連載「君の見た空は青いか」第4話
↑前回分です。
マキにDMで話そうと言われ、浮かれている田中圭太です。マキは俺に何を言うんだろう?そう思っていた。
マキは俺に何を求めているんだろう…。
すると
マキからのメッセージ
きたー!来た来た。
マキ「まきです。今日はありがとうございました。またスペースする時お誘いしてもいいですか?」
もう圭太は「ぜひお願いします!」と勢いよく返していた。もらってからすぐである。
またマキからのメッセージ
「ふふっ。ありがと。またね」
その日の夜、なんだか高揚感で支配され、何度目をつぶっても眠れなかった。たかがという表現はおかしいが、こんなに人を狂わせるものはあるのだろうか?
翌日、起床するともう13時。寝すぎてしまったらしい。でもいい…すがすがしい日曜日じゃないか。するとマキのポストが出ているようだった。
マキ「今日はかかし君達とサイクリングです」
かかしくん?誰?するとマキとかかし君という男が二人で自転車の前に立ち、笑顔でいる。
おいおいおいおいおい誰だ!かかしってよ誰なんだよ。
すぐにかかし君となる男のページへ飛ぶ
プロフィールを見ると「みんなの味方!それいけかかし君。」と書かれている。
インフルエンサー?なのか有名人だ。フォローが1万を超えている。マキと同じくらいだ…。かかし君のポストにも
「今日はマキさんとサイクリング。楽しみたいと思います。」
と書かれている。
えっ…マキさん。誰だかかしっておい。なんでサイクリングなんかしているんだ。理解が追い付かない…
もうただその状況を見守るしかない。だって自分は、画面越しにいるただの一人なのだから。もう祈るしかない…。
圭太はそわそわして落ち着かない。何度もⅩを開いては、落ち着かせるために部屋をうろうろする。落ち着かないので、散歩に出かけた。もう「なしのつぶて」状態である。
マキに連絡を送れば「幻滅」されるだろう。
だけど、行動しなかったらどうだ…そう考えたらゾッとする。
落ち着かせるために
「今日は、中華料理食べに来ましたよー」
と遅めのランチをポストしてみたけど、空しいだけ。
結局、夕方になり
マキ「サイクリングしゅーりょー。かかし君ありがと」
とポストがあったのみ。
かかしを見に行ったが、反応がない。
なぜ…俺は一人の女性に振り回されているのだ。
でも、それがいい意味でも悪い意味でも高揚感があり、生きている実感がある。
だが、翌月曜日。テンション最悪。空を見ると荒れ模様で雨が降っている。歩いて会社へ向かう。かかしの事が頭から離れないのだ。
声にも元気がなく、また伝票の計算を間違えてしまった…。
上司「お前な、簡単な処理じゃないか…」
もう上司の言葉なんて微塵も感じない。どちらかといえば
「そうか、ネットの女性に振り回されて…まぁしょうがない。次気を付けて」とでも言ってくれよ。俺も被害者なんだよ
といいたい気分だった。
マキさん。僕をどうしたいんですか・・・?