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隠れている本当の相手【話すおむすびの本棚#8】


“話すおむすびの本棚”では私が最近読んだ本について好き勝手に紹介します。
何でもアリな読書日記のようなものです。


どうも~、おむすびです。

今回紹介するのは映画にもなったこちらの本。

『アナログ』(ビートたけし)

です。

独身男性の水島悟は喫茶店「ピアノ」でみゆきと名乗る女性に出会います。
彼女に一目ぼれした悟は毎週木曜日にピアノで会う約束をします。
連絡先も住所も職業も知らない相手。
それでも2人はだんだんと惹かれあっていきます。
しかし、あるときからピアノにみゆきの姿が見えなくなり……。
果たして2人が再び出会うことはあるのか、ビートたけしさん初の恋愛小説です。

来週の木曜日を心待ちにしたり、仕事のためピアノに行けなくなって落胆したりする悟といっしょになってドキドキさせられました。
約束の場所で“会えたら”会う。
次にいつ会えるかはわからない、そういう不安定さがなんともロマンティックですよね!

2人が海を眺めている場面でみゆきがこんなことをつぶやきます。

「海が青く光ってなくても、空気が澄んでなくても、道路が車でうるさくても、気にすることないですよ。そのお陰で光る海の美しさや素晴らしさがわかるんですから」

アナログ(ビートたけし)

この言葉を読んで、私は相手を知ることも同じなのではないかと考えました。
人を評価するとき、どうしても外見や経歴、肩書などに目が行きがちです。
それらだけで判断すると、期待していた相手の理想像とのギャップにがっくりすることもある。
例えばふとしたときに見せる短所だったり、自分が気に食わない相手のクセだったりね。
“本当の相手”はこれらのうわべの情報ではなく考え方価値観にあるのではないでしょうか。
どういう考え方をし、どんな思いで、何を大切にしている人なのか。
そういう見方をしていきたいものです。

いつでもどこでもだれとでも繋がれる今の時代。
嘘か誠かもわからない情報であふれている今の時代。
そんな時代にお互いの連絡先を知らない、余計なものは見えない「アナログ」な関係だったからこそ2人は“本当の相手”を見つめあうことができたのではないかなと思います。

読めばきっと大切な人に思いをはせ、会いたくなる、あたたかい作品です。
よければ読んでみてくださいね!

では~。