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#おむすびの本棚 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
おむすびの本棚では私が読んだ本を紹介します。
お気に入りの本とあなたがむすばれますように。
どうもー。おむすびです。
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 (三宅香帆)
を紹介します。
ノンフィクション大賞2024、新書大賞2025を受賞しています。
内容
「読書をする時間がない!」
「ついついスマホに手が伸びてしまう......」
そんな悩みを抱えている人は少なくない。
長時間労働の傾向にある日本。
仕事に時間を搾取され続けている。
そのせいで“本が読めない社会”とはおかしいのではなかろうか。
なぜそのような社会になってしまったのかを日本の読書史と共に考察し、労働と読書を両立する方法を探っていく。
感想
社会が変わっていくことで人々が読書に求めるものも変化し、今の「読書離れ」に至ることがよくわかりました。
売れた本の種類、本を読んでいた人の階級は時期によってさまざまです。
でも、大きすぎる社会の波に飲まれないために時代に沿った書籍が出版され、人生に役立つツールとして存在していたことは昔も今も変わりません。
読書は無駄なものではないことは確かだと思います。
本の良さは予期せぬ出会い、偶然の知識が得られることです。
全く知らなかった世界の扉を開くことができます。
しかし、日々の生活でいっぱいいっぱいな現代人に未知の世界を開拓する余裕は残されておらず。
役に立つのかわからない知識よりもすぐに使える情報のみを得ることのできるインターネットに流れてしまうのです。
今の社会は自分のやりたいことに全力で取り組む“仕事中心”の生活が良しとされている風潮がありますね。
会社のような組織に頼るのではなく個人個人が仕事で活躍することにアイデンティティを見出している人が多いのだと思います。
だから自分で自分に鞭を打って頑張りすぎる。働きすぎる。
著者は「働きながら本が読める社会」にするために半身社会を勧めています。
どんなことにも全身全霊で取り組むことが美徳とされてきたけど、そのせいでうつ病や燃え尽き症候群となる人々が多くいる。
心を壊すくらい働く必要はないと私も思います。
ぜひとも「働きながら本が読める社会」、ゆとりのある生活を送れる世の中になってほしい!
むすびのひと言
「全身」に傾くのは容易だ。しかし「全身」に傾いている人は、
他者にもどこかで「全身」を求めたくなってしまう。
頑張るって、楽な面もあるんですよね。
私も完璧主義なところがあるからすごくわかる。
他のことを考えなくていいし、“努力している”って自負があるから自分が誇らしく思える。
けど、人はひとりで全てを完璧にこなすことはできないもの。
例えば仕事に100%を捧げている人は誰かに家庭の100%を補ってもらわなければならないように。
他人にも同じものを求めてしまうのです。
ずーっと走り続けていたらいつかダウンしてしまうことは目に見えています。
そうなる前に意識を分散させてあげることが必要なんです。
意識を外に向けるということは否定したい現実、聞きたくない言葉をも受け入れることでもあります。
それはそれで疲れるかもしれないけど、こっちの方が人々が競い合うのではなく助け合って生きていけるような気がします。
努力することが良いとは必ずしも言えないのだと思いました。
ここまで読んでくれてありがとう!
それではまたね〜。