マガジンのカバー画像

アーカイブ

26
運営しているクリエイター

#短編

「朝を前にして」

誰かがいる。
私の、右肩甲骨辺りに手をおいている。
そこから、じわと温かな何かが流れ混んでくる。

私はその彼の手を掴んでいる。
そして、それ以上に強く握り返されている。

他の誰にも気づかれないように、そっとテーブルの下に隠して。

「この夜限りの、間違いだよ。」

他の誰かにそう言われた気がした。

私は繋ぐ彼のことを愛している。

彼は私の隣で静かな寝息を立て始めた。

握る手の強さは変わら

もっとみる