連載「君の見た空は青いか」第5話
謎の男…かかし。
いったい誰だ…。マキさんとの距離が、かかしの登場により遠くなったように感じた。不安が入り混じる毎日に圭太は疲弊していった。
こんなんならやらなきゃよかった…。そう思えるほどに。
仕事でも調子が上がらず、一人でぼーっとする時間も増えた。
見るのをやめなくちゃ…そう思うけどまたⅩを開いている。
送るのをやめなくちゃ…と思っているのにマキへコメントしている。
その他大勢は嫌なのに…その大勢になっている。
マキの隣を狙う男たちの争いに終わりは無いように思えた…。
18時。仕事が終わり、圭太は帰ろうとする。
すると先輩から「圭太!時間ある?」と聞かれた。
圭太「はい。ありますが…何か?」
先輩「合コン、一人足りんのだわ。お前付いてきてくんねーかな?」
圭太「僕で良ければ…はい。」
バスで3駅先の居酒屋。そこには若い女性が3人いた。
だが、正直マキさんの事で頭がいっぱいだった俺は、どうでなもよかった。がっつく先輩たちをよそに、食事をつまんでビールを飲む。話を合わせ、それなりの返事をしてやり過ごした。
結局…お店を出てから先輩たちは、お持ち帰りできなかったようで、タクシーを拾い帰ってしまった。
僕はなんかタクシーが勿体ないので、歩いて帰ることにした。イヤホンをつけ、いつもの音楽を聴き歩き出す。すると…肩を叩かれた。
圭太「!?へっ???」
美紀「あの…あの!!」
圭太「あっはぁ…すいません。」
美紀「さっき一緒してた美紀です。良かったら一緒に…帰りませんか?」
圭太「あっ…はい。僕で良ければ」
ごめんなさい。正直興味が無くて…どんな人だったかな…。覚えてないんだよな…。
美紀「圭太さんお家どこなんです?」
圭太「私は◎◎公園の近くですね」
美紀「私もそこらへんですよ。えへへ///」
なんか嬉しそうにしているな
圭太「またなんで僕なんですか?先輩達もいたのに」
すると美紀は、正直合コンなんて気が乗らなかった。がっつく先輩についていくのが嫌だった。だけど、余裕のある圭太さんを見て興味を持った。同じ24歳という事もあり、話してみたくなったそうだ。
圭太「なるほど。」
物好きもいるもんだ。雑談をしながら帰る。よく見たら、愛嬌のあるいい子じゃないか。でも俺もがっついたら嫌われるよなぁ…。まぁ興味ないふりするか。
美紀「私…ここなんで。」
圭太「そうなんだ。じゃあ…ここで。」
圭太が歩き出すと
美紀「っ…。待って下さい。」
圭太「え?何ですか?」
美紀「LINE交換しても…いいですか」
圭太「え?あ…はい。」
こうしてLINEを交換した。
美紀「じゃあ…これで。帰りますね。おやすみなさい」
圭太「おやすみなさい」
そして、イヤホンをつけて歩き出す圭太の顔はニヤけていた。
女の子からLINEを交換してもらうなんてことは、ないからだ。
すぐに美紀から
「今日は楽しかったです。また二人きりで食事しましょうね」
嬉しい…。こんなことあって良いものか。間違いなく、マキの存在が無ければ俺も、先輩のようにがっついていただろう。それが冷静でいられたのは、マキさんのおかげでもある。
なんとも不思議な巡りあわせだ。そういう点ではマキに感謝しないといけない。
あー…美紀さんになんて返そうかな…。でも既読無視もいけないし…。うーん
LINEの美紀との会話画面を開きながら悩む圭太なのでした。