見出し画像

楽しいは創れる!〜公共空間活用の取り組み〜(公園防災キャンプ 前編)

今回は、まちづくりの実践的なお話です。

地方都市でまちづくりにおいて、行政はマネジメント(計画策定、規制誘導、補助金支出など)を、民間企業・市民はプレイヤー(現場での実施、活動など)を担うのが一般的な役割分担です。
しかし、行政職員自身が一度もプレイヤー経験がなければ、どういう計画がいいのか、何の規制がネックになるのかなど、本当に民間企業や市民の皆さんに動いてもらうために必要なポイントがわかりません。

そこで、約5年前、実際に私たち行政職員有志が集まって、公務外で、いちプレイヤーとして、イベント企画・実施・体験した、災害時を想定した避難拠点公園における防災キャンプ(という名のチェアリング&キャンプ飯イベント)を、前編・後編に分けて、ご紹介します。
前回の連投で紹介した庁内連携術のうち、基本となる天岩戸作戦のお手本のような企画です。


【以下は2019.10.6記事の振り返り投稿です】

一昨晩の金曜の夜に、公園でチェアリングを実施してきました!

新たに立ち上げた自主研修グループのスタートアップ企画。場所は庁舎付近のカフェの隣。

夕方から開始して、入れ替わり立ち代わりで5,60名以上の方に参加してもらう盛況っぷり。ピーク時には40人近くいたため、料理も飲み物も間に合わずてんてこ舞い。でも、ほんとに素敵な風景が見れた。やってよかったーーー楽しかった!

開催の様子

背景ときっかけ

企画の発端は、先輩・後輩職員らと共に三ヶ月前に参加した「官民連携まちづくり塾」。
全国の仲間の熱意から刺激を受けた後輩が、ただのプレゼンで終わらせたくない、次につなげていきたいと。

しかし、一歩目に何をしたらいいかわからない。
市職員向けの報告会もしたい、プレゼンの趣旨通りアウトドアもしたい、とかうだうだ悩んでるときに、先輩からチェアリング(=屋外にキャンプ用の椅子を並べて飲んで喋る簡易ピクニック)という提案があって、これだ!と。
自分も、数年前から、若手向けにやってる自主活動を庁舎前の屋外でオープンな巻き込み型イベントとしてやりたいなーと常々思っていたので、実施するなら今だと。
基本のき、天岩戸作戦!

出典:リノベリング
※スタッフの皆さまにはお世話になりました

また一方で、公園にも一つ課題がありまして。

それが、昨年度、ParkPFIを活用してできたカフェ
居心地がいいので作業部屋として自分もよく使ってはいるんだけど、隣接する川側を表として建物を向けている関係上、どうしても公園側には背中を向けている状態になっている。
窓もほとんどなく、公園空間と途切れていて、公園内にある立地を生かしきれていない。これがずーっと残念だなぁと。勿体ない。

そこで今回、開催場所を、あえて大芝生広場ではなく、カフェの隣のインターロッキングスペースにすることを提案! 俺らが楽しくわいわいすることで、カフェと公園の境界線をぶっ壊して、「あっこはあんな使い方していいんだ!」と、市民にもカフェ運営者にも気づいてもらえたらいいなと。

というわけで、公園カフェ隣で「災害時を想定した避難拠点公園における防災キャンプ(という名のチェアリング&キャンプ飯イベント)」を行うことが決定!これがちょうど一か月前。

対象エリア(出典:googlemap)

さて、企画の方向性も決まったので、ここからTODOリストを洗い出し、重要なところから丁寧に詰めていく手順に入る。
実はこの段階で、ネックになるポイント(課題)が二つ見えていた。

課題① 関係部署や民間企業との調整

一つは、公園部局及びカフェ運営者との調整。

まずは公園部局に相談させて頂いたところ、火気使用不可・占用許可提出という条件を守ればやっていいと、ご承諾頂いた。
最終的に、きちんと筋を通せば、管理部門としての責任を取りつつ、実施の権限を与えて頂いたかたちだ。懐深いありがたさ!

それに加えて、カフェの建物から電源をお借りできるか、これが重要だった。
火気使用が不可なぶん、電源がないと暖かい料理が一切出せない。それじゃキャンプ飯楽しめないし、何より楽しくない! 
正直ドキドキだったけど、運営会社のご担当者様にお会いしてお願いしたところ、二つ返事で承諾して頂いた。なんとありがたい!

