連載「君の見た空は青いか」第6話
前回分です↑
美紀とのLINEが毎日行われる。
現実世界で会った分、親近感がある。
見えない距離で会話しているマキとは少し違う感覚だ。
美紀『おはよぉーございます。昨日は食べ過ぎて少し胃が…(笑)圭太さんは何食べました?』
圭太『俺はうどん食べましたよ』
こんなたわいもない会話だ。美紀さんは魅力的だ。だけど、正直…それよりもマキが気になる。
マキが朝一番、Ⅹでポストしている。
マキ『おはようございます!今日はラジオにお呼ばれさてたので、18時30分からゲストで出まーす。公開収録ですみてねぇ~』
すぐにいいねがつく。負けまいと圭太もいいねとコメントをつける
圭太『ラジオ僕も聞きますね。どんなこと話してくれるのか決めましたか?僕は紺色のスーツに青のネクタイです。』
なんとか返事が欲しい。その他大勢から脱却したい。その一心だった。
公開録音…生でマキさんが見れる。仕事が終われば見られる…遠くもない。
仕事はおかげさまでミスも減り、怒られることも少なくなった。
お昼休み 食堂
先輩たちが、前回の合コンについて話していた。
先輩「誰もお持ち帰りできなかったよ…。なんでだよー盛り上がってたのに…特に美紀ちゃん。かわいいよなぁ…。おい、圭太はどうだった?」
圭太「あぁ…ダメでした。全然ダメ」
先輩「そうだよな…。まぁ次頑張ろうな」
ピロン LINE通知だ。
美紀『今日の18時30分、仕事が終わるので会いませんか?』
美紀さんだ…。困ったな。今日は公開収録がある…。
圭太『ごめんなさい。今日は予定があって…』
美紀『じゃあ仕方ないね…。すいません』
(圭太さん…忙しんだ…。仕方ないか…。)
残念がってたな…。申し訳ない気持ちになる。
18時ついに仕事が終わり。すぐに荷物をまとめ、駆け足で退社する。
マキさんの公開録音に間に合わせるためだ。
それに合わせてかマキもポストする。
マキ『打ち合わせ終わり~。みんな待ってるよー』
マキさんに会いたい。一目見たい。画像でしか見たことがないマキさんに。
ついつい駆け足になる。
するとLINE通知が…
美紀『すいません…なんか変な人に絡まれてて…』
そんなこと言われても…。俺にはマキさんが…。
公開録音10分前
係員「観覧希望者は詰めて!詰めてください!!!」
ラジオブースに座りマキは探していた。
マキ「すごい数だ…。圭太さんは…まだかな…」
場所 ビル街の一角
美紀は男たちに絡まれていた。圭太にLINEは送れたが、なかなか帰してくれない。
男1「おねぇーさん。だからカラオケ行こうよカラオケ」
美紀「だから行きませんよ。」
男2「そんなこと言うなって。俺たちと遊ぶと楽しいよ!」
美紀「結構です。」
男1「そんな事言うなって。お姉さんかわいいじゃん」
美紀「怒りますよ!」
すると男が、美紀の腕を掴んできた。
美紀「ほんと…やめて。」
そこに圭太が現れた。LINEに書いてある場所にやってきたのだ。
圭太(美紀さん…ナンパされてる。しかも男二人。何とかしないと…)
圭太は意を決した。
圭太「待て」
男1「なんだてめぇ」
圭太「その人は俺の…大事な人だ。」
男2「大事な人だ?残念だけどこのお姉さんは俺たちと遊ぶの。だから帰った帰った。」
圭太「帰る前に…」
圭太は男たちに近づく
男1「やんのかああん?」
男が美紀から手を離した瞬間だった。
圭太「美紀さん走るよ」
美紀「えっ…」
圭太は美紀の手をとると、二人は男から逃げるように走りだした。
男1「待てこら」
徐々に差が広がっていく。不意打ちをしたおかげで、相手の反応が遅れたのも良かった。
すぐに路地裏に逃げた所で、美紀さんが座り込んでしまった。なんとか逃げ切れたようだ。
美紀「はぁはぁはぁ…すいません…予定があったのに」
圭太「はぁはぁはぁ…いえいえ。大丈夫ですか?あれ?足…」
足首が赤く腫れている。
美紀「無我夢中で走ったので、くじいたかもしれません…。」
圭太「急に走っちゃいましたもんね。24歳もう歳かな(笑)」
美紀が安心した顔でニッコリと笑う。
圭太「さぁ、帰りますか。おんぶしますよ」
美紀「いや…それは…」
圭太「いいですよ。大丈夫。あ、スーツの上だけ持ってもらえますか?」
美紀「うん///」
美紀をおんぶしながら帰る。そして、家の前まで来た。
美紀「本当にありがとうございました。」
圭太「いえいえ。お大事にしてくださいね。」
美紀「じゃあ、今日は…」
美紀(待って…圭太さんともっと居たい…。え、凄くかっこよく見える。だから…一緒に居たい。)
美紀「もう少し一緒に居たいから…部屋来ません…か?」
圭太「えっ…。」
美紀「ダメ…です…か?」
美紀(え、私何してんの?ほんと///)
圭太「ダメじゃ…ない…です。」
圭太(美紀さん…かわいい///ヤバい…流されてる…俺。)
こうして圭太は部屋へ入って行った。
公開収録所 18時30分
DJ「こんばんは、ログレディオパーソナリティのテツです。今日はゲストに来ていただいてます。SNSを中心に大人気の森田マキさんでーす」
マキ「こんばんはー。」
DJ「今日もたくさんのファンの方来てくれてますね」
マキ「嬉しいですよねほんとに。幸せ者です」
マキ(紺のスーツに青のネクタイ…。あれ、いない。圭太さんがいない。どうしたんだろ?)
こうして、圭太は来ない公開収録は終わった。
結局、マキが探していた圭太はそこに居なかった。心配になった。
マネージャー「マキ、お疲れ。今日はこれで仕事終わりよ。なんか食べて帰ろうか?」
マキ「あの…1通だけDMしてもいいですか?」
マネージャー「だーめ。事務所から言われてるでしょ。前も勝手に送って怒られたじゃない。リプもDMも許可がある人しかダメ。」
マキ「そう…です…か。」
マキは前回話した圭太の事が忘れられなかった。
どうしても圭太としゃべりたい。何かあったんじゃないか…。そんな事ばかりがマキを支配していたのだった。