ポエティウスと音楽理論
オヤジブログ怪気炎 vol.220
世界史気になるシリーズ 35
合唱音楽の魅力は、ハーモニーの美しさにあると言っても過言ではないでしょう。
ではなぜその音程による音の重なりを私たちは美しいと感じるのか、協和音と不協和音の違いとは何なのか、その問題を解き明かそうとした人がポエティウスです。
『音楽教程』は彼の著作の第一期に属するもので、ピュタゴラス以降の音楽理論を総覧し詳述しており、後世とくに中世~18世紀までの西洋音楽理論に絶大な影響力を維持していた。「協和・不協和」「音程と旋律」「オクターヴ」「5度」「4度」「全音」「半音」など、音の性質を体系立てたことの意義は大きい。オクターヴの完璧さは何に由来するのか、5度、4度の協和が「完全」である理由は何なのか、また、半音は本当に全音の「半分」なのか、あるいは、旋法の構造はどのようなものなのか。
聴覚に甘美に響くことが音楽の起源ではあるにせよ、そこに判断のすべてを任せる姿勢を批判し、強調されるのは最終的な完全性と認識は理性に存するという一点である。そのうえで探求されるのは、音程あるいは協和音に関する数学的解明であり、モノコルドの弦長を二分割、三分割、四分割……と計算を尽くす方法で「数比」の重要性を明確にし、音程の根拠を示すこと。
彼は480年〜525年に生きた古代ローマのイタリアの学者です。当然まだ純正調やら平均律という第三音を重ねた和音はもちろん、多声音楽さえ登場していない時代で、現代のように多様な音楽が出回っている時代ではないのですが、音楽の基礎の基礎として音楽愛好者が学んでよい理論だと思います。