というわけで一つ目はクリア。

防災キャンプ飯セット

課題② 広報・集客・人集め

問題なのはもう一つ。

個人的に、こういった行政職員有志が行う企画で、最も重要なのは、企画力でも実行力でも交渉力でも調整力でもなく、巻き込み力だと思っている。つまり広報と集客

ついついこういう企画って、身内盛り上がりになりがちなのよね。身内で勝手にやって勝手に盛り上がるのは割と簡単だから。でもそれだと次につながらない。

実のところ直前まで、運営メンバー内でも、用意する椅子は10脚ちょいで充分なんじゃないかという意見も出ていた。それ以上集まるの?と。公園部局で許可を取る際にも、そんなに集めるのは難しいよね~と言われた。

いやいや、集まんないと楽しくないじゃないか!
全力を尽くしてから考えようぜ!と

よーし、それなら集めてやろうと、話がオープンになるずっと前から、人のつながりの核となる後輩何人かにはこっそり企画内容を伝えて日程を開けておいてもらった。
電子掲示板掲載と同時に数十名の若手職員に直接メールでお知らせし、廊下でもエレベーターでも会う人会う人にface to faceで勧誘(これめっちゃ大事)。

椅子をひたすら並べるわたくし

実施結果

結果、当日は御覧の通りの大盛況!! 

椅子は運営皆の協力で20脚くらい集めたけど、それでもぜんぜん足らない。
自分はイベント開始時からからひたすら通りすがる職員の呼び込みをしていたけど(足を止めて頂いた方々ありがとうございますw)、軽く立ち寄ってくれた人も含めて、5,60人以上は来てくれたかなぁ。
ピーク時、19時くらいには、40人近く集まってたわ。そりゃ椅子たんねーよ笑。飲み物足りなくて何度スーパーに走ったことか。

新採職員と男子's

予想以上の人数にスタッフもてんてこ舞いだったけど、先輩企画のBARはガンガンお洒落にさばいてくれるし、女子の調理班はひたすら料理作ってくれるし、代表(後輩)はトラブル続出のなか奔走してくれるし、みんな目まぐるしいなか回して頂いた。

女子調理班

もう雰囲気はサイコーだった!

まだ明るい中、色んな部署の人たちが入れ替わり立ち替わり、集まり盛り上がる。
課長係長なんかのエラい人もいれば、若い子や新採さんたちもいる。庁舎から出てきた人もいれば、遠くの職場から仕事終わり次第駆けつけてくれた人もいる。
椅子でゆったり話す人、手摺でカウンターのように飲む人、立ち話する人、色んな賑わいが混ざりつつ、ゆっくりと日が落ちるに従って、ランタンが醸し出す落ち着いた雰囲気。次々と配られる料理に途切れない笑い。

メインディッシュの瓦そば

代表後輩が終始テンパりっぱなしだったので、まだ任せるには早かったかなーと危惧してたけど、中締めで開催主旨を説明・プレゼンしてもらったあと、なぜかウクレレを弾き初めて、そのままみんなで大合唱してるのを見て、ほんとコイツに代表任せてよかったわと心底思った。

おもむろにウクレレを弾き始める代表

感想

というわけで、楽しい風景は創れます!

これから、参加した職員や、風景を見た市民が、能動的にあの空間を使うようになって、あるいはカフェ側が公園も一体となった使い方を企画・提案するようになって、あの風景が日常になって、「場」が変化したら、あの空間の可能性がこれからワインのように開いていくんじゃないかなと思います。期待!

なお、当日は22時から片付け・撤収後、ゴミの処分ついでに、手伝ってくれた後輩らと2時までガストで反省会。帰ったらもうばたんきゅう。二日間寝込んでました笑

さぁて、次はなにするかねーーーー、とりあえず次はもっとキャンプ女子呼びたい笑

この活動を本来目的に沿って次のステージに進めるのは代表(後輩)の役割として、自分は派生として、公式にいずれかの関係部署の業務に緩やかに繋げていくことが役割かなぁ。
来週からぼちぼち、色々提案や調整をしていこう。

まだ明るい時間帯の様子

まとめ

こんな感じで企画は大盛況に終わりました。

と、それだけで話が終わってしまうと、読んだ方の参考になりづらいので、後編では、今回の企画の意図と設計書、実施して良かった点や気づいた点、課題など、本企画を構造化・言語化してお話します。
同じような企画してみたいな!参考にしたいな!って方はこのまま後編までお読みください。

【後編はこちら】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?