手をかけることの良さを学べた糠漬け作り
「糠漬けを今年こそ、おいしく作る。絶対、失敗させない。」
と宣言するのは、おしゃべりな料理家今枝ゆかりさんである。岡山在住で、キッチンスタジオの運営や、料理教室のオンラインレッスン、スタンドFMなどで発信されたりと、大変活躍されている。
私がゆかりさんを知ったのは、スタンドFMでの発信だった。お料理のこと以外のお話も、心に響くことがあり、毎朝のように聞いていた。
6月の梅雨頃だったと思う。
ゆかりさんが、Facebookで、期間限定のグループ「viorto 糠漬け部2023」を作るとのことを聞いた。
糠床を作るのは、梅雨の時期が一番とのことで、毎年、この時期に募集されているらしい。
糠漬けキットを申込みすると、この期間限定グループに入れ、いろんな質問をしたり、アドバイスをもらえるとのことだった。
去年、糠床作りに失敗した私は、最初は、耳を傾けなかった。でも、発信を聞いていると、何だか上手くいきそうな気がして、糠漬けキットを注文した。
そして、早速、糠漬けキットが届いた。丁寧な梱包。ゆかりさんの一言メッセージ。きちんとした対応にとても感心した。ゆかりさんのエネルギーも、一緒に入っていた気がする。
そのキットには、糠漬けを作る為のすべての材料が軽量済で入っている。混ぜるだけでよい。しかも、材料は無農薬、オーガニック、有機など、ゆかりさんのこだわりが感じられる。この材料を集めるだけでも、時間やお金がかかる。なにより、こんなふうに、これがいいと自信を持って選べない。キットに入っていた塩ひとつ味見しても、とても美味しい。最高の材料が何もかも揃っていて、初心者の私には、丁度よかった。
糠漬けは、定期的な手入れが必要で、手間がかかる。近年では、糠漬けを作る家も少なくなってきているという。
でも、うちは、同居の義母も、夫も漬物が大好き。家族にとって、ご飯のおかずは、漬物とお味噌汁で充分の日もある。漬物を買うのも高いし、作れたらいいなぁと、以前から思っていた。
しかも糠漬けには、植物性乳酸菌が含まれ、とても腸活によい。また、ビタミンB1は、胡瓜を生で食べるより、約8.7倍多い。ビタミンB1は、糖質の代謝に良い。ご飯のおかずにピッタリである。これは、ぜひとも作りたい。その背中を押してくれたのがゆかりさんだった。
ゆかりさんによると、「1から作る。お金をかける。時間をかける。」ことが大切だそう。確かに、この糠漬けキットは高いし、市販の糠床を買う方が安い。だけど、お金をかけたことは、どうにかこうにか糠床を仕上げたいという気持ちにさせてくれた。
糠床をお世話することで、自分の愛情がこもる。市販の糠床も売っているが、成功率が高いのは、自分で作ったものの方が多いではないだろうか。
また、Facebookで質問したり、他の参加者の方達の投稿も参考にした。ゆかりさんによると、「自分一人ではない。皆も頑張っているから、私も頑張ろう」という気持ちも大切とのこと。Facebookを見ていて、そう思えた。そして、今年は、なんとか糠漬けに成功することが出来た。
毎朝、糠床をかき混ぜるのに、はまっている。糠をかき混ぜる手は、スベスベで、手荒れしなくなった。出来た糠漬けは、家族にとって、今や、なくてはならない食卓の一品である。漬ける時間によって、味の調整が出来る。我が家は、大体、半日くらいが丁度よい。嬉しいことに漬物嫌いの子どもたちも、食べてくれるようになった。
ゆかりさんは、「糠床は、小宇宙。様々な微生物が、糠床の中にいる。手を入れてかき混ぜると、微生物たちが共奏してくれる。」と言われていた。糠床に触ることは、自然に触れることなんじゃないかと思う。だから、ホッとするのかもしれない。
簡単、便利な時代だからこそ、あえて、手をかけたほうがよいこともあるなぁと、糠床を混ぜながら思った。
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