【一千文字感想】『ブラックアダム』流石セラ監督。アダムよりJSAを見にいくべし
あのロック様がアメコミヒーローにも堂々殴り込み。古代から封印された超人で街は破壊する、敵は確実に殺していくダークヒーロー“ブラックアダム”を演じる。
実は全然期待してない作品だった。
ロック様が暴れん坊のヒーロー役って通常運行だし、なによりコスチューム着た姿がロック様が黒いタイツ着ただけにしか見えなかったから。
「でも、一応見とくか」と見に行ってみると、これが意外にも面白い。思っていたよりしっかりとしている。そしてエンドロールで監督がJ. コレット=セラだとやっと知る。それは面白いわけだ。
『エスター』などで知られる元々はホラーサスペンス界隈出身の監督だが、来た仕事を受け続け、どんな企画でも塁に出るまさに職人監督だ。一時期はL. ニーソンと組んで彼の主演映画ばかり撮っていたが、前作『ジャングル・クルーズ』からはロック様にも気に入られたようで、ロック様直々の指名で今回も監督に就任したようだ。
そのおかげでド派手で軽いポップコーンムービーでありながら、基礎の骨組みは割としっかりしている良い映画になっていた。流石セラ監督!
とはいえ、事前の予測通りロック様はいつものロック様だった。この映画は意外とそこではない。
この映画を推せる最大の要因はアダムと敵対するヒーローチーム「JSA」の面々だ。てっきりロック様を引き立たせる当て馬なのかと思っていたらとんでもない。むしろ、ブラックアダムの続きよりJSAの主演映画を作って欲しいくらい。
ぶっちゃけ能力自体はどこかで見たことあるヒーローの二番煎じばかりだが、キャラとしては正統派で熱い。
リーダーのホークマンは現役で今が一番脂の乗っている状態。正義に熱いが故にアダムと衝突してばかり。
一方、P. ブロスナン演じるDr. フェイトは隠居の身で2人の衝突を少し距離を置いて、微笑ましく見つめる。
そして新人ヒーローのサイクロンとアトム・スマッシャー。ホークマンとDr. スマッシャーの背中を見て「ヒーローとは何たるか」を吸収していく姿、そして未熟ながらもヒーローとしての初任務を成し遂げる姿は熱い。
ロック様を立たせる映画なのかと思いきや、むしろロック様はいつもの仕事を全うすることで脇役たちに光を当てているようにも見える。
クライマックスは新旧の世代交代、そして対立し続けていたブラックアダムとホークマンがついに共闘するに至って「これぞヒーロー映画!」という感慨を覚えた。
ブラックアダム
2022年/ アメリカ / 125分
監督 ジャウム・コレット=セラ
出演 ドウェイン・ジョンソン aka ザ・ロック