顔立ちや、完璧な肉体が好きなわけではない(そこも好きだけどね)。そんな容姿なのに中に入ってる魂がどうしようとなくボンクラなところ、それこそがテイタムの良さだと思ってます。
もちろんカッコいいので世界を救うヒーロー役も演るけど、本人が一番活き活きして見てるのはこういうおバカなコメディ映画だったりもする。本人としても何本かに1本はこういう「見た目は完璧なのに中身が残念」ってキャラを演じることで実像と虚像の間でバランスを取っていたりもするのかな。
そんなわけでこの『ザ・ロスト・シティ』はそういう残念なギャップを存分に自虐的にネタにしていく。足手まとい以外の何者でもない救出作戦や、川でヒルに噛まれるくだりなど「本当にお前は見た目が良いだけだな!」と説教したくなる。
その一方で徹頭徹尾パブリックイメージとしての“THE ブラピ”を演じ続けるブラッド・ピット(御年58)の一つ上のステージにいる感。この人もこういうコメディとなるとカメオだろうと嬉々として出てくる1人。ご都合主義にも程がある退場も含めて存分に笑わせていただきました。
そんな感じのコメディ映画ではあるんだが、そういうテイタムの実像を一歩押し進めてくれたりもする。この映画は見た目と中身のギャップをしっかり笑いにした上で「でもそんな気取らないチャニング・テイタムの人柄こそが素敵だよね」と言い切ってくれたりする。
そうなんだよ!それこそ私たちがチャニング・テイタムのことを好きな一番の理由なんだよ!見た目だけでも中身だけでもない、その2つが合わさって悩みそれでも自分らしさを探す。そこがチャニング・テイタムの良いところ。
あえてロマンス小説のヒーローでなくヒロインにテイタムを置いて見せたサンドラ・ブロックの姉御に感謝です。
とはいえ最近はこういう役ばっかりだからカッコいいヒーロー役も久々に見たいぞ、テイタムよ。ブラピ、お前もな。