はじめに

この仕事を始めておよそ15年。

私の妻の祖父の植木屋からスタートしているうちの会社は、高度経済成長期の波に乗り、公共工事を主としていました。

私が入社した頃からの急激な公共工事の減少により、先行きの見えない不安に襲われるこの業界。

「このまま公共工事に頼っていいのか」

まだ造園の仕事も習得しきれていない状況ながらも、少しずつ外構(エクステリア)工事にもチャレンジするようになりました。


そして間もなく、造園工事と外構工事が、似て非なる仕事と気付きます。


造園は感覚・センスという数字で表せない物差しが重要で、別に植木や石が10cmずれても、どうにでもカバーできる。

ところが外構は寸法・強度が重要になってくる。1cmのズレで、見た目がおかしい。強度においては法律まで絡んでくる。


造園屋さんと外構屋さんが別々に存在する意味が、よく分かりました。


その中で私たちは、図面の寸法通りのアルミとコンクリートだけのカチカチのエクステリアはなく、

植木や石を使ってセンスや情緒を取り入れて、趣のあるエクステリアを目指しています。


外構工事を取り組むようになってもうすぐ10年。

今では工務店さんやハウスメーカーから依頼を頂いたり、インターネットから弊社を見つけて頂いて、新築物件のエクステリアや、外構のリフォーム工事を行っています。


その中でモヤモヤしていたことが、最近になってハッキリしてきました。

それは、

「外での暮らし(=外構工事)を考えることが、後回しになっている」

という現実。

どうしても家を建てることに一生懸命になってしまうので、漠然と考えていた外構計画が、建物の完成が近づいてくるのとともに、問題となって押し寄せてくる。


「お庭で何をしたいですか?」

っていつもお客様に伺うのですが、


「バーベキュー、子供のプール、うーん、将来は家庭菜園かなぁ…」


「ではそのための外構は、どのようにお考えですか?」


「うーん、ウッドデッキ・・・?芝生は大変そうだなぁ」


まだ建築前でしたらこの状況でも大丈夫ですが、もう建物が完成間近だったら、いろいろな問題が出るでしょう。

ウッドデッキのスペース、芝生の日当たり、それに伴う駐車スペースの確保。どれもが理想通りにならないのが普通です。

浄化槽の位置が困った、なんてのはよくある話です。



ところで日本人は、海外の人たちよりもお庭での生活時間が短い気がします。

それは敷地面積や気候の影響があるのでしょうが、

「外(庭)での暮らし」という概念が少ない、つまり建物優先で建築してしまったから、今さらそんなスペースも作れないし、お金も無い。

…お庭での生活スペースなんて無い


40歳を過ぎて自然に対する興味が深まってくる、という方が多いと感じます。

後になって後悔する家づくりは、したくないですよね。




新型コロナの影響で「おうち時間」という言葉ができて、風向きが変わってきました。

おうちの「中」だけでなく、「外」での時間も考えて、豊かな生活を送りませんか?


これまでの経験をもとに、外構に関するお話をしていきたいと思いますが、

何か少しでも参考になってくれたら嬉しいです。

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