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どこの国にも必ずある職業とは【絶対貧困】石井光太著

絶対貧困の定義を知ってますか。
1日1ドル以下の生活を送っている人ですが、
世界中に12億人以上います。
1日2ドル以下だと30億人以上いると言われています。
日本の貧困とは違う種類の貧困を感じました。

日本で貧困の話になると
「学校に行けない」という話になりがちです。
しかし、貧困はそれだけではないと著者は主張。

スラムだって路上だって、売春宿だって、そこに生きているのは私たちと同じ人間なのです。恋もすれば、嫉妬もするし、自慰だって不倫だってするわけで、かならずしも涙に暮れた純粋無垢な被害者しかいないわけではないのです。

絶対貧困 p4

「言われてみればそうだよね」
それなのに、なぜか純粋無垢な人を思い浮かべてしまいます。

こちらの本は、
三浦しをんさんの書評集に載っていた1冊です。

ただ、「貧困=かわいそう」という言葉では
片づかないと実感しました。

彼らの住宅、入浴、トイレなど生活環境から
仕事の話まで発見が多かったです。
特に私が関心を持ったのは売春の話です。

日本も無関係ではいられないなと感じました。


・驚きの売春婦事情

世界中に売春が存在しない国はないのに驚きました。
日本も例外ではありません。

中国のGDPの6%は売春が関係しています。
中国でこのくらいなので、
フィリピンなど発展途上国になると10%を超える国もあると
推定されています。

マーケットとして大きいため
法律で禁止にしてしまうと
路頭に迷う人が出ると思われます。
政府も厳しく規制しにくいのが実情です。

更に驚いたのは、売春の形態の違いです。
イスラム教の国は厳しいため
目立たないようにしています。

一例に「洋服屋」があります。
洋服屋と売春に何の関係があるのか
全く想像がつきませんでした。

謎が解けたのは、イスラム教徒の女性が
肌を出したらいけないというルールからです。
アフガニスタンやイランなどは
父親や夫が付き添わないと買い物にいけません。

女性が、外で他人に顔を見せたらいけないので、
ベールに隠れています。

サイズ合わせや試着が、
唯一男性(店員)に素顔をさらせる機会です。
そこで店員に売春の話を持ちかけるとのことです。

禁止はされているものの、
目につかなければ見逃しているのが実情だそうです。

・合法化されている国

日本は「売春防止法」があるため、
合法ではありません。

オランダ、ドイツ、オーストラリア、
アメリカの一部の州、タイ、インドなど
一部の国は合法化されています。

理由は、3つあります。
「HIVの予防」「徴税」「犯罪防止」です。

そうは言っても、合法化されている国でも
違法な売春組織が数多くあります。
見分け方としては、
幼い売春婦がいるかどうかです。

合法の組織は、成人女性しか働いていないとのことです。

知れば知るほど
単純になくせばいいと言い切れなくなりました。

・日本の立ち位置を感じるニュース

このニュースに驚きました。

日本は貧しくなっているのを感じました。
なぜなら、売春をする人も
貧しい国から豊かな国へ移動するからです。

スラム街や路上生活者が発生するのは以下の過程です。

まず紛争や災害などで
住む家を追われた農村部の人が都会に出ます。
しかし、貧しい国では、都会でも失業率が高く、
彼らが仕事を得るのは容易ではありません。

売春をするしても
男性1人に対して女性10人という状態で
明らかに供給過剰です。
稼げる保証はありません。
そこで豊かな国に出稼ぎに出る人が出てきます。

以上のことから
「日本が世界で相対的に貧しくなっている」と
感じずにいられませんでした。

アメリカが入国審査を厳しくなるは当然です。
もし日本がその立場なら、
同じことをするでしょう。

生きていくために
豊かな外国に行く売春婦たちを
思い出さずにいられません。

アメリカで入国拒否が
相次いでいるとのことですが、
どこの国に行くにしても、
旅行日程については
説明出来る状態にした方がいいと実感しました。

・感想

「世界の現実を知り、呆然としています。私はどうすればいいのでしょう?」

絶対貧困 p321

講演を聞いていた人が著者にした質問です。

それに対して、以下の回答をしました。

「それはご自身で決めることではないでしょうか」

絶対貧困 p321

端から見ると著者の態度がそっけなく見えます。
しかし「私が答えを言ってもそれは私が思うことだから」とのことです。

著者の場合は、
ルポルタージュを書くという形で
問題に向き合うことにしたと明かしています。

この質問されて
「私はどうしたらいいんだろうか?」と
読み終わった後考えていました。

考えた結果、
まず「知ること」です。
知らないことには何もできないからです。
その次に、自分の身近な事柄と
どう関わっているだろうかと考える。

そう結論が出ました。

以上、ちえでした。
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