韓国伝統茶#05.雙和茶(サンファチャ)~さすがに卵の黄身はいれたくない~
韓国の伝統茶を扱うカフェに行くと必ずおいてあるのが雙和茶(쌍화차)です。
今回は、伝統茶の代表格といっても過言ではないほど広く親しまれている雙和茶について、ご紹介したいと思います。
雙和茶(쌍화차)
雙和茶とは白芍薬、熟地黄(地黄の根を酒で9回蒸したもの)、当帰、川芎、桂皮、甘草、生姜、ナツメなどの韓方(※)を煎じて作った伝統茶です。お好みで、胡桃や松の実を入れることがあります。
※韓方(한방)は、中国医学をもとに朝鮮半島で発展した韓国の伝統医学です。大学には西洋医学と同じように韓方専門の医学部があり、医師免許を持った韓方医が、病院にあたる韓医院(한의원)にて診療にあたります。
◆風味
味は、まさに甘い漢方薬。
苦さはないので、比較的飲みやすいかもしれません。
ただ、私は桂皮の香り(シナモンに近い)が少々苦手なのと、ケーキなどの洋菓子の甘さは好きなのですが、なぜか和菓子の甘さがあまり好きではなく、そのため、雙和茶の味が少々苦手です。
伝統茶カフェに行っても進んで頼むことはありませんが、雙和茶がどんなお茶だったのかを忘れて注文してしまうという恒例行事を2、3年に1度のペースで行っております。なぜこんなにも学べないのでしょうか。その戒めも含めて、今回記事を書いている次第です。
◆雙和と陰陽五行思想
雙和は「双和」と書くことができます。
双は「気(目には見えない身体の原動力となる生命エネルギー)」と「血(血液など全身に栄養を与えるもの)」を表し、和は「調和」を意味することから、陰陽五行思想の「陰陽を調和する」という意味で使われています。
これは分かりやすくいうと、身体を守り、足りない生気を補う効果があることを示しています。
◆生卵の黄身とともに
昔日本では、コーヒーに生卵を入れて飲むことがあった(今でもある?)という話を聞いたことがあるのですが、どうやらその文化は韓国にもあるそうです。
さらにいうと、この雙和茶にも生卵の黄身を入れて飲むことがあるとか。特に、虚気というエネルギーが不足した状態の人にはおススメの飲み方だそうです(변한의원)。
飲む際は黄身をつぶして混ぜるのではなく、丸ごとぱくっといただくそうです。味は美味しいとのことですが、なかなか勇気のいる食べ方です。
◆効能と副作用
1.風邪の改善
最も広く知られた雙和茶の効能は、風邪の改善です。特に、風邪から来る筋肉痛や悪寒には効果的だそうです。
一方で、雙和茶には体温を高める効果があるため、高熱が出ているときは控えた方が良いそうです。症状に合わせて飲みましょう。
2.疲労回復
雙和茶には、疲労回復に効果があるとされる芍薬が多く含まれています。芍薬はオニプロリンとペオノールを含有し、これらの成分が身体を鎮静させることで疲労回復を促します。
3.免疫力の強化
雙和茶には体温を上げる韓方が多く使われており、免疫力を高める効果があります。
4.肝機能の改善
甘草、当帰、熟地黄、ナツメ、生姜、桂皮には、肝臓の解毒作用を促して疲れを取る効果があります。
5.血液循環の改善
雙和茶は体温を高め、血管を拡張させて、血液の循環を良くします。
上記の他にも、集中力の向上、生理痛の緩和、便秘予防、骨粗しょう症、発毛促進、抗炎症作用、鎮痛、ホルモン分泌などにも効果があるといわれています。実に、幅広いです。
注意点
まず、雙和茶には熱を上げる韓方が多く含まれているため、普段から体温が高めの人は頻繁に飲むを避けましょう。
また、熟地黄が消化不良を引き起こすことがあるため、もともと消化機能が弱いという方は少量ずつ飲むか、控えた方が良いとのことです。
◆市販の雙和茶
スーパーなどに行くと、市販の雙和茶を購入することができます。
粉末なので、お湯を注ぐだけで手軽に楽しむことができます。
雙和茶が好きな方へはお土産にするのも良いかもしれません。
◆雙和茶と雙和湯
瓶に入ったものも売られていますが、こちらは雙和茶ではなく雙和湯(쌍화탕)といいます。
雙和湯は韓方薬、つまり、医薬品の扱いになるため、薬局か韓医院でのみ購入することができます。一方の雙和茶は、薬ではなく食品としての扱いになります。
伝説の雙和茶通り(전설의 쌍화차거리)
「伝説の雙和茶通り(전설의 쌍화차거리)」だなんて、なんとも仰々しい名前を付けたものですね。
場所は全羅北道(전라북도)井邑市(정읍시)で、ソウル駅からはKTXで1時間40分程度かかります。
井邑市は古くからお茶の文化が栄えた街で、現在も多くの伝統茶屋が立ち並びます。なかでも雙和茶が有名だそうです。
雙和茶は苦手ですが、伝統茶には興味があるので、少しばかり興味をそそられます。どんな通りなのでしょうか。いつか行ってみたい気もしますが、伝統茶カフェははしごするようなものでもないので、一度に何軒も回るのは難しそうですね。
◆◆参考資料◆◆
<日本語>
<韓国語>
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